新作情報
華麗なるアリバイ

http://www.aribai-movie.com/

7月17日(土)より、Bunkamuraル・シネマ
ほか全国順次ロードショー!

INTRODUCTION

フランスの小さな村の大邸宅に集まった 9人の男女
1人の男が殺され、8人全員に動機とアリバイがあった──

『華麗なるアリバイ』それは、9人の男女の、楽しく華やかなパーティのはずだった。一発の銃声と女の悲鳴が、事件の幕開けを告げるまでは──。舞台は、のどかで美しい風景が広がるフランスの小さな村、ヴェトゥイユの大邸宅。ホストはそこに住む上院議員夫妻、ゲストは医師夫妻に彫刻家、作家に女優といった上流階級の男女で、親戚や友人関係のごく親しい間柄だ。殺されたのは、精神分析医のピエール。医師としては非常に優秀な男だが、女性たちには危険な魅力をふりまいていた。結婚当初から妻への忠誠心はカケラもなく、パーティに集まった女たちの中には、過去の火遊びの相手、現在の愛人、そして復縁を迫る元恋人がいた。事情を知る男たちも含めて、全員がピエールに愛情と嫉妬、憎しみや哀しみなど複雑な想いを抱えていた。それは何かのきっかけさえあれば、殺人の“動機”にも成り得る危ない感情だった。しかしまた、全員に“アリバイ”もあった。銃声が鳴り響いたプールサイドに彼らがほぼ同時に駆けつけた時、ピエールの妻が銃を手にしていた。だが、彼女の供述どおり、一歩早く駆け寄って銃を拾っただけだと証明される。犯人は誰か、そして真の動機は何なのか? 捜査が暗礁に乗り上げ、互いに誰も信じられなくなった時、第2の殺人が起きる──。

愛は極上のミステリー、女は永遠の謎──
不世出の“ミステリーの女王”が描いた、華麗なる恋愛模様

世界中で25億部以上という驚異的な売り上げを記録、聖書とシェイクスピアの次に多く読まれていると言われる作家、アガサ・クリスティー。ミステリーの女王”の称号は、生誕120年を迎える2010年の現在も、変わることなく彼女のものだ。本作『華麗なるアリバイ』は、クリスティーが1946年に出版した「ホロー荘の殺人」の映画化である。男女の複雑な心理と、華麗なる愛の駆け引きを描いた「ホロー荘の殺人」は、推理小説としての完成度はもちろん、恋愛小説としても高く評価されてきた。この小説にも、クリスティー作品には欠かせない名探偵ポワロが登場するが、クリスティーは自伝の中で、「ポワロを登場させたのは失敗。ポワロを抜きにしたら、もっとよくなると思い続けた」と記している。そして、より人間の心に深く踏み込むために、彼女は舞台版を執筆した際に、自らの手で名探偵役を削除した。今回、映画化にあたっても、舞台版に準じてポワロの存在は削除された。愛は永遠のミステリーであり、その謎だけは名探偵をもってしても、解くことはできない。『華麗なるアリバイ』では、最後に真犯人が明かされるが、愛の謎を解くのは、スクリーンの前の私たち自身なのだ。

アガサ・クリスティーの名作を、フランスが誇る豪華キャストで完全映画化!
これが、フランス映画の原点──
軽やかなユーモアを備えた人間ドラマを支えるスタッフキャスト

『華麗なるアリバイ』2監督は、パスカル・ボニゼール。ジャック・リヴェット監督、アンドレ・テシネ監督らの作品の脚本家として知られている。殺人事件や三角関係など、重々しくなりかねないテーマを、軽妙なユーモアに満ちた会話を織り交ぜて描く、洒落たフランス映画の原点に立ち返った。ボニゼール監督を助け、舞台を原作の英国から現代のフランスへと移動させた脚色は、ブノワ・ジャコ監督との長年のコラボレーションで知られるジェローム・ボージュール。キャストには、フランス映画界を代表する新旧のトップスターが集まった。天性の魅力で女たちを惹きつけるピエールには、『マトリックス レボリューションズ /リローデッド』のランベール・ウィルソン。彼の妻で最初の容疑者だったクレールには、アンヌ・コンシニ。『愛されるために、ここにいる』でセザール賞主演女優賞にノミネートされ、『潜水服は蝶の夢を見る』で国際的にも高く評価された。ピエールの現在の愛人である彫刻家のエステルには、フランソワ・オゾン監督の『ふたりの5つの分かれ路』『ぼくを葬る』で賞賛を浴び、『ミュンヘン』などハリウッド大作にも出演しているヴァレリア・ブルーニ=テデスキ。現フランス大統領夫人のカーラ・ブルーニ・サルコジの実姉としても知られている。上院議員の妻エリアーヌには、大女優の域に達しながら、いつまでも愛らしく軽やかな魅力を振りまく『輝ける女たち』のミュウ=ミュウ。また、反抗的な上院議員の姪クロエには、ボニゼール監督の娘アガット・ボニゼールが扮している。手つかずの自然に囲まれた大邸宅、そこに集う男女の洗練されたファッション、その下に渦巻く愛と憎しみ、冷静に仕組まれたトリック──真犯人に辿り着く最後の瞬間まで、上質で危険なひと時をあなたに──。

インタビュー

パスカル・ボニゼール監督 インタビュー

――アガサ・クリスティーの作品の中で、なぜ「ホロー荘の殺人」だったのですか?

推理の筋立てという点においては、クリスティー作品の最高傑作とはいえないかもしれません。しかし、この小説が独創的なのは、登場人物の感情が特別な重要性を持っていて、ある意味独立した物語を形成していることです。これはクリスティー作品においてかなり異例なことです。ここに私は夢中になりました。クリスティーがこの小説を書いているとき、彼女の心を占めていたのは、果たして殺人の謎解きだったのか、それとも幾つもの愛の物語だったのか…何度も考えました。

――しかしやはり、ミステリーの古典です。

もちろん。原作ではエルキュール・ポアロが探偵役ですから。しかし謎解きに関してはそれほど重要ではなかったのかもしれません。事実、クリスティー自らが執筆した戯曲でも、ポアロは削除されています。私もこれを採用しました。舞台を現代のフランスに置き換えると決めたとき、ポワロを想像することが出来なかったからです。その代わり、ジャンル映画の規則、“殺人の謎と結末での事件解決”という決められた筋書きを守ることにしたのです。

――離れのある家、複雑な関係の大家族:これは一種のクルード(探偵ボードゲーム)と言えますね。

『華麗なるアリバイ』3ゲームという点に関しては、完全に認めます。この映画が、一つのクルード、そして一種のパズルとして成立するよう意識しました。ワンシーン・ワンカットはあまりありません。まるでテーブルの上に散らばっているパズルのピースが集められて当てはめられるのを待っているかのように、ショットは分断され、分割されています。プールでの殺人の場面はこのように作られました。登場人物たちは . 彼らがピースであるのですが . 被害者の周りに無秩序に散らばっているように見えますが、実は秘密の秩序があるのです…そしてもちろん足りないピースがあります。欠落があるのです。そしてこれは一時的な欠落です。誰がいつ何をしていたか? 例えば、マルトがピエールに監視されながらプールの中で泳いでいる時と彼女が戻ってきてエステルがクレールにしようとした告白を妨げてしまう時の間に、何が起こったのか? もしかしたら何も起こっていないかもしれないし、もしかしたら何か決定的なことが起こったのかもしれない。そして記憶の欠落もあります。かつての大恋愛をもう思い出せないくせに、それを夢見るピエールの記憶の欠落、そしてもちろんアルコールに絡んだフィリップの記憶の欠落もあります。刑事捜査の作業の一つは容疑者たちのタイムスケジュールにある欠落を見つけて埋めることなのです。私はこの手法を多用し、大いに楽しみました。

――フランスを代表する豪華俳優たちが集まりましたね。

アガサ・クリスティー作品において、私が描きたかったのは、コメディとドラマの中間、喜劇に悲劇を混ぜ合わせることでした。これを可能にしたのが今回の俳優たちでした。小説でのエキセントリックな淑女からフランスのブルジョワに移し替えたミュウミュウ演じるおしゃべりな妻は、ピエール・アルディティ演じる上院議員やマチュー・ドゥミ扮するアルコール中毒の小説家のある側面のように、コメディの部分を引き立たせています。他の登場人物も喜劇的に見えるかもしれませんが、奥深い所ではそうではありません。アンヌ・コンシニは幾つにも重なり合った面を持つピエールの妻役に素晴らしい広がりを与えています。ヴァレリア・ブルーニテデスキは彼女の演じる情熱的な愛人に重々しさと同時に美しい明るさを与えていますし、ある意味では彼女の正反対を行くレア役のカテリーナ・ムリーノはヒステリーの持つ邪悪さをもたらしています。苦悩するオフェリアのようなセリーヌ・サレットとちょっとたちの悪い役の私の娘アガットを合わせると、多くの女性が出てくることに気づきますが、私はこの点もとても気に入っています。

――精神分析に関心があるのでしょうか? ランベール・ウィルソンの演じるピエール・コリエは精神分析医ですね。

原作では精神科医で、変成の病気についての研究をしていますが、その中の一つがアガサ・クリスティーが想像したと思われるリッジウェイ病です。映画の中では、ピエール・コリエは記憶障害についての専門家です。それと、彼自身がちょっと病気なのです。無意識のドン・ファンで、征服者というよりも苦悩に満ちており、最初に登場する場面から彼自身がカウチに横たわっています。全ての登場人物にとって、過去は病気を引き起こす原因なのです。この既に終わってしまったはずの過去が、レアとの再会によって甦り、壊滅的な結果を生んでしまったのです。

7月17日(土)より、Bunkamuraル・シネマ
ほか全国順次ロードショー!

Production Note

「脱アガサ・クリスティー」の試み

『華麗なるアリバイ』4『華麗なるアリバイ』は 1946年に出版されたアガサ・クリスティーの小説「ホロー荘の殺人」(フランス語タイトルは Le Vallon)の映画化である。小説にはエルキュール・ポワロが登場するが、この物語を現代のフランスに置き換えることを決めたボニゼール監督は、ポワロを削除することにした。(クリスティー自身もこの作品の舞台版を書いた際に自らポワロを削除している。)

クリスティー作品の映画化

世界中で 25億部以上を売り上げているアガサ・クリスティーはウィリアム・シェイクスピアに続き 2番目に多く読まれている作家である。彼女の作品は 1920年代後半より十数本の映画化がされている。最初に成功した作品はビリー・ワイルダー監督の『情婦』(57)である。70年代には華やかなキャストを得た幾つかのクリスティー作品が撮影された。例えばリチャード・アッテンボロー、シャルル・アズナブール、オリヴィエ・リード出演、ピーター・コリンソン監督の『そして誰もいなくなった』(74)、アルバート・フィニー、ローレン・バコール、イングリッド・バーグマン出演、シドニー・ルメット監督の『オリエント急行殺人事件』(74)、ピーター・ユスチノフ、ジェーン・バーキン、ベティ・デイヴィス出演、ジョン・ギラーミン監督の『ナイル殺人事件』(78)、トニー・カーティス、ロック・ハドソン、キム・ノヴァク主演、ガイ・ハミルトン監督の『クリスタル殺人事件』(80)などである。2000年まで、クリスティーの相続人たちは監督に、原作に忠実であることを要求したため頓挫した作品もあった。以降、クリスティーの孫は自由な創作に反対しないことを宣言している。近年ではパスカル・トマ監督が、カトリーヌ・フロとアンドレ・デュスリエが主演した『アガサ・クリスティーの奥様は名探偵』(05)と“Le Crime est notre affaire”(08)、そして『ゼロ時間の謎』(07)を発表して挑戦している。

C R E D I T

<キャスト>
エリアーヌ・パジェス/ミュウ=ミュウ ピエール・コリエ/ランベール・ウィルソン
エステル・バシュマン/ヴァレリア・ブルーニ=テデスキ アンリ・パジェス/ピエール・アルディティ
クレール・コリエ/アンヌ・コンシニ フィリップ・レジェ/マチュー・ドゥミ レア・マントヴァニ/カテリーナ・ムリーノ
グランジュ刑事/モーリス・ベニシュー マルト/セリーヌ・サレット クロエ/アガット・ボニゼール
ジュヌヴィエーヴ・エルバン/エマニュエル・リヴァ ミシェル/ダニー・ブリヤン

スタッフ
監督/パスカル・ボニゼール 脚本/パスカル・ボニゼール,ジェローム・ボジュール
原作/アガサ・クリスティー「ホロー荘の殺人」
製作/サイド・ベン・サイド ライン・プロデューサー/シビル・ニコラ 音楽/アレクセイ・アイグイ
撮影/マリー・スペンサー 編集/モニカ・コールマン 録音/フィリップ・リシャール
美術/ヴァウター・ズーン 衣装/マリエル・ロボー

原題:LE GRAND ALIBI/ 2008/フランス/ 93分/ビスタサイズ/ドルビー SR/字幕翻訳:松浦美奈
プレス編集協力:山元明子(ヘルベチカ)、Yuko TANAKA 
(c)2008 - SBS FILMS - MEDUSA FILM
協力:ユニフランス東京  提供:ニューセレクト  配給:アルバトロス・フィルム
公式サイト:http://www.aribai-movie.com/

7月17日(土)より、Bunkamuraル・シネマ
ほか全国順次ロードショー!

ホロー荘の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫) [文庫] ホロー荘の殺人
2010/06/26/13:49 | トラックバック (0)
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