今週の一本
(2006 / アメリカ / シルベスター・スタローン)
ロッキーは永遠に不滅です

百恵 紳之助

 思えば1は十指に入るくらい好きな映画だ。 ボクシング映画としてももちろんだけど、 うらびれた街の片隅 で、あまり行き場もなく地味に生きてる男と女の恋愛映画としても最高に良かった。それにあれほど燃えた試合はそうない。 辰吉―薬師寺戦よりもだ。

 思い返せばロッキーが自分のために試合をしたのは1以来だろうか。
 2では病(と言うか産後の何か?)に伏したエイドリアンに「勝って!」と言われて。3は死んじゃったミッキーのためもあったはず。 4はアポロの敵討ち。5はよく分からんけど道でケンカしてた。なんとなくそのまま終わりかと思っていたが、 やはりロッキーという分身には自分自身で落とし前つけたかったのだろう、スタローンは。

 よく家族のためにとか、子供にプレイしている姿を見せたいなどと言いながら現役を続行したり、 レベルの高いとこに挑戦したりするスポーツ選手がいるが、やっぱ本音は自分がやりたいからでしょう。今回のロッキーはまさにそれ。 死んじまってるエイドリアンのためでもなく、自分のことを疎ましく思っている息子にいいとこ見せたいからでもない。 ただただ自分がリングにもう一度上がりたいから。その姿、実に天晴れ。ストレート過ぎるセリフもそんなロッキーが言うとグッくるです。

 シリーズ通しての出演は、ロッキーとポーリー。そして俺の記憶が正しければあと一人。 役者の名前は知らんけど、アポロのトレーナー役の奴だ。実は何気にこいつが好きだ。
 特に1で、吊るされた牛肉を殴るロッキーを見て、アポロに忠告する場面。
 「おい、アポロ。こいつはちょっと見とけ」とアポロに忠告するも、バカアポロは意に介さない。「む、アポロ側にもミッキー級にデキる奴が… 」と不安感をかきたてられた奴も多いだろう。そんな細かい役をずっと大切にしてくれたスタローン、好きです。 そしてこのファイナルは1の細部をたくさん思い出させてくる作品にもなっていた。

 1でアパートに戻るロッキーに、悪口言う不良娘が出ていたのを覚えている人はそんなに多くもないだろう。 確かワンシーンだったはず?その娘が大人になったという設定で、エイドリアンの代わりのような役を演じていた。カメも出てきた。 卵も久々に飲んだ。いつも祈ってくれた神父さんは、かつてのライバルがパンチドランカーみたいになってその代わりを。
 余談だがフィラデルフィアの街はすんげぇビンボー臭くなっていた。どうして夕張の映画祭でこの映画を上映したのか分かった。

 エンドクレジットでは、例の図書館の階段を駆け上がり、 ガッツポーズのロッキーダンスをする一般人がたくさん登場。確かにこの階段は、「ローマの休日」のライオンの口のように、 そこへ行けば誰もがそうする場所かも知れん。

 映画が終わった後、試写会場内には珍しく拍手。多くの国で愛されたキャラクターだったのだなあと痛感し、 今度こそのマジ引退を寂しく思った。でも、プロレスラーのように簡単に復帰してきても、俺は大歓迎だ。

(2007.4.17)

ロッキー・ザ・ファイナル 2006年 アメリカ
監督:シルベスター・スタローン
脚本:シルベスター・スタローン
撮影:J・クラーク・マシス
出演:シルベスター・スタローン,バート・ヤング,アントニオ・ターヴァー,
   ジェラルディン・ヒューズ,ミーロ・ヴェンティミグリア,トニー・バートン 他
公式サイト
4月20日 TOHOシネマズ六本木他にて全国ロードショー

2007/04/18/00:30 | トラックバック (1)
百恵紳之助 ,今週の一本
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