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『さまよう獣』初日舞台挨拶レポート

『さまよう獣』初日舞台挨拶レポート http://www.makotoyacoltd.jp/lovebombs

2013年2月2日(土)より渋谷ユーロスペース、
名古屋シネマスコーレにて公開中、以降全国順次公開

『ふゆの獣』(11)で注目を浴びた内田伸輝監督の最新作『さまよう獣』が2月2日に渋谷のユーロスペースにて公開初日を迎え、内田監督と出演者の山崎真実、波岡一喜、渋川清彦、山岸門人が登壇する舞台挨拶が行われた。本作は、都会から田舎の村に流れてきた主人公のキヨミが、親切な老女や突然の美女の出現に色めき立つ村の男たちとの交流を通して過去から一歩踏み出していく姿を描いたコミカルな恋愛ドラマ。これまで即興演出と手持ち撮影を強力な武器としてきた内田監督が、それらの手法を封印して挑んだ初の商業映画だが、農村での日常の営みを丁寧に映し出しながら、人間もおおらかで恐ろしい自然の一部なのだと思い出させるように男女の心模様と思いがけないその行動をヴィヴィッドに描いて、内田監督らしさ溢れる1本となった。個性派俳優たちは監督独特の演出への挑戦をユーモアたっぷりに語り、笑いに包まれる舞台挨拶となった。(取材:深谷直子)

ペルソナ』(06)以来7年ぶりの映画主演となる山崎真実は、相手によって態度をコロコロと変える一見ずるい女のようでいて、実は恋愛依存の自分を嫌悪する難しいキヨミ役を熱演。新体操で鍛えたすらりとした身体を劇中と同様ミニのワンピースに包み、山崎真実山崎真実「完成した作品をどう思ったか?」との質問ににこやかに答えた。
山崎真実「今までやったことがないシーンもあって、自分で見ても恥ずかしいところもありましたが、7年ぶりに主演をさせていただいて、単純に嬉しかったです。ひとりの女の子がいろんな方と出会う中で一歩成長する過程を描いている作品なので、悩んでいることがある方に、観て何か感じていただけたらいいなと思います」

波岡一喜波岡一喜渋川清彦渋川清彦山岸門人山岸門人内田伸輝監督内田伸輝監督パッチギ!』(05)などで不良っぽい役を演じることが多かった波岡一喜は、今回の寡黙なマサル役への抜擢が自分でも驚きだったようだ。
波岡一喜「今こうやって話しているんですけど、劇中では僕の声がこんなに聞こえることはないと思います。台本を初めて読ませていただいたときに、ページをめくれどめくれど“マサル ……”“マサル ……”ばかりで、台詞で説明できない難しさを実感しながらやりました。僕にとっても挑戦でしたが、終盤に近付くにつれてハラハラドキドキモッコリしていくと思うので、楽しんでいただけたらと思います」

豊田利晃監督作品などで活躍する渋川清彦も、本作ではイメージをくつがえす陽気なトマト栽培農家のタツヤ役で登場。女性司会者に「とても自然に演じていましたが、アドリブもあったんですか?」と無茶ぶりをされて困惑顔をしながら、「波岡君によく言われていましたね、KEEくん今回よくしゃべるね、って。そういう感じなんですよね。……スカートが短いなあ」と応酬して笑いを誘った。

劇団鹿殺しのメンバーで、本作での作家志望のシンジ役が本格的映画出演となる山岸門人は、「この前にも『モテキ』(12)という映画に出たんですが、そのときは台詞が一言だけだったので、今回は台詞が多くてとまどいました。あと面白かったのは、舞台は完成された作品が本番に出るんですが、映画というのは撮ってそれを作品にしていくという逆の作り方をするのが面白かったです」と映画作りの新鮮な印象を語った。

最後に内田監督が、今までとはまったく異なる手法で『さまよう獣』を撮った理由を尋ねられた。
内田「今までずっと手持ち撮影とか即興での演技とかを重視していたので、今回は脚本どおりに演じてもらい、ほとんど固定カメラで撮影していくという方法で僕なりの挑戦をしたかったというのが一番の理由でした。他の監督からすると普通のことなんですが、僕にとってはものすごい大挑戦で、撮影中も刺激的な毎日を送らせていただきました。今アップリンクで『おだやかな日常』(12)が上映されていますので、見比べてスタイルは違うけれどどこか一緒の部分を見付けていただけるととてもありがたいです」

舞台挨拶の締めくくりには「幸せってなんだ?」をキャッチコピーとするこの作品にちなんで、至福をもたらす節分の豆まきが1日早く行われた。練習でエア豆まきをしたあと、「鬼は外!福は内!」と劇場に声を響かせながら盛大に豆がまかれ、お客さんに「付き合っていただきありがとうございました」とお礼を述べて明るく舞台挨拶が終了した。

『さまよう獣』初日舞台挨拶/豆まき

(2013年2月2日 渋谷・ユーロスペースにて 取材:深谷直子)

Story

男と男と男と男と、女。起こることは、ひとつだけ――。
奇妙キテレツな愛の争奪戦。

ある集落。都会からやってきたキヨミ(山崎真実)は、老女(森康子)に拾われる。孫同然のマサル(波岡一喜)と三人で、静かに食卓を囲む日々。過去を語らず、時折哀しげな表情を浮かべる彼女の色香に男たちは吸い寄せられる。作家志望のシンジ(山岸門人)は自作の小説を贈り、農家のタツヤ(渋川清彦)はもぎたてのトマトを彼女の唇に運ぶ。戸惑うキヨミだが悪い気はしない。キヨミの様子を見ていたバーのマスター(田中要次)は自分のとことで働かないかと声をかける。マサルだけが、寡黙に食事の支度を続ける。そんな折、老女が倒れ、女を追って男(津田寛治)が乗り込んできた…!
おだやかな田舎の村で奇妙キテレツな愛の争奪戦がはじまる。

CREDIT
監督:内田伸輝
脚本:内田伸輝、野口照夫 音楽:野崎美波 撮影:平尾徹 照明:斉藤久晃、金子拓矢
録音:古茂田耕吉、辻祥子 メイク:五十嵐広美 編集:深沢佳文
プロデューサー:西前俊典 エクゼクティブ・プロデューサー:竹内崇剛、小林智浩
製作:アミューズソフト、日本出版販売 配給:マコトヤ
出演:山崎真実,波岡一喜,渋川清彦,山岸門人,森康子,田中要次,津田寛治
2012/JAPAN/16:9/STEREO/94min/HDCAMmaster/BLU-RAYscreening ©2012「さまよう獣」Partners
http://www.makotoyacoltd.jp/lovebombs

2013年2月2日(土)より渋谷ユーロスペース、
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  • 監督:内田伸輝
  • 出演:山崎真実, 波岡一喜, 渋川清彦, 山岸門人
  • 発売日:2013/03/22
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2013/02/09/14:15 | トラックバック (0)
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