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『ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの』
初日舞台挨拶&トークショーレポート

『ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの』初日舞台挨拶&トークショーレポート http://herbanddorothy.com/jp/

2013年3月30日(土)より新宿ピカデリー他、全国順次ロードショー!

ーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの』の公開初日に東京都写真美術館でトークショー付き上映が行われ、佐々木芽生監督と”ドロシー”ことドロシー・ヴォーゲルさんが登壇した。本作は郵便局員のハーブさんと図書館司書のドロシーさん夫婦が長年に渡り収集した現代アートの作品を、国立美術館に寄贈する過程を追ったドキュメンタリー『ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人』の続編。新たに立ち上がった全米50州の各美術館に作品を寄贈するプロジェクトや二人と関わりの深い芸術家とのやりとりを描いている。

作品の上映が終わると、観客の拍手に迎えられて佐々木監督とドロシーさんが登場。佐々木監督は「二作目は一作目と全く違う苦労がありましたが、作りたい映画が出来たと思っています。それは本当にみなさんのご支援をいただいたおかげです。今回の映画では世界中の2000人近い人によって、合計2200万円近い金額をクラウドファンディングという形でご支援いただきました。『ふたりからの贈りもの』というタイトルですが、そういう意味では私にとってみなさんからの贈りもの、という気持ちがこめられています。」と挨拶。ドロシーさんも予想外の寒さにユニクロで上着を購入したことを明かしつつ「今日はすごく寒いですし天気も悪いので、こんな日は家でゆっくり寝ていたいと思われると思いますが、来てくださったことに感謝いたします」とお礼を述べた。

『ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの』佐々木芽生監督
佐々木芽生監督
『ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの』ドロシー・ヴォーゲル
ドロシー・ヴォーゲル
ドロシーさんは映画のイベントの合間に浅草などを訪れ、佐々木監督と日本での思い出を作っているという。中でも嬉しそうに語っていたのは前日の昼食についてのお話だった。「以前はニューヨークのタイムズスクエアにも吉野家があったのですが最近なくなってしまいました。ブロードウェイのマチネを観に行く時は、いつも吉野家でシュリンプ・ボウル(海老のどんぶり)を食べるのを楽しみにしていたんです。それがなくなってからずっと日本の吉野家に行きたいと言っていたので、やっと夢が叶いました。シュリンプ・ボウルはなかったので牛丼を買い、上野にある国立博物館の前のベンチで桜を見ながら食べました。日本で食べた最高の食事です!」とドロシーさんが話すと館内は笑いに包まれた。

佐々木監督はドロシーさんと故郷・札幌を訪れたことに触れて「私が一作目の映画を撮ったときに、ドロシーの出身地のエルマイラ(ニューヨーク州)に行ったんです。ドロシーが生まれ育った家や学校に連れて行ってくれた。『だからわたしも芽生の生まれたふるさとに行きたい。生まれ育った家や学校を見てみたいのよ』って言ってくれて……。私の両親とも対面して非常に感動的でした」と語った。

ドロシーさんも「札幌に行って芽生の家族に会えてとても嬉しかったです。この寒い気候は予想していなかったのですが、幸い、桜の季節だったのでいろいろなところに桜が咲いていました。そういう意味ではとてもパーフェクトなタイミングだったと思います」と振り返った。翌日も大阪の舞台挨拶後、京都に足を伸ばすそうで、夢だったという日本での滞在を満喫している様子が伺えた。

トーク後には観客からのQ&Aも行われた。佐々木監督は前作製作の経緯を「最初は『こんなにユニークなコレクターがいて、なんかものすごいコレクションがあって、それを売ればお金持ちになれたのに全部寄贈しちゃった。そんなすごい人がいるのか!』と思って、そこから興味を持ちました。」と説明。また、今作についても「一作目を撮り終わった時には二作目を作るつもりは全くなく、今回の"Fifty Works for Fifty States"という寄贈プロジェクトが発表された時も、その気はありませんでした。でもインディアナポリスで初めて二人の展覧会に同行して二人と一緒に見たらびっくりしてしまって……。それまで二人のコレクションを展覧会としてまとめて見ることがなかったので『やっぱりこの二人の見る目はすごいんだな』と改めて感じたんですね。それまで二人のことを分かっているつもりだったけど本当はよくわかっていなかったんじゃないか。二人が集めたアートについてもうちょっと知りたいと思って、そこからパート2を撮り始めました」とひとつひとつを思い出すように語り、どちらの作品もハーブさんとドロシーさんの持つ魅力が起点となったことを明かした。「残念ながらハーブに観ていただくことはできませんでしたが、ドロシーもコレクション終了宣言をしたので、本当にこの物語が完結してしまったんだなという思いがあります。最後のエピローグをどう表現するか、それが私にとっては一番辛い、苦しいところでした。」と

『ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの』佐々木芽生監督&ドロシー・ヴォーゲルまた、「ハーブさんとドロシーさんのコレクションを日本でも見たい!」との質問に監督は「一作目を日本で上映した時からいろいろなところで展覧会の話をさせていただいてるのですが日本でコンテンポラリーアートは動員が難しいということで未だに実現していません。みなさん『やりたいね』と言ってくださるんですけれど、なかなか具体的には話が動かないようです。何かあったら、ぜひよろしくお願いします!(笑)」とコメント。客席ではその言葉に何度もうなずく姿がいくつも見られ、ヴォーゲル・コレクションを直接見たいというファンは少なくないようだった。

最後に佐々木監督との最も印象深い思い出を聞かれると、ドロシーさんは「ひとつに特定するのは難しいのですが沢山の上映会を一緒にやって来たのが楽しかったです。その中でもこうして一緒に日本に来れたことは最高のハイライトです」と笑顔を見せた。

追記/今作は公開と同時にDVDを上映映画館のみで販売している。他にもグッズも販売中なので鑑賞後に手にとってみてほしい。

(取材&撮影:辻岡朔実)

Story
ごく普通の一般市民でありながら世界有数のコレクションを保持し、ついにはアメリカ国立美術館にそれらを寄贈するまでに至った有名アートコレクターのハーブ&ドロシー夫妻。コレクション開始から半世紀を経て、5,000点近くの膨大な作品群は、全米50の美術館に50作品ずつ寄贈されることになる(通称・「50×50(フィフティ・バイ・フィフティ)」)。この前代未聞のアート寄贈計画を、夫妻とアーティストたちはどんな思いで受けとめるのか?また、ふたりのアートが様々な土地でどのように受け入れられるのか?そして、ついにコレクションの幕は閉じられ、ふたりに別れの時が訪れる……。
『ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの』場面2 『ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの』場面3
CREDIT
監督・プロデューサー:佐々木芽生
出演:ハーバート&ドロシー・ヴォーケル,リチャード・タトル,クリスト,ロバート・バリー,
パット・ステア,マーク・コスタビ,チャールズ・クロフ,マーティン・ジョンソン 他
原題:HERB & DOROTHY 50X50
制作・配給:ファイン・ライン・メディア 製作年:2013年/アメリカ/カラー/英語
©2013 Fine Line Media,Inc. All Rights Reserved.
公式サイト 公式twitter 公式Facebook

2013年3月30日(土)より新宿ピカデリー他、全国順次ロードショー!

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  • 監督:佐々木芽生
  • 出演:クリスト&ジャンヌ=クロード,
    リチャード・タトル, チャック・クロース,
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  • おすすめ度:おすすめ度5.0
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2013/04/06/15:04 | トラックバック (0)
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