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パリ、北京、二つの都市で居場所を求めてさまよう、ある女の「愛の問題」

パリ、ただよう花

“ホアの‘はざまにいる’感覚が私には理解できる。
それは異なる人々の間にいること、異なる政治や文化の間にいること、
異なる人種や土地の間、セックスと愛の間、暴力と優しさの間、愛と傷の間にいることで、
実に人間らしい感覚だが、同時に孤独でもある。”――ロウ・イエ監督

公式サイト 公式twitter 公式Facebook

2013年12月21日(土)より、
渋谷アップリンク、新宿K’s シネマにて公開

INTRODUCTION

愛、セックス、孤独、暴力、人種、文化……
“はざま”で揺れ動く女を描く、
ロウ・イエ版『ラスト・タンゴ・イン・パリ』

北京からパリにやってきたばかりの若い教師、花(ルビ:ホア)。なじみのない街で彼女は様々な男と体を重ね、自分の狭いアパートと大学の間、かつての恋人たちとフランスで新たに出会った人々の間を漂う。
ある日、建設工のマチューという男と出会う。一目で恋に落ちた二人は、激しく肉体を求め合う。お互い、秘密を抱えたまま……。
異なる人種や文化、暴力と優しさ、愛とセックスのはざまで揺れ動くある女性の“愛の問題”を描く、本作をもって5年間の中国国内での映画製作の禁止が解かれたロウ・イエ版『ラスト・タンゴ・イン・パリ

出演、タハール・ラヒム(『預言者』/ジャック・オーディアール監督)。
撮影、ユー・リクウァイ(『長江哀歌』/ジャ・ジャンク―監督)。
そのあまりに赤裸々で過激な性描写で話題となったネット小説「裸」を映画化。

原作は、リウ・ジエが自身の体験をもとに、インターネット上で発表した小説「裸」。ロウ・イエにとって初の原作作品だが、ロウ・イエはこの小説を映画化しようとした理由をこう語る。「僕が常に興味を持っている“愛”というテーマを、女性の視線で率直かつ正直に、人間的な視線で提示していました。愛は人間にとって日常的な問題です」
撮影は、ジャ・ジャンク―作品には欠かせない撮影監督、ユー・リクァイ。出演は、LOUISVUITTON、Dior、Yves Saint Laurent など、トップブランドの広告等で活躍するフランス生まれの中国人モデル兼女優コリーヌ・ヤンと、ジャック・オーディアール監督『預言者』(2009年)のタハール・ラヒム。中国から来た教師とフランスに住む建設工という対症的なふたりを圧倒的な存在感で熱演、「『預言者』以来のハマり役」(ル・モンド紙)と評された。

Production Note

『パリ、ただよう花』1993年のデビュー作『デッド・エンド 最後の恋人』から本作『パリ、ただよう花』を含め、ロウ・イエは常に中国当局との軋轢と対峙してきた。3人の若者の愛と暴力の物語を通して青春の彷徨を描いた『デッド・エンド 最後の恋人』は、国家電影管理局の検閲により思いどおりの編集が叶わず、さらに完成後2年間の上映禁止処分を受けた。また、同時期にテレビ用に制作したサイコミステリードラマ『危情少女 嵐嵐』(1995年)も、検閲により最終的な編集のコントロールができなかったため、ロウ・イエは現在もこれら2作品を自身の作品とみなしていない。

長編第2作の『ふたりの人魚』(2002年)はロッテルダム国際映画祭でグランプリを受賞したが、許可なく海外の映画祭に出品したことを理由に電影局から2年間の映画製作禁止処分を受けた。そして2003年の『パープル・バタフライ』に続き2年連続でカンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式招待された『天安門、恋人たち』(2006年)で、天安門事件を扱ったことと、その性描写により、電影局から06年カンヌ国際映画祭コンペティションでの上映許可が出なかった(当局の公式発表は“プリントの品質の問題による”というものだった)。ロウ・イエとプロデューサーのナイ・アンはその決定を無視してカンヌで上映。
その結果、再び当局から5年間の映画製作・上映禁止処分を受けた。
この5年間の処分期間中に製作されたのが、前作『スプリング・フィーバー』と、本作『パリ、ただよう花』である。

『パリ、ただよう花』場面1電影局の処分を無視してフランスと香港から製作資金を確保し、中国国内の南京で撮影された『スプリング・フィーバー』は、2009年のカンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞した。その『スプリング・フィーバー』撮影中の2007年、ロウ・イエは『パリ、ただよう花(原題/花 Love and Bruises[愛と傷])』の原作小説の著者リウ・ジエから電話を受ける。北京出身でパリ在住のリウ・ジエとロウ・イエの出会いは1990年代にさかのぼる。リウ・ジエが北京電影学院の学生だった頃、ロウ・イエのスタジオ近くに住んでおり、ロウ・イエの映画に感銘を受けていた彼女は、しばしばスタジオに遊びに行ってはロウ・イエと話をしたり仕事を見学したりしていたという。

リウ・ジエは北京電影学院を卒業後、パリ第三大学に留学し、1998年から北京電影学院でフランス映画の教鞭をとっていた。2000年にフランス政府の奨学金を得て再びパリに留学し、2002年から小説を書き始めた。それが本作の原作となった半自伝小説であり、もともとは『裸』というタイトルで中国のポータルサイト、新浪com に発表され、3年後の2005年にリウ・ジエはそれを映画の脚本に書き直した。映画監督になる夢を持っていた彼女は、自分で映画化することも試みたが、未経験の自分では無理だと判断し、この脚本を託したいと思える唯一の監督、ロウ・イエに連絡したのだった。

原作『裸』とリウ・ジエの脚本を読んだロウ・イエはとても気に入り、以後、二人で脚本を練り上げていった。その間にタイトルは『Bitch』になり、ポストプロダクションの段階で『花 Love and Bruises』に決定した。ロウ・イエは、リウ・ジエの原作に惹かれた理由をこう話している。「その物語が愛を扱っていたからです。僕が常に興味を持っているテーマを、女性の視線で率直かつ正直に、人間的な視線で提示していました。愛は人間にとって日常的な問題です。もちろんそれは僕にとって、ある種の政治的・社会的問題の一番のシンボルでもあります。」

『パリ、ただよう花』場面2ヒロインであるホア役のキャスティングは難航し、100人以上の女優と会ったが見つからず、たまたまロウ・イエがあるテレビシリーズを観ているときに、端役で出演していたコリーヌ・ヤンの素晴らしい演技に目が留まり抜擢した。タハール・ラヒムは、雑誌で彼の写真を見てマチューのイメージに近いと思ったロウ・イエが、『預言者』撮影直後のラヒムと直接会い出演をオファーした。

CNC(フランス国立映画センター)から助成を受け、フランスの製作会社3社(ワイ・ノット・プロダクションズ[『預言者』の製作会社]、レ・フィルム・デュ・ランドマン、アルテ・フランス・シネマ)との共同製作で、撮影は2010年3月に始まった。ジャ・ジャンクー監督作品の撮影で知られるユー・リクウァイが、本作で初めてロウ・イエと組み撮影監督を務めた。前作『スプリング・フィーバー』同様、手持ちカメラを使用し、臨場感の高いドキュメンタリー風のカメラワークになっている。こうした撮り方についてロウ・イエは、「登場人物たちを、カメラの支配から解放したかったのです。最高の映画は、監督やカメラマンの支配の縁、ギリギリの危険ゾーンにあります」と述べている。タハール・ラヒムはロウ・イエとの仕事を次のように語っている。「他の監督と違い、ロウ・イエは俳優に指示をしません。自由な空間を与えて限界まで演技させておいて、良いところを抜くんです。彼の眼の奥を見て、やってみるべきことを察する必要があった。感情とムードを読み取って、自分自身と監督を驚かせるような演技をしなければならなかった。彼が望むものを理解するのは難しかったけれど、非常に良い経験でした。」

C R E D I T

監督、脚本:ロウ・イエ
脚本:リウ・ジエ 撮影:ユー・リクウァイ 照明:ウォン・チーミン 編集:ジュリエット・ウェルフラン
音楽:ペイマン・ヤザニアン 音声:ダナ・ファルザネプール
音声編集:ステファン・ブランクレール、ソフィー・デュラン ミックス:オリヴィエ・ドー・ユゥ
プロダクション・マネージャー:イザベル・ティルー 美術:ギヨーム・ドゥヴィエルシー
衣装:ヴィルジニー・モンテル
出演:コリーヌ・ヤン,タハール・ラヒム,ジャリル・レスペール,ヴァンサン・ロティエ,
シファン・シャオ,チャン・ソンウェン,パトリック・ミル,アデル・アド
配給・宣伝:アップリンク/仏・中国/2010年/105分
公式サイト 公式twitter 公式Facebook

2013年12月21日(土)より、
渋谷アップリンク、新宿K’s シネマにて公開

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2013/12/10/17:11 | トラックバック (0)
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