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再会の食卓

40年後の再会も、いつもの食卓からはじめよう。

中国と台湾、隔てられた悲しい歴史――。
40年ぶりに、生き別れになった夫が上海に帰ってくる。
新しい夫がいる妻の元へ――。

http://shokutaku.gaga.ne.jp/

2011年2月5日(土)より、TOHOシネマズシャンテ、
Bunkamuraル・シネマ他全国順次公開

INTRODUCTION

ベルリン国際映画祭で2度目の栄冠に輝く
今、世界が最も注目するワン・チュエンアン監督最新作

『再会の食卓』2010年2月、ベルリン国際映画祭で快挙が成し遂げられた。ワン・チュエンアン監督が、前作『トゥヤーの結婚』で金熊賞(グランプリ)を獲得したのに続いて、最新作『再会の食卓』で銀熊賞(最優秀脚本賞)を受賞したのである。
戦争で夫と生き別れ、新しい夫や家族と平穏に暮らす妻の元に、40年以上の時を経て、元夫が帰ってくる。戸惑いながらも男を食事に招き、精一杯もてなす一家。しかし、彼には元妻に対する密かな願いがあった。「これからの人生、私と一緒に台湾で暮らしてほしい」。中国と台湾を隔てる悲しい歴史に翻弄された二人の夫と妻、そしてその家族。共に食卓を囲む彼らのそれぞれの思いが、溢れ出していく──。
2009年の中国国内の興行収入が史上最高の60億元(約750億円)を記録し、フォン・シャオガン監督の『唐山大地震』の興行収入が5億元を突破するなど、活況を呈する中国映画界。そして、チェン・カイコー、チャン・イーモウら中国映画第五世代と呼ばれる監督たちに続いて、『長江哀歌』のジャ・ジャンクー、『ふたりの人魚』のロウ・イエら第六世代、さらには第七世代も台頭し、国際映画祭を席巻している。そんな中、ワン・チュエンアンは、ベルリン国際映画祭で、前作『トゥヤーの結婚』の金熊賞に続いて、『再会の食卓』で銀熊賞を受賞。今や世界が最も注目する中国人監督となった。今回ワン・チュエンアンは、台湾の老兵が上海の妻を訪ねるというニュースを元に、若手女性脚本家ナ・ジンと脚本を書き上げ、ひとつの家族に中国と台湾の関係を映し込んだ感動の人間ドラマを生み出した。また、撮影は『驚蟄』『トゥヤーの結婚』でも監督とタッグを組んだドイツ人カメラマン、ルッツ・ライテマイヤーが担当。高層ビルが建ち並ぶ上海の発展ぶりはもちろん、それとは対照的に所狭しと干された洗濯物、あるいは客を迎えるためにテーブルいっぱいに並べられた料理など──中国人にとっては日常であっても、我々外国人にとってはもの珍しい光景をもさりげなく切り取ってみせる。
ワン・チュエンアンが『トゥヤーの結婚』まで組み続けたミューズ、ユー・ナンの次にヒロインとして選んだのは、ベテラン女優リサ・ルー。アメリカを中心に、『ラストエンペラー』『ジョイ・ラック・クラブ』など海外の作品で活躍してきたリサ・ルーだが、実は上海育ち。上海語が不可欠な本作で、二人の夫の間で揺れる上海人女性を見事に演じてみせた。元夫を演じたのは、台湾で歌手、プロデューサーとして活躍してきたリン・フォン。台湾のテレビで初めて中国のことを紹介する旅番組を仕掛け、中台の架け橋となった重要人物だ。現夫を演じたのは、中国のベテラン俳優シュー・ツァイゲン。そして、イェンションを案内して回るユィアーの孫娘ナナを、注目の若手女優モニカ・モーが演じている。
中国と台湾の複雑な関係を背景にしながらも、“食卓”を舞台に、家族の在り方、家族で語り合うことの大切さを問いかける本作。上海の摩天楼の下にたたずむ小さな家で、長い歴史を刻み年老いた男女三人の、哀しくも美しい人生のドラマが再び始まろうとしている──。

Production Note

ある老兵と妻の実話を元にした物語

『再会の食卓』21949年に国民党が台湾に撤退して以来、長い間中国と台湾は分断されてきた。1987年に規制が緩和され、少しずつ交流が行われるようになったが、今もオリンピックなどでは、台湾が「チャイニーズ・タイペイ」として出場するなど、「独立」か「統一」か定まらぬままである。ワン・チュエンアン監督は、ベルリン国際映画祭で受賞を果たしたことに、特別な思いを抱いたと明かす。
「『再会の食卓』は、別れと再会を描いた愛の悲劇、そしてひとつの国がふたつに分断されるという歴史的な悲劇について描いた作品です。東西ドイツ、南北朝鮮、中国と台湾、前世紀の戦争は、あまりに多くの人々に母国の分断という不幸を経験させました。ですから、東西に分断されていたベルリンで受賞したことはとても感慨深いことです。運命的なものを感じました」 ワン・チュエンアンがこの企画を思い付いたのは、たまたまテレビで見たニュースがきっかけだった。
「台湾の老兵が上海の妻を訪ねるというニュースをテレビで見ました。普通に見れば、単なる結婚生活での出来事ですが、その裏には前世紀の中台の傷跡が見え隠れしていました。私はそのニュースに触発されて、映画化に取り組み始めたんです。まず、私たちは実際にニュースで見た老兵と上海の家族を取材しました。約3ヶ月間の取材の中で、彼らの歩んできた人生の軌跡がとてもドラマティックなことに驚きました。そしてこの“真実の物語”を元に、この作品で伝えたい様々な要素とメッセージを加えることで、更に深みのある物語を描くことができたと思います」

現代の中国を象徴する街、上海

物語の舞台となるのは、上海。世界でも類を見ないほどのスピードで発展している大都市だけに、監督でさえも日々の街の変化に追いつけなかったという。
「実は、この作品を製作する上で想像以上に困難を極めたのが、上海の撮影でした。上海はすべてが極端な街です。最先端のモダンとその対極にあるアンティークが混在し、驚くほど裕福な人々がいるかと思えば、助けが必要な人々もいる――。まるで、空想上の都市のようで、上海のどこをどういうふうに撮ればリアリティが出るのか最初は全く想像がつきませんでした。結局私は、直感だけを頼りに撮影を進めました。完成した映画を観た時に初めて、現在の上海は中国全体の縮図なのだと気付きました」
古い街並を再現した撮影所「上海影視楽園」があるため、今、上海では映画撮影が盛んに行われている。しかし、検閲の厳しい中国において、中国と台湾の分断というデリケートなテーマを扱った作品の撮影に困難がつきまとうことは容易に想像できる。
「政府が最も敏感になっている政治問題のひとつを扱っているので、製作には予想以上のプレッシャーと困難を経験しました。しかし、中国で映画を製作する時に直面せざるを得ないさまざまな関門に、私はもう慣れています。さまざまな難題に対処することが映画製作の一部になっていますし、時には困難な状況でこそ、創造性や知恵が生まれるということも知ることができました」

リアルにこだわったキャスティング

『再会の食卓』3キャスティングも難航するかと思われたが、監督の鋭い嗅覚によって、これ以上ない俳優陣を迎えることに成功した。監督はまず玉娥役の選出から始めた。
「このユィアーという役に必要なのは、上海の普通の市民の視点を持っていて、さらには中華民国時代の大家族の雰囲気も感じさせる女性であること――。その要素を備えた女性を探すにあたって、まず一番に頭に浮かんだのが、アメリカを拠点に50年代から活躍してきた国際派女優リサ・ルーの存在でした。そしてリサーチの結果、彼女がネイティブな上海語を話すということを知り、この役には彼女しかいないと確信したのです。幸運なことに、彼女がこの作品を大変気に入り、事務所を通さずこのプロジェクトに参加してくれることになりました。こうしてリサ・ルーに話をした三日後には、彼女と会うことができ、その後一週間で仕事の話をまとめあげることができました」
そして、元夫の燕生役には、台湾のタレント、プロデューサーであるリン・フォンを抜擢した。中国に生まれ、台湾で育ったリン・フォンは、87年に中国を紹介する初めての旅番組の製作に乗り出し、強制送還やテープの没収など幾多の困難を乗り越えて『八千裡路雲和月』を完成。その後中台の文化交流をの促進に尽力している。彼の波瀾万丈なキャリアは、中台関係に翻弄されるという役柄を演じるには、あまりにも説得力があった。

中国における、家族で食卓を囲むことの意味

『再会の食卓』では、タイトルの通り、食卓が重要な鍵となっている。中華料理のレストランには必ずと言っていいほど大きな円卓があるが、中国では日本以上に一家全員で食卓を囲むことに重きを置いている。
「この作品の中には、家族が食卓を囲んで一緒に食事をするシーンが何度も出てきます。最初は穏やかな言葉や行動が描かれていますが、徐々に複雑で激しい感情がゆっくりと表れてきます。これは、中国でも東北人特有の感情表現の手法です。会話や食事を何度もしていくことで、感情が表しやすくなっていくのです」
さらに、ワン・チュエンアン監督は家族の在り方についても説く。
「我々中国人は特に家庭円満を重視します。団らんの中には楽しみもあるが、悩みが生じることもあります。そして、時に我々が期待する円満とは違う方向にむかう場合があります。それは長い間に生じた隙間を乗り越えることができないからです。しかし、それでも我々は常に円満を追い求めます。その姿こそが、この作品のテーマなのです」
『トゥヤーの結婚』に続き、『再会の食卓』でも、少し特殊な環境に置かれてはいるが、市井の人々の生活を掘り下げてみせたワン・チュエンアン監督。そこには、監督としてのこだわりがあった。
「私はこれまで一般市民の普通の生活を描き続けてきました。我々が想像して作り上げる物語よりも、市民の実際の生活の方が、何倍も深みのあるものだからです。私の仕事は、生活を理解することだと思っています」

C R E D I T

監督:ワン・チュエンアン『トゥヤーの結婚』 脚本:ワン・チュエンアン/ナ・ジン
出演:リン・フォン/リサ・ルー/シュー・ツァイゲン/モニカ・モー
原題:団圓/中国映画/96分/ビスタサイズ/ドルビーSR、ドルビーデジタル 配給:ギャガ
http://shokutaku.gaga.ne.jp/

2011年2月5日(土)より、TOHOシネマズシャンテ、
Bunkamuraル・シネマ他全国順次公開

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  • 監督:ワン・チュアンアン
  • 出演: ユー・ナン
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2011/01/19/16:33 | トラックバック (0)
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