朝倉加葉子監督/『クソすばらしいこの世界』

朝倉 加葉子 (監督)
映画『クソすばらしいこの世界』について

公式

2013年6月8日(土)より、ポレポレ東中野にて3週間限定レイトショー!
6月8日(土)21:00~初日舞台挨拶、
6月8日(土)は『息もできない』『ムカデ人間』『クソすばらしいこの世界』のオールナイト上映&トークショーも開催

突如として現れる殺人鬼が残忍な手法で人を殺しまくるスラッシャー・ムービー。パターンはシンプルだが、土地の広さや空気感、宗教観もその世界を支える重要な要素となり、アメリカや西洋以外では成立しにくいジャンルと言える。そこに日本映画ならではの傑作が誕生した。新鋭・朝倉加葉子監督がアメリカで撮った『クソすばらしいこの世界』は、スラッシャー・ムービーの伝統を守りながら、異文化の中でも小さい輪から出ようとしない日本人留学生グループが、キム・コッビ演じる韓国人留学生を邪気なく苦しめるさまを織り込んで、うすら寒く何重もの閉塞感を持つものとなった。もうひとつ、インタビュー本文からは省いてしまったサプライズな仕掛けがあり、「女の子“が”バサバサ殺す」ことがやりたかったという監督の狙いが意外な形で現れるのに劇場でぜひ唸ってほしい。アイディア豊かに「ワクワクする映画」を撮りデビューを飾った朝倉監督に、アメリカでの撮影の新鮮な体験やホラー映画の魅力を語っていただいた。(取材:深谷直子)

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『クソすばらしいこの世界』場面3――キャストも国際色豊かですね。キム・コッビさんが主役というのが豪華ですが、監督が希望されたんですか?

朝倉 コッビさんは山口プロデューサーがゆうばり国際ファンタスティック映画祭に行ったときに会って、好きになっちゃったんですよ(笑)。変な意味ではないんですけど。でも恋の相談みたいな感じで打合せに呼び出されて(笑)、「キム・コッビさんとぜひとも一緒に仕事がしたいんだけど、この作品にどうかな?」と言われて。元々は主人公も日本人の予定だったんですよ。

――あ、そうなんですか。日本人の留学生グループに一人だけちょっと真面目な子がいるという設定だったんですか?

朝倉 まさにそうだったんです。でも彼女を入れると一人だけ言葉が違うっていう状況も作れるなあと思って。それでコッビさんにやってもらえるように設定を変えた脚本を持っていって出演をお願いしたらOKしてくれて、「やったー!」と思いましたね。コッビさんは『息もできない』(08)を観てすごい女優さんだなあと思っていて、まさか出てもらえるとは思っていませんでしたから。

――それで映画も世界がぐっと広がった感じですよね。コッビさんは英語は元々話せたんですか?

朝倉 彼女は英語はかなりできるし、日本語もこの役とは違って結構ペラペラだし、フランス語もできるそうです。今年はフランス映画にフランス語でお芝居する役で出演するって言ってました。インターナショナルに活動していらっしゃいますね。

――しっかりしていて役にも本当に合っていましたね。北村昭博さんも国際的に活躍されている方ですよね。北村さんを選ばれたのはどうしてですか?

朝倉 北村さんは、『ムカデ人間』(09)がすごいというのもありましたし、撮影をロサンゼルスでやるっていうのもありましたし。オファーしてキム・コッビさんが主演ということを話すと、コッビさんと共演できるんだったらぜひと言ってくださいました。

――北村さんも面白かったですね。楽天的な若者の役を嬉々として演じていてさすがでした。キャラクターがみんな個性豊かでバランスがよかったですね。

朝倉 北村さんの役はあんな能天気なボンボンですけど、ちょっと嫌らしい人間性も出ていますし、こんな人いてほしいなあっていうのをすごくいい感じに演じていただいて。私はコッビちゃんも含めた留学生たちのキャラクターがみんな本当に好きで。俳優さんたちはみんなとても素敵に演じてくれました。

『クソすばらしいこの世界』場面4――そうですね、殺人鬼に追い回されても状況が理解できないような感じで、とことん身勝手ではあるけど、若者の純粋さも感じました。キャラクターについては、殺人鬼の兄弟の関係にもアメリカの低所得層のすさんだ暮らしぶりが映し出されているなと思いました。

朝倉 彼らは白人以外の人には排他的な保守の人たちで、そういう人って得てして目下の人に対して厳しいところがあるように思います。大きな枠で日々優位を意識するとそれが日本の家父長制みたいに自分の生活にも顕れちゃうような。その上でアットホームな家庭から離れたところにいる人だと、兄はやっぱりこういう感じになるし、下の子はかわいそうな感じになるっていうのはあるんじゃないかなと思って作ったキャラクターですね。

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クソすばらしいこの世界 2013年/日本映画/78分/カラー
監督:朝倉加葉子 出演:キム・コッビ、大畠奈菜子、北村昭博、しじみ
製作:キングレコード 制作:ブースタープロジェクト ©2013 KINGRECORDS
協力:ゆうばり国際ファンタスティック映画祭、ツユキ紙工株式会社
公式
6月8日(土)21:00~初日舞台挨拶、
6月8日(土)は『息もできない』『ムカデ人間』『クソすばらしいこの世界』をオールナイト上映
23:30からのトークショーでは 朝倉加葉子監督、山口幸彦(プロデューサー)、入江悠 (映画監督)を交えてのトークショーも開催

2013年6月8日(土)より、ポレポレ東中野にて3週間限定レイトショー!

2013/06/08/06:08 | トラックバック (0)
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