インタビュー
『ばななとグローブとジンベエザメ』矢城潤一監督

矢城 潤一 (映画監督、脚本家)

映画『ばななとグローブとジンベエザメ』について

公式サイト 公式Facebook

2013年2月2日(土)より、銀座シネパトスほか全国順次公開!

新作『ばななとグローブとジンベエザメ』の東京公開を控える矢城潤一監督にお話を伺った。現代の小津作品とも評された前作『ねこのひげ』(2008年公開)に引き続いて、俳優の大城英司の企画・脚本による本作、決して完璧ではないがどこか憎めない父と、その父に反撥しながらも彼を受け入れる息子との、微妙な関係を丁寧に描き出している。近いようで遠く、遠いようで近い親と子の距離を、あらためて見つめ直したくなる1本だ。(取材:鈴木 並木
矢城 潤一/やぎじゅんいち 映画監督、脚本家。本名は八木潤一郎(やぎ じゅんいちろう)。神奈川県三浦市出身。神奈川県立横須賀高等学校、専修大学経済学部卒業。大学を卒業後、フリーの助監督になる。北野武、原田眞人、長崎俊一など個性的な監督の現場で経験を積んだ後、自己資金で『ある探偵の憂鬱』を監督。バンクーバー国際映画祭ドラゴン&タイガーアワードにノミネートされる。以降、様々な映像作品に関わりながら、テレビドラマや映画の脚本も手がけるようになる。
初小説『55(ごじゅうご)』が第5回「日本ラブストーリー大賞」エンタテインメント特別賞を受賞し、この小説を基に映画化された『ふたたび swing me again』 (10)では脚本を手掛けている。08年に二本目の監督作品『ねこのひげ』が公開される。
矢城潤一監督1――まず、経緯からお伺いしたいのですが、監督の前作『ねこのひげ』に続いて、出演もされている大城英司さんの企画・脚本です。

矢城 彼の中で、自分発信の家族の話として3本くらいやりたい企画があって、今回がその2本目です。前回は母と子供、今回が父と息子。どちらも大城の実生活に基づいた語ですね。

――前作も今回もどこか不完全な家族の話ですが、暗い話になりそうなところ、そうはなっていないです。

矢城 そこはぼくが意識した部分です。ダメなひとたちも一生懸命生きてるし、悪意があるのとは違うと思うんですよね。生き方が不器用だったりするだけで。今回のお父さんにしても、子供に嫌われたくてそうしているわけじゃない。彼なりに一生懸命生きている結果、女好きだったり、責任感がなかったり、それに耐えられなくて逃げちゃったりとかね。それを否定的に描きたくはないなとは思っていました。

――キゃストも『ねこのひげ』とかなりかぶっていますね。

矢城 これはもう、ほとんど大城のキャスティングです。やっぱり映画のキャスティングって、たいへんだと思うんですよ。監督がオファーをすると、ビジネスの関係というか、事務所を通してという話になって、ギャランティーもそこそこ発生してくる。大城自身が役者なので、気軽に声をかけられる人に声をかけていって、しかも仲間内だと、「大城ちゃんがやるなら仕方ないよね」みたいなものもあるんでしょうね。

――脚本のクレジットは大城さんの単独です。完全に出来上がった状態で話が来たのですか。

矢城 最初彼が全篇書いたものを見せてもらって、それからふたりで直しながらです。もともとプロットの段階で方向性は分かってましたから。

――脚本の執筆段階や撮影中に監督が手を入れた部分はありましたか。

矢城 セリフ自体を直したというよりは、シーンの組み換えや追加をしたりとかです。水族館の話は、物語の線を通せる部分がほしいなと思って、ぼくが入れました。最初、水族館は、新婚旅行のモンタージュのひとつとして出てくるだけだったんですけど、重心が増えました。

――タイトルが落語の三題噺みたいで、ずいぶんとユニークだと思いました。最初は『ばなな』だけだったそうですが。

矢城 そうなんです(笑)。父と息子を繋ぐ物として象徴的にバナナを扱っているので、最初『ばなな』というタイトルでした。イメージをかき立てられる題名で、それはそれでいいかなと思っていたんですけど、低予算映画でお金がないもので、協賛金を出してもらえないかと、フレッシュデルモンテジャパンさんに話を持って行ったんです。そうしたら快く聞いていただいて、協賛していただくことになりました。それで図に乗って、次は、グローブが出てくるのでグローブ屋さんに行こうとなりまして、リーボックジャパンさんにご協力いただいて。それで『ばななとグローブ』になりました。ここでぼくは、それだとイメージが固定されるというか、広がらないのではないかと思いまして、ふたつ並べるんだったらもうひとつつけたい、ということになり、最終的に『ばななとグローブとジンベエザメ』になりました。衣装合わせのときに俳優のみなさんに聞いたら、「長すぎる…」と賛否両論でしたね。

『ばななとグローブとジンベエザメ』――差し支えなければお聞きしたいのですが、協賛を得るにあたって、具体的な指定みたいなものはあるのですか。

矢城 バナナが轢かれたり投げ捨てられたりとかありましたけど、そういった使い方についても、全然いいですよ、という感じで。こっちが逆に気をつかって、シール貼っときましょうか?みたいな(笑)。関わりにおいて苦労したとか、縛られたとか、そういうことはなかったです。本当に助かりました。

――なるほど。そのバナナをはじめとして、食べるシーンがとても目立ちます。

矢城 『ねこのひげ』ほどではないですけどね。これは大城自身のひとつのポリシーでもあるんですが、大事なことを話すときに、2時間サスペンスみたいに街を歩きながらとか、普通はしないじゃないですか。実際は食卓で落ち着いてだったりとか、飲みながらだとかで。

――撮る立場からすると、食べるシーンはやりやすいとかやりづらいとかありますか。

矢城 やりにくいと言えばやりにくいですよ。食べるシーンは動きがなくて、基本的にはずっと座っているじゃないですか。ですから、『ねこのひげ』のときはとくにそうだったんですけど、座ってる場所とか、背景とか、そういうことを最初に考えてから入らないと、印象が同じようになってしまうんです。

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『ばななとグローブとジンベエザメ』 2012年/日本/カラー/107分/ビスタサイズ/ステレオ/G
出演:中原丈雄,塩谷瞬,黒田福美,渡辺真起子,原田佳奈,趣里,根岸季衣,清水美沙,佐藤B作
川上麻衣子,モロ師岡,渡辺哲,園山晴子,松重豊,螢雪次朗,仁科貴,佐藤貢三,今井ゆうぞう,前田健,平沼紀久
新城希空,高杉瑞穂,ちか,平手舞,桜井ユキ,星野ケンジ,島田真由美,馬渕晴子,柄本明
監督:矢城潤一 企画・脚本・プロデュース:大城英司 撮影監督:新妻宏昭 監督補:小林宏治
録音:山田仁 美術:津留啓亮 音響効果:柴崎憲治 制作担当:伊東祐之
音楽:吉川清之 エンディング曲:河口恭吾「MADOROMI」
協力プロデューサー:玉盛篤史/小林千恵 メイク:内田結子 衣装:山田隆信
製作:弓兼祥司/嶋田豪/上里猛/大森菜穂子/鈴木浩司/高倉直久/小浜圭太郎/石田浩一
配給:BAGUJIN 配給協力:アイエス・フィールド © 2012「ばななとグローブとジンベエザメ」製作委員会
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2013年2月2日(土)より、銀座シネパトスほか全国順次公開!

2013/01/25/23:15 | BBS | トラックバック (1)
鈴木並木 ,インタビュー
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