今週の一本
(2003 / イギリス・アメリカ / リチャード・カーティス)
ボーダーライン上の貴公子、ヒューちゃん

百恵 紳之助

 首相と秘書、新婚夫婦とその友人の男、作家と家政婦、落ち目のおっさんロッカーとマネージャー、 ポルノ女優と男優、女性部下に誘惑される上司とその妻、などなどが織り成すロンドンのクリスマスシーズンのそれぞれの愛の形。リーアム・ ニーソン、アラン・リックマン、コリン・ファースなど主演級の役者ずらりだが、ときに大爆笑、ときに胸キュン、 ラスト暖かい気持ちになりました。これはもうどこからどう見てもヒュー・グラント印の映画である。 たくさんのエピソードが口当たりよく連なりいつものごとく簡単に乗せられてしまう。 (ちなみに筆者の一番好きなエピソードはロンドンの発情期アンちゃんがアメリカに行って、訛りがかわいいとモテまくるところ。 筆者も上京したてのころ田舎の訛りが原因で一時誤ったモテ方をしたのを思い出したから)

 監督はこれがデビュー作で「フォーウェディング」「ノッティングヒルの恋人」「ブリジットジョーンズの日記」などの脚本を手がけた人。 だからヒュー・グラントとも縁深く、この映画で描かれる男どものほとんどが「何か前にヒュー・グラントこんな役やってなかった?」 と思わせるような役ばかりに見えてしまい、しかもこの映画の首相役はヒュー・グラント以外無理でしょうとも思う。いっそヒュー・ グラント一人で全部やっちゃってもそれはそれで面白いんじゃないかなどといらぬ想像までしてしまうくらいのヒュー・グラント印である。と、 ここまで書いて筆者は「あれ、俺ってヒュー・グラント好き?」とやや暗い気持ちで自問している自分に気付くのだった。

 ヒュー・グラント・・・。イメージ的には「二枚目半のちょっと憎めない奴」ということで固まっているといっても過言ではないだろう。 日本の男子でヒュー・グラントのことを大好きだ!という人を筆者は一人も知らない。筆者も好きか?と問われれば「・・・」 とならざるを得ないが、それ以前にそんなこと問われる状況が想像つかないし、映画の話をしていてヒュー・ グラントが話題にのぼったことすら一度もない。ついでに言わせてもらうとヒュー・グラントのことを「ヒュー様」 と呼んでいる女は眼鏡をかけて白いハイソックスをはいたブスというイメージがある。にもかかわらず、筆者はヒュー・ グラントの出演している映画を結構観ているのだ。上記の三作品はもちろんのこと「モーリス」「9ヶ月」「ウェールズの山」 「恋するための三つのルール」「アバウト・ア・ボーイ」「おいしい生活」「トゥーウィークス・ノーティス」に「白蛇伝説」 「ヒューグラントの浪漫騎士」(この作品、突っ込みどころ満載でかなり笑えます)まで観ている! こうして振り返ると結構どころではなくかなり観ている。しかもどの作品も結構楽しんで観た。「お前、立派なヒューファンじゃん」 と言われれば返す言葉がない。つまり筆者は日本男子で数少ないであろうヒュー・グラントファンだったことに気付いたのである! こうなったからには、それでも声を大にして言うのは少々はばかれるが、「ヒュー・グラントに外れなし」 なんならこう言っても差し支えないような気がするのだがどうだろう?「外れなし」というのが大げさならば、ヒュー・グラントは「ヒュー物」 というジャンルを打ち立てたと思うのである(さらに大げさか)。そしてその「ヒュー物」は映画の質のボーダーラインを示している (どんどん大げさか)。ついつい水準以上の作品にしたくなるのが人間の欲望というものだが、 その欲望をきっちり抑えコンスタントにボーダーライン上にあるドラマを作りつづけるヒュー・グラント偉大である。 「僕以上でも僕以下でもダメよ」そう言ってヒュー・グラントがウィンクしたかどうかは知らないが、そんなヒュー・グラントを筆者は支持するし、これからも観続けて行くだろう。

2005/04/30/18:38 | トラックバック (0)
百恵紳之助 ,今週の一本
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