インタビュー
河井青葉/『私の男』

河井 青葉 (女優)
映画『私の男』について

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2014年6月14日(土)より、新宿ピカデリーほか全国公開!

(取材:深谷直子)

『私の男』場面6 『私の男』場面8――河井さんの撮影のときにも、そういう画作りへのこだわりを感じることはありましたか?

河井 それはもう、撮影の近藤(龍人)さんがこだわりがあって粘る方なので。近藤さんの「もう1回」っていうのがありまして(笑)、近藤さんの納得がいかないときに、監督と相談してもう1回撮り直したりするんです。

――それで監督と意見がぶつかったりはしないんですか?

河井 そういうことはないですね。そこはやっぱり監督も納得できるまで一緒に、という感じです。近藤さんの画作りって、画面の本当に端っこのところに融けかけの雪を置いたりするんです。「もうちょっと少なく、もうちょっと多く」とか、まさかそこを作っているとは気付かないようなところまで。小さなこだわりが積み重なってあのような美しい画が生まれるのだと。近藤さんと照明の藤井(勇)さんのコンビは素晴らしいです。今回の現場を経てスタッフみなさんのことがますます好きになりました。こういう重い映画ですけど撮影現場ではいろいろ笑える試みもあって、映画作りの醍醐味ってこういうことだよな、ということがたくさんありましたね。私が参加したシーンでも、結局カットされてしまって使われてはいないんですが、狭い空間で時間が経過した2つのシーンを一連で撮るということにチャレンジして。芝居途中の役者までもがカメラに映らないようにしながらセットを変えるのを手伝って、すごいことになっていました(笑)。ああいうことをみんなが楽しんでやっているというのが面白いですね。あんなに現場で楽しそうにしている監督って他にいないんじゃないかな。

――完成した作品を観たときはどんなことを感じましたか?

河井 ものすごいエネルギーを感じてしまってしばらくは放心というか……、震えました。自分が出ている作品って最初は客観的に観られないことが多いのですが、今回は一観客として圧倒され続けていました。

――小町を演じているときは花と淳悟の関係を嫌悪していたと思うんですが、作品として観たときには変わりましたか?

河井 はじめに監督から「普段の河井さんは花と淳悟の関係を理解してしまうと思うんですが、小町としては受け入れないでください」ということを言われていたんです。私の身近にあの二人が存在していたとしたら、普通に嫌悪感を持つとは思うんですが、でもそういうことってあり得るよな、と思える部分もあるんです。でも小町としてはまったくあれは理解できない、受け入れたくもない、そういう思いでやっていました。ただあそこまであの二人の気持ちが強くなっていって、エスカレートして、ちょっと極端ですけど、映画として観ているとこの二人だったらこういう愛もあるのかもしれない、と思わせる説得力はありますよね。

――映画は時間軸通りに進むので、原作では冒頭だったシーンがラスト・シーンになるんですけど、花と淳悟の関係や歳月を経ての変化がちょっと違っていますよね。原作では淳悟はそのときも「うつくしい」男でしたが、映画ではそうは感じられない。それ以前の東京に出ていってからがずっとそうですが、家はゴミ屋敷のようになってしまって生気もなく落ちぶれて。花のほうはとても美しく成長しますが。

『私の男』場面9 『私の男』場面10河井 より「花」の物語になっているんですよね。あの淳悟が落ちぶれていく姿は見ていてつらかったですね……。最後のシーンは撮影を見に行ったんです。あそこがクランクアップだったので。淳悟があんなふうになっているのを知らなかったので、転落ぶりにびっくりしましたね。

――それは小町として、かつての恋人がこうなってしまったのかと。

河井 そうですね。でも花のほうはものすごく美しくなっているんですよね。妖しく美しく……。ラスト・シーンを観たとき、やはりあの二人の世界には入っていけないのだと感じました。

――物語としては不条理ですよね。本当にいい人でしかないような人たちが花と淳悟の放つ毒にやられてしまう。

河井 本当にそうですよね。花と淳悟の関係がみんなを不幸にしていく。それが花の怖さですよね、底知れぬ何かが。

――それでも共感ではないけれど、こういうまわりのものを撥ね返すような強い愛があるのかと圧倒されますし。

河井 原作と映画とを比べると、どっちがいい・悪いというのではないですけど、原作のほうには花がかわいそうだと思う部分がありますよね。でも映画ではそれがないんですよ。全然かわいそうとは思わなくて(笑)。すごく強い、超越したものになっている。

――そうですね、これは熊切監督のすごく思い切った描き方で、本当にいろんなことを考えさせられます。きっと公開されたらいろいろな部分で賛否両論出てくると思うんですね。偶然ですけれど地震や津波から始まる作品を今撮るということでも。

河井 いろいろな見方をする方がいるでしょうけど。共感してくださる方がたくさんいればいいですけど、挑んでいますね。

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私の男 2013年/日本/129分/5.1ch/シネマスコープ/カラー/デジタル/R15+
出演:浅野忠信、二階堂ふみ、モロ師岡、河井青葉、山田望叶、高良健吾、藤 竜也
監督:熊切和嘉 脚本:宇治田隆史 音楽:ジム・オルーク 撮影:近藤龍人
原作:「私の男」(桜庭一樹/文春文庫刊) 製作・配給・宣伝:日活 © 2013「私の男」製作委員会
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2014年6月14日(土)より、新宿ピカデリーほか全国公開!

私の男 (文春文庫) [Kindle版] 私の男 (文春文庫) [Kindle版]
2014/06/13/16:14 | BBS | トラックバック (0)
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