新作情報

モンガに散る

http://www.monga-chiru.com/

2010年12月18日(土)より、
シネマスクエアとうきゅう他全国順次ロードショー!!

INTRODUCTION

台湾映画、本年度最高動員記録を樹立!
第83回アカデミー賞外国語映画賞、台湾代表作品に決定!
数々の快挙を成し遂げ、社会現象を巻き起こした衝撃作が遂に日本上陸!

『モンガに散る』12010年の台湾は、旧正月明けと共に画期的な一歩を踏み出すことになった。伝統的にハリウッドや香港=中国合作による大作映画の指定席で、純台湾製映画など入り込む隙もなかったこの季節に、『モンガに散る』が映画業界長年の常識を打ち破って登場。初日興行収入で『アバター』を抜く快記録を樹立したからだ。その後も、台湾映画には類を見ないスケール感、涙なしには見られない心洗われる青春ドラマに対する感動が口コミで伝わり、観客数は増加の一途。最終的に、台湾映画史上最高動員記録を持つ『海角七号/君想う、国境の南』(08)に迫る歴代第二位という記録を樹立した。もちろん本年度公開の台湾映画としては、今日に至るまでダントツ第一位の座についている。
作品への評価も、本年度台湾映画中、名実共に最高の賞賛を手中に収めている。完成するなり第60回ベルリン国際映画祭でワールドプレミアされたほか、本年度アカデミー賞外国語映画賞台湾代表作品にも選出。またジョン・ウー、ピーター・チャン、ホウ・シャオシェンら中華圏の名だたる巨匠監督たちが一様に絶賛し、応援にも乗り出すなど、前例のない評価と歓迎を受けている。

『モンガに散る』の原題は「艋舺」(モンガ)。台北市西部の最も古くから拓けていた下町の名で、現在の地図では一般に「萬華」(万華)と記されている地域。東京で例えれば、浅草に歌舞伎町の要素をミックスしたような性格を持つ。台北市繁栄の起源となった街であり、寺と仏具街、そして歓楽街(当局公認の赤線地帯を含む)が並存。同時に極道たちがそこで縄張り争いを繰り広げてもいた。「艋舺」は、元来台湾先住民の言葉で「小船」を意味する。転じて河に面し「小船が集まる場所」であったこの街が、「艋舺」の名で呼ばれるようになった。その後日本統治時代に、発音の似た「萬華」に漢字表記が改められた経緯を持つ。
『モンガに散る』は、この古くからの繁華街を舞台に、そこで生きる若者たちの青春の疾走を描き出した作品。同時に、黒社会の荒波に揺れる一隻の「小船=運命共同体」に乗り合わせてしまった彼らの、契りと裏切り、そして固い絆と友情、夢を描いた作品でもある。

『モンガに散る』2時代設定は80年代。日本の80年代と同様、誰もが際限なき高度経済成長を信じ、明日は今日よりもっと輝かしい日が来ることを夢見ながら突っ走っていた時代……。さらに台湾では、長年人々を統制し緊張させてきた戒厳令が87年、ついに解除される。
『モンガに散る』は、その戒厳令解除前夜の86年を背景に語り起こされる。この街の実業高校に転校してきたモスキートがチンピラグループの一員となり、メンバーたちと義兄弟の契りを結ぶなかで謳歌する美しく刺激的な日々と、やがて黒社会の抗争に巻き込まれて直面する過酷な試練を、壮大で革新的な物語スケール、エア・サプライ(バラードで数々のヒットを飛ばした80年代の洋楽を象徴するバンド)の曲から、パックマン(当時大流行した日本産のコンピューターゲーム)まで濃厚な時代感覚を湛えたディテール、そして独創的というほかないパワー漲るアクション・スペクタクル演出を交えて描き出した作品だ。

この台湾映画史に燦然と輝く傑作を監督したのは、役者出身で、ホウ・シャオシェン監督『風櫃(フンクイ)の少年』(83)などに出演し、07年に『ビバ!監督人生!!』で映画監督デビューしたニウ・チェンザー。主演はイーサン・ルアンとマーク・チャオ。共にニウ・チェンザーがテレビドラマ監督時代に育て上げて大ブレイクし、現在は台湾のみならず中華圏全域で人気急上昇中の注目株だ。他に『九月に降る風』(08)のリディアン・ヴォーン、『一年之初』(06)のクー・ジャーヤンなど、台湾新世代の若手実力派俳優たちが脇を固めている。

2010年12月18日(土)より、
シネマスクエアとうきゅう他全国順次ロードショー!!

Production Note

ホウ・シャオシェン直系の愛弟子が台湾映画界に新風を巻き起こす

『モンガに散る』3台湾映画に新しい生存の道を呈示した『モンガに散る』の監督ニウ・チェンザーは、台湾版『監督・バンザイ!』とも呼ばれる半自伝的作品『ビバ!監督人生!!』(07)で監督デビューするなり、ロッテルダム国際映画祭NETPAC賞を受賞するなど、一躍台湾映画界の未来を託されるようになった。
『モンガに散る』は彼の待望の映画監督第2作目で、前作の極私的な作りから一転、フランシス・フォード・コッポラやジョン・ウーにも通じる大作感、娯楽性を備えた演出力を見せつけた。ニウは、ホウ・シャオシェンの『風櫃(フンクイ)の少年』(83)で主演を務めるなど、いわばホウの薫陶を受けて育った直系の愛弟子。役者としては他に同監督の『ミレニアム・マンボ』(01)や、チェン・クンホウ監督の『少年』(83・未)、ワン・トン監督の『バナナ・パラダイス』(89)など台湾ニューウェイブの代表作に出演し、フランス、ヌーヴェルヴァーグにおけるジャン=ピエール・レオのような、台湾ニューウェイブの代名詞男優として活躍してきた。
 その一方で2000年代からは、台湾テレビドラマのディレクター、プロデューサーとしてもF4の「部屋においでよ~Come to My Place~」、飛輪海(フェイルンハイ)の「花ざかりの君たちへ~花様少年少女~」など大ヒットドラマを次々と送り出し、いわば華流テレビドラマブームの火付け役となる。『モンガに散る』は、そんな彼が台湾ニューウェイブ映画の伝統から学んだ、人の心を奥底から揺さぶってやまない作劇術と、華流テレビドラマの経験から学んだ人口に膾炙(かいしゃ)する語り口が、奇跡的にも高いクオリティで融合した作品として成立している。

守りには入らないキャスト・スタッフの起用

『モンガに散る』4完成の目処も公開の目処もないまま作られていた『海角七号/君想う、国境の南』(08)とは異なり、『モンガに散る』は、予め旧正月映画としてハリウッド・メジャー(ワーナー・ブラザース)によるローカル配給が約束された中、製作された作品だ。必然的にそれは監督に、ブロックバスター・ムービーとしての大ヒットという宿命を課すことになる。だがニウは、だからといって『レッドクリフ』(08)のような、既に映画界でネームバリューを確立した大スターでキャスティングを固める道は選択しなかった。
主演を務めるイーサン・ルアンとマーク・チャオは、共に映画の世界では新顔に属するが、ニウがかつて手がけたテレビドラマでその才能と魅力を見込まれ、頭角を顕してきた若手実力派俳優だ。ニウがテレビ時代から手塩にかけて育て上げてきた次世代の才能を、そのまま映画でも起用したことになる。ほかにも『九月に降る風』(08)のリディアン・ヴォーン、『一年之初』(06)のクー・ジャーヤンなど、いずれも台湾映画の未来を託すに相応しい“来るべき才能”を思い切って主役級に起用しているのが特徴だ。
スタッフ編成にあたっても、その方針は貫徹。撮影監督には、ニューヨーク・インディーズシーンに関わった後、単身台湾に渡り、『一年之初』『ヤンヤン』(09・未)などの新世代台湾映画のほか、『ピノイ・サンデー』(09・未)、『風声』(09・未)などアジア圏合作作品のカメラマンとして活躍し、“第二のクリストファー・ドイル”とまで賞賛されるようになった若手ジェイク・ポロックを起用。既成台湾映画の小品感とは一線を画した、ダイナミズム溢れる映像で観る者を圧倒した。
また音楽を手がけているのは、フィリピン生まれで、女性シンガーソングライター、音楽プロデューサーとして台湾音楽界で活動するサンディー・チェン。台湾版グラミー賞とも言われる金曲奨で昨年度の最優秀女性歌手賞に輝くなど、現在台湾ミュージック・シーンでトップの地位にいる彼女だが、これまで誰も彼女を映画音楽家として起用したことはなかった。物語設定上はヤクザ映画、アクション映画にも分類できる本作だが、それらのジャンル映画にありがちな音楽とはまったく異質な、甘美でノスタルジー感溢れる彼女の音楽が、本作独自の質感とテーマをさらに浮き彫りにした部分も多い。
ほかに、青春群像劇『九月に降る風』で一躍台湾新世代監督の最注目株に躍り出たトム・リンが、本作ではチーフ助監督を担当。また製作は、女優としてエドワード・ヤンの『海辺の一日』(83・未)などで活躍した後、『Orzボーイズ!』(08・未)を大ヒットさせ、突如新世代映画プロデューサーの旗手とも目され始めたリー・リエが手がけている。

『オールド・ボーイ』のアクションと80年代の日本

『モンガに散る』5『男たちの挽歌』(86)『欲望の街・古惑仔』(95)シリーズ、『インファナル・アフェア』(02)など、黒社会もの、チンピラ・アクションものでは数多くの名作と定型化されたスタイルを持つ、中華圏映画界。けれどニウが心がけたのは、そうした中華圏映画の既成ジャンルには決して属さない、まったく新しい大衆娯楽映画の創出だった。前出のサンディー・チェンに“らしくない”音楽を委託したのもそうした姿勢の表れだが、他にも独自の美学創出のため様々な努力が払われている。
その一つが、アクション監督に敢えて韓国のヤン・キルヨンを起用したこと。パク・チャヌク監督作『オールド・ボーイ』(03)のアクション演出で内外に知られる彼の手に、台湾ヤクザ、不良少年たちのアクション指導を委ねることで、伝統的中国アクション映画にはなかった斬新なスタイルを展開することに成功した。
またモンガという街が、伝統的にも、そして80年代当時の“現在”という観点からも、日本文化の影響を色濃く受けていたことに注目。ゲタ、刀、そして桜など数多くの日本由来の符丁が劇中で重要な役割を果たしている。そして、当時台湾でも若者たちの間で一世を風靡していた中森明菜や近藤真彦のファッション・センスが若者たちのファッション造形に取り入れられ、これも本作を既成の黒社会アクション映画とは一線を画したニュー・スタイルの作品とすることに貢献している。

日本へのラブレター

ニウはゲタ親分を、“日本の統治時代に日本人の精神性を教え込まれ、結果として日本人の心を持った台湾人”として描いたという。「つまりゲタは、台湾の元総統の李登輝と同じ世代の人。ゲタの心の中には武士道を柱とした、日本人の精神が息づいている」と、監督は語る。そのような台湾人がいたからこそ、今の台湾があり、台湾人もいるのだと。
かく言う監督も、大の日本びいき。普段から日本製の衣服を身に着けており、「日本の製品が一番だって信じているからね。僕は小さい頃から日本刀に憧れていた。日本刀の形といい、あの独特の輝きといい、あれほどカッコいい武器はこの世にないと思っているよ」と語る。どうやら本作は、監督の日本に対する長年の想いが込められたラブレターだったようだ。

経済効果10億円!陰の立役者、プロデューサーのリー・リエの手腕

『モンガに散る』6監督・キャストに加え、この作品が台湾で成功した陰の立役者として挙げられるのがプロデューサーのリー・リエだ。リーは、台湾では知らない人はいないと言っても過言ではない人気女優だった。「プロデューサーをやろうと思ったのは、台湾の映画界の状況があまりに悪かったから。映画を撮りたい人が、映画を撮れない状況を見て何とかしたいと思ったの」と語る。でも、実際に映画を撮るための資金を集めるのは彼女にとっても大変なことだった。結果的に、自分が製作した『Orzボーイズ!』、『モンガに散る』の2作品は、どちらにも自ら出資をしている。「『Orzボーイズ!』に出資したのは出資金が集まらなかったから。撮影も迫り他に選択肢がなかったから、エイッと思って、出資してしまったの。でも『モンガに散る』への出資は状況が違うわ。この映画の場合は、成功する自信があったから。製作の過程でこの作品には出資したいと思って、自分から出資させて欲しいと申し出たのよ」今も美しく、”女優” と呼ぶに相応しい優雅な雰囲気を失わないリーだが、そのビジネスセンスと企画を見抜く目は相当なもののようだ。
すべてのキャスト、スタッフが絶対服従(!?)だったニウ監督すら、頭が上がらないのもリー・リエだ。前述の通り、資金集めにも奔走したリーだが、実は彼女の大きな功績がもう一つある。「この映画はスタジオで撮影するのではなく、出来るだけロケを行うことが大事だと思った。“モンガ”という場所、街の雰囲気を画面に映し出すことが この映画には不可欠だったから」。しかしモンガの街は古く、通りも狭く、そこでロケをするにはあらゆる人たちの協力が欠かせなかった。台北市長、萬華区長、そして町長から商店街会長まで。その人たちへの説得に、絶大なパワーを発揮したのが大女優のリー・リエだったのだ。「僕が映画の企画を熱く語るより、彼女が出て来て頭を下げる方が、何より効果があった。特にあの年代の人たちにとって、彼女の存在は絶対だったから。彼女がいなかったら、あそこまでの協力を得ることは難しかったと思う」とニウは語る。そして、『モンガに散る』は萬華地区の人々の協力に対し、素晴らしい恩返しをした。大ヒットに伴い、映画のロケ地は観光客を呼び、ロケ地マップまで出来る人気の観光スポットとなった。『モンガに散る』が萬華地区にもたらした経済効果は、10億円とも言われている。

C R E D I T

キャスト
モスキート:イーサン・ルアン モンク:マーク・チャオ ゲタ親分:マー・ルーロン ドラゴン:リディアン・ヴォーン
シャオニン:クー・ジャーヤン ブンケアン:ジェイソン・ワン 白ザル:ツァイ・チェンシェン アペイ:ホァン・トンユー
ドッグ:チェン・ハンティエン ウルフ:ニウ・チェンザー

スタッフ
監督・脚本・編集:ニウ・チェンザー 脚本・編集:ツォン・リーティン 編集:リン・ユンイー
撮影監督:ジェイク・ポロック 音楽:サンディ・チェン プロダクション・デザイナー:ホアン・メイチン,チェン・ポージェン
衣装デザイン:ファン・チールン,ター・リー アクション監督:ヤン・キルヨン 製作:リー・リエ,ニウ・チェンザー
2010年/台湾/141分/シネマスコープ/ドルビーデジタル/PG12
原題:艋舺(MONGA)/字幕翻訳:税田春介
提供:ハピネット/ブロードメディア・スタジオ 配給:ブロードメディア・スタジオ
(c)2010 Green Days Film Co. Ltd. Honto Production All Rights Reserved.
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2010/11/27/20:44 | トラックバック (0)
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