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映画『やじきた道中てれすこ』
NY舞台挨拶&記者会見レポ

『やじきた道中 てれすこ』NY舞台挨拶1

 十返舎一九の『東海道中膝栗毛』と言えば、栃面屋弥次郎兵衛(通称・弥次さん)と食客喜多八(通称・喜多さん)が、東海道に沿って江戸から大坂へと旅する姿を面白おかしく描いた滑稽本。登場キャラの「やじきた」は俗称が後に凸凹コンビの代名詞として広く普及するなど、後世にも多大な影響及ぼしたことは余りにも有名だろう。
 この『東海道中膝栗毛』が純時代劇コメディとして映画化され、このほど11月3日(土)の全国公開に先駆けて、ニューヨークでワールドプレミアが行われた。

 会場となったのは、アメリカの舞台芸術の殿堂として名高いリンカーンセンターの中にあるウォルター・リード・シアターで、ニューヨーク映画祭の会場としても使用される由緒正しい劇場。文字通り"晴れのお披露目"と呼ぶに相応しい一大イベントに、弥次さんを演じた歌舞伎役者の中村勘三郎、喜多さん役の柄本明、本作のヒロインである花魁・お喜乃役の小泉今日子、そして平山秀幸監督の四名が臨んだ。

 現地時間7月23日(月)、上映前の舞台挨拶では、最初に籠をかついだ二人の男たちが客席をぬって入場。その後ろから、劇中衣装を身につけた中村勘三郎さんと柄本明さん、小泉今日子さんが「おいおい、置いて行くな」、「何でお前らが先に行くんだ」などと映画そのままの掛け合いを繰り広げながら登場、まるでスクリーンから抜け出してきたようなユニークな趣向で客席を魅了した。その後、舞台上に平山秀幸監督が合流し、現在の心境や作品への思いなどを語った。

『やじきた道中 てれすこ』NY舞台挨拶2平山監督は、「僕はもともとビング・クロスビー(アメリカで最も人気のあった歌手の一人で、ボブ・ホープとのコンビによるコメディ映画『珍道中シリーズ』などの俳優としても知られる)、ビリー・ワイルダー、『お熱いのがお好き』なんかのコメディが好きなんです。 」とリップサービス。自身のアメリカン・コメディ映画好きがこの映画を製作したきっかけとした上で「日本の素材である『やじきた』でコメディを作れればいいな、とずっと思っていました。僕が大好きなコメディがあるアメリカ、NYで初めて上映できて、とても誇りに思っています。」と述べた。

前日22日まで同リンカーン・センターで中村座歌舞伎を公演していた勘三郎さんは、まずそのことについて謝辞を述べた後で「リンカーンセンター様のご好意でこうしてNYで「てれすこ」の映画までもが上映できまして、大変エキサイティングです。」と興奮を隠せないようだった。
毎年柄本さんとは、演舞場でご一緒させていただいていますが、今回は小泉さんも一緒ということで、ドキドキしながらやらせていただきました。」と撮影時の心境を振り返りながら、「とてものんびりしている映画です。 温泉につかったような映画です。舞台の芝居と違って、演技を変えることができませんが(笑)、楽しんでください。」と茶目っ気たっぷりに作品の魅力を語っていた。

小泉さんは、「今日はありがとございます。今ここに立っているのが、江戸時代からタイムスリップしてきたような、とても不思議な気持ちです。」と率直に現在の心境を吐露し、「3人とは人生の旅をしているような、楽しい撮影で、この旅がまだまだ先に続いて進んで行くといいなと思います。 」と述べ、旅の途中で幕を降ろす形となる今作の続編に対する期待を滲ませていた。

柄本さんは、この日、雨の中に劇場まで足を運んでくれた来場者に謝辞を述べた後で「 NYに来て、こんな格好をして非常に恥ずかしいです(笑)。日本のマスコミの方もわざわざお越し頂いて、本当にありがとうございます。ぜひ、何でもいいから記事にしてください。先ほども雨の中でいろいろやりましたが、臨場感たっぷりにしっかり書いてください(笑)!」と語って場内の爆笑を誘った。
私は首つりのシーンがありまして、前日まで芝居の稽古をしていてクランクインし、その後、座骨狭窄症で入院してしまい、退院したその日が首つりのシーンだったんです。それで発熱してじんましんも出て、そのまま玉川病院にいって……と、今日のざんざん降りの雨と同じくらい大変でしたのでぜひとも少しでも多く記事にしていただければ!と思います。」と撮影中の苦労を明かしていた。

11月3日より、丸の内ピカデリー2他全国ロードショー!

記者会見

同日、ウォルター・リード・シアターでは記者会見も行われた。主な質疑応答は以下の通り。

Q:主演映画が46年ぶりということでいかがでしたか?

『やじきた道中 てれすこ』 勘三郎:そうですね~昭和36年だからね。「あっちゃんのベビーギャング」以来。
当時はねとなりのスタジオで『椿三十郎』も撮っていて、そしたら今回もそうだったんだよね。あの頃と同じでね。匂いも同じでだんだん思い出しましたよ。本当に久しぶりでした。
この映画の企画も、下北沢で話した10年前くらいだったかな、結構むかしなんですよ。平山監督からオファーがあって、映画をやりたいね~って。
そしたら先に平山監督から勘太郎に主演の話がいっちゃって、親より先ですよ! 今度は宮藤さん(宮藤官九郎)が七之助で「真夜中の弥次さん喜多さん」撮るっていって。
っていうふうに、撮影までずいぶんあったんですよ。

Q.もしNYで上映が決まったら、この作品をどうみてもらいたいですか?

勘三郎:古きよき時代の日本映画っていうのかな、のんびり・ゆっくりする映画だし。のんびりした感じになってくれれば。

小泉:江戸時代の人間の元気なパワーを感じてもらいたいですね。

柄本:NYでの上映が決まったら本当にいいですね。日本でも時代劇が少なくなりましたからね。

Q.旅の続きが知りたいところですが?

勘三郎:さっきも控え室で話していたんだけども、三条大橋まではいきたいね。

小泉:この映画の撮影で江戸時代の風景を探して、各地でロケをしたのですが、日本にもまだまだこんな場所があるんだーと思いました。すばらしい風景がたくさんありました。私も京都までまた旅がしたいですね。

柄本:これはわたしらがやりたいって思ってもね、みなさんに見ていただかないと……だから宣伝してください(笑)!京都とは言わず広島でも長崎でも沖縄でもどこにでも行きますよ。

平山監督:映画をつくるというのはいろんな要素がかたまらないといけませんし、お客さま次第ですから、そうなるためにはたくさんの方に見ていただきたいですね。

『やじきた道中 てれすこ』NY舞台挨拶3Q.小泉さん、勘三郎さんと柄本さんという芸達者のお二人と共演されてずいぶんと刺激をうけたのではないでしょうか?

小泉:いい体験をさせていただきました。お二人は舞台でも長く共演されていらっしゃるから息もぴったりで、はじまるとお芝居が止まらないと思われるくらい、ずっと続いていくんですよね。 勘三郎さんは瞬発的に反応していく力があって、うらやましいです。撮影の合間もすごく楽しそうでした。 柄本さんはすごく苦しそう(笑)苦しすぎてナチュラルハイだったから夜中に急に笑いだしたりしていましたね。

平山監督:編集作業のときに300回くらい柄本さんの苦しむカットをみて笑いました。

柄本:先ほどの舞台挨拶でも言いましたがね、入院して退院してその期間も短くて、退院したらそのまま撮影直行で首吊りのシーンで、しまいには薬疹がではじめて熱がでて……是非ともみなさん、宣伝してください!

Q.勘三郎さんと柄本さんですから、アドリブが多かったのではないでしょうか。

平山監督:アドリブはほとんどないですよ。ほっとくとどこまでも行くお二人なので(笑)、きちんと脚本どおりにお芝居していただきました。

Q.勘三郎さんは今回映画に久々に出演されて、映画への興味というのはいかがでしょうか。

勘三郎:映画への興味はでてきましたね。撮影中は心が穏やかでしたね。女房に言われたんですよ、いつもと違うって。全然普段から違っていたんですよ。自分はものすごくせっかちで待つっていうことができないのに、映画の撮影だと不思議なことに何時間も待っていられるんですね。
舞台だとスタッフの作業風景はわかりづらいんですが、映画はスタッフみんなで作ってる、いうのがわかりやすくてすごくいい。おもしろい経験をさせてもらいましたね。また映画をやってみたいですね。

Q.小泉さん、お二人と共演されて具体的にどうでしたか?

小泉:とにかく勘三郎さんの場合はそこにいることを楽しむ力があって、スタッフを含めて誰にでも分け隔てなく、みんなに同じように接する姿がすばらしいですね。
柄本さんは……今も思い出そうとしたら苦しい顔が浮かびました(笑)。一緒にやっていてなぜだか楽しくなるんですよね、なんででしょうね。何か企んでいるような気がします。

Q.NYの印象は?

勘三郎:いろんな人がいますよね、6割が家に帰ったら英語じゃやない母国語だっていうくらいだから。世界のるつぼにいるかんじがするね。ぜも遊びでは来たくないよータクシーは捕まらないしさ、うるさいし、仕事するところだね。

小泉:数回NYには来ているのですが、何か目的をもっていなければ迷子になる街ですね。

柄本:16日から奥さんと二人で先に来ていたのですが、いろんな舞台をみて、地下鉄にも乗れて非常に楽しかったです。

平山監督:映画の印象と変わらない、ぴりぴりした街っていう印象だね。

『やじきた道中 てれすこ』
監督:平山秀幸 脚本:安倍照雄 撮影:柴崎幸三 美術:中澤克巳,中山慎
出演:中村勘三郎,柄本明,小泉今日子,ラサール石井,笑福亭松之助,淡路恵子ほか
配給:松竹 (c)「てれすこ」講中
公式

11月3日より、丸の内ピカデリー2他全国ロードショー!

2007/07/28/06:50 | トラックバック (1)
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Tracked on 2007/11/05(月)15:58:56

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