インタビュー
安藤サクラ/『0.5ミリ』

安藤 サクラ (女優)
映画『0.5ミリ』について

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2014年11月8日(土)より、有楽町スバル座ほか全国順次ロードショー!

ミニマルなタイトルに想像力は追いつかず、始まるや予想外の展開をして196分の先行きがまったく分からない。ただ安藤サクラ演じる主人公サワの悪魔のような天使のような表情と行動に引き込まれるように見入っていたら、いつしか深い人間ドラマに揺さぶられていた……。安藤桃子監督が脚本も手がけ、サクラとの姉妹初タッグ作ともなった『0.5ミリ』は、老人介護を中心に据える作品なのだが、二人の題材への想いと相性のよさが発揮されて、面白く驚きに満ち強度ある傑作となった。職も住み家も失った介護ヘルパーのサワが、孤独そうな老人を見付けては生活に強引に入り込み、彼らの心を解きほぐしていくという物語。ギブ&テイクの真っ当な関係で他人の愛用品を譲り受けながら、ヒロインが飄々と家から家へと渡り歩くのはおとぎ話の趣だが、おとぎ話は現実の残酷さを潜ませるものでもある。老人のひとりひとり、それぞれの家庭が抱え持つ問題にサワとともにじっくりと向き合い、異世代のバトンリレーの大切さに最後まで息を呑みどおしだった。長尺に物怖じせずに多くの方に観てほしいと心から思う。不思議な存在ながら清涼感あるサワになりきってドラマを牽引した安藤サクラさんにお話を伺った。安藤監督や大ベテランの共演者たちとの現場で得たこと、ご自身の介護の体験を真剣に語り、取材が終わると自らがデザインした作品の宣伝用Tシャツを着て、撮影に応じてくださった。作品への自信と愛情が伝わってきた。(取材:深谷直子)
安藤 サクラ 1986 年 2 月 18 日東京生まれ。『風の外側』('07/奥田瑛二監督)でヒロインを演じ、本格俳優デビューを果たす。映画を中心に活躍し、『愛のむきだし』('09/園子温監督)で圧倒的な存在感を残したその演技により、第 31 回ヨコハマ映画祭助演女優賞、第 24 回高崎映画祭最優秀新人賞受賞に加え、第3回アジアン・フィルムアワード助演女優賞にノミネートされるなど国内外に存在を知らしめた。『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』('10/大森立嗣監督)などで第 84 回キネマ旬報ベスト・テン助演女優賞、第2回 TAMA 映画賞最優秀新進女優賞を受賞。更に、2012年の主演作品『かぞくのくに』(ヤン・ヨンヒ監督)と、『愛と誠』(三池崇史監督)、『その夜の侍』(赤堀雅秋監督)への出演で第 86 回キネマ旬報ベスト・テンで史上初の主演女優賞と助演女優賞のダブル受賞を果たし、文化庁芸術選奨新人賞を始め10以上の賞を受賞。その後も『ペタルダンス』('13/石川寛監督)、『今日子と修一の場合』('13/奥田瑛二監督)、『春を背負って』('13木村大作監督)、『家路』('13/久保田直監督)などに出演。12月20日から、『百円の恋』(武正晴監督)、来年2月14日から『娚の一生』(廣木隆一監督)の公開が控えている。
安藤サクラT-shirts, EPSON:SC-F2000――『0.5ミリ』は3時間を超える長尺なので観る前は少し不安でしたが、観出したら居住まいを正して気持ちを途切らすことなく見入らされる作品でした。安藤桃子監督がとても丁寧に物語を描かれていますし、サクラさんの演技も素晴らしかったです。とっても楽しい映画ですよね!

安藤 嬉しいです。ありがとうございます。

――桃子監督は今までの作品も主人公にサクラさんを当て書きして書かれていたということですよね。サクラさんのほうでもきっといつか一緒に組んでやるだろうなということを思っていたと思うのですが、今回初めて桃子監督の作品に出られることになって、どんなことを思いましたか?

安藤 今まですごく姉の愛情を全身で感じていて、もはやこの姉妹の関係が生まれたときから、私は姉にとっての作品ではないかとすら思えるんです。だから全然俳優としての気負いみたいなものはなかったです。絶対に出るだろうと思っていたし、願っていたし。ただ私が姉の作品に出るには、自分が俳優としていろいろと力をつけなければ、と思っていたところはありました。妹としては「私が主演じゃお客さんが入らないんじゃないか」という心配もありますし。

――もはやそんなことは全然ないと思いますけど(笑)。常日頃からお姉さんの愛情を感じていたし、その作品に出るためには自分が成長しなければ、という思いを持って、長い間あたためてきたんですね。

安藤 そうですね。

――桃子監督はおばあさまの介護の体験からこの作品を撮られたとのことですが、サクラさんもご一緒に体験されたんですよね。

安藤 私はなんせ「私が生涯一番愛する人はおばあちゃんだ」と子供のときから思っていたぐらい大きな存在なので、祖母の介護ということに関しては思い入れは強いです。でも姉はその頃イギリスにいて、介護の過程を客観的な立場から見ていたので、怒りとかも特に強く感じていたんです。私はずっと毎日祖母といられたけど、姉の一緒にいられないもどかしさって、つらいだろうなと思っていました。

――お二人でそんなふうに違う立場から介護を体験されていたんですね。サクラさんのほうも、大好きな人がだんだん変わっていってしまう姿を見ていくのはおつらかったと思います。

安藤 毎日見ているとそんなに変化は分からないんですが、日々の恐怖というのはありましたね。ちっちゃいときから、祖母の死が不安で仕方なかったですし。姉のほうは時間をおいて久々に日本に帰るとどう変わっているかがすごく分かるから、それがつらいと言っていました。

――共通する想いが込められた作品ですが、初めて桃子監督の撮影現場を体験して、驚きやほかの監督との違いなどは感じましたか?

『0.5ミリ』場面安藤 姉が作るものって、それは作品に限らず、現場だったり人との関係だったりまわりの空気も含め、すごく澄んでいて、だからその場にいる人も土地も物質も、すべてがすごくクリアなものになるんですよね。神社とか気持ちのいい場所の澄んだ空気に似ている。すべてがまっすぐ伝達していくというか。それが映画にも出ていて、映るもの全部生きているなあって思えるんです。私が演じたサワちゃんにしても、普通にいたら少し異物感が出ると思うし、すごくファンタジックなキャラクターだし、変な人は変な人なんだけど、澄んでいる感じがするというか、それでいてきちんとそこに存在しているリアリティのある人物になっていると思うんです。で、なおかつ、監督の中指立てている感じも必ず映っている。そういうところが好き。愛に溢れているなと思います。

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0.5ミリ 2013/196分/カラー/ビスタサイズ
出演:安藤サクラ / 柄本明 坂田利夫 草笛光子 津川雅彦
監督・脚本:安藤桃子
エグゼクティブ・プロデューサー:奥田瑛二 プロデューサー:長澤佳也
アソシエイト・プロデューサー:畠中鈴子 原作「0.5ミリ」安藤桃子(幻冬舎文庫)
撮影:灰原隆裕 照明:太田博 美術:竹内公一 録音・整音:渡辺真司 音楽:TaQ フードスタイリスト:安藤和津 主題歌「残照」寺尾紗穂 作詞・作曲:寺尾紗穂(アルバム「残照」収録)(発売元:MIDI INC./Published by YANO MUSIC PUBLISHING Co.,Ltd.) 助成:文化芸術振興費補助金
企画:ゼロ・ピクチュアズ 制作:リアルプロダクツ 製作:ゼロ・ピクチュアズ,リアルプロダクツ,ユマニテ
配給:彩プロ 宣伝:『0.5ミリ』三姉妹 広報企画:道田有妃 © 2013 ZERO PICTURES / REALPRODUCTS
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2014年11月8日(土)より、
有楽町スバル座ほか全国順次ロードショー!

2014/11/06/21:21 | トラックバック (0)
深谷直子 ,インタビュー
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