インタビュー
吉川久岳(監督)×宮崎大祐(脚本)/『ひ・き・こ 降臨』

吉川 久岳(監督) × 宮崎 大祐(脚本)
映画『ひ・き・こ 降臨』について【2/7】

公式サイト

2014年11月29日(土)~12月4日(木)、シネ・リーブル池袋にて6日間限定レイトショー!

(聞き手:後河大貴)

『ひ・き・こ 降臨』場面2 『ひ・き・こ 降臨』場面3――前作に引き続き、ひきこは超越的な存在としては描かれませんね。基本的に人間が作り出したものであり、なおかつ、人格や感情を備えていると。じゃあ、彼女は人神なのか、或いは妄執に囚われたただの人間なのか――このあたり、おふたりでどう詰めていったんですか。

宮崎 ぶっちゃけ、そんなに詰めてない(笑)。

吉川 ひきこをどんな存在として捉えるかっていうのは、かなりの懸案でした。僕も宮崎君も、人神なのか妄執に囚われた人間なのか、随分と悩んだというのが正直なところで。実際、本作の彼女は捉えどころがないんです。不気味な感じかと思いきや普通に喋っていたり、突如として周囲の人間をアジッたりする。僕としても、「なんなんだ、コイツは」と(笑)。けっこう曖昧なまま進んでいったんですけど、最終的には「人間なんだ」というところに落ち着いた。そうなると、ゆかりと別離してからの10年間、なにをやっていたのかという問題が浮上しますよね。そのあたりは、震災のエッセンスを取り込んで――なにかのフタが空いて、回帰してきたんだろうと。亡霊的な側面というか、多面性を残しておこうと。

宮崎 僕よりも、吉川さんのほうが震災にこだわりがあったと思います。同窓会のシーンで、「震災があって、急に会いたくなった」という台詞があるんですが、構造上はなくても構わないのに、しっかり演出していますから。

吉川 震災以降、色々な状態が重なり合って、放射能に代表されるような“得体の知れない恐怖”が蔓延していると思うんです。今の社会がいいのか、悪いのかも判然としませんし。実際問題として、放射能にどの程度侵されていて、それがどういう影響を及ぼすのか、現段階では誰にも判断できない、というか判断する為の審級が機能していない。もちろん、こうした状況は震災前から進行していたんだろうけど、一気に可視化されてしまった。それが、現代の不穏な空気や緊張感に繋がっている気がしてなりません。それを、ひきこに取り込みたかったというのはありますね。

宮崎 そういう潜在的な恐怖が、ひきこのキャラ造形に反映されているのはあるでしょうね。ただ、僕としては、ひきことニコ(小宮一葉)は等号では結べないと考えていて。とはいえ、それはあくまでも思想的な意味合いで、脚本的には結んじゃったほうがいいんじゃないか、と。だから、ジョーカーとかレザーフェイスから発想して、もう少し人間に寄せていったというか。“反キリスト的人神”みたいな感じですかね、『悪霊』のスタヴローギンじゃないけど(笑)。もちろん、等号で結んだほうが、映画として座りがいいのは理解できるんですけどね。

吉川 だから、演出的にも人間でいいんじゃないか、と。ただ、個人的な情念で復讐をするというのでは、ありきたりになってしまう。ならば、解釈の余地というか、多面性を残そう、ということですね。例えば、ニコはひきことはなんの関係もないんだけど、ゆかりが持ってる負の記憶に寄生して、それを世の中に拡散させる“悪意の存在”というか。ある種、ニコが手段としてひきこを使っているぐらいのほうが、映画的には面白いだろうと。ゆかりが抱えている負のエネルギーも、一応はエネルギーですしね。それを燃料にして、自分の企みの推進力にするようなバケモノがいてもいいんじゃないか、と。だから、ひきことニコの関係が多少わかりにくくても、コンテンポラリーな恐怖が描けるんじゃないか、みたいな目算はありました。

『ひ・き・こ 降臨』場面4 『ひ・き・こ 降臨』場面5――ひきこが人神かただの人間かは置くとして、小宮さんが感情を剥き出しにして演じていらっしゃったのが印象的で。翻って考えると、一連の凶行には一応の大義名分があれど、発端はひきこのゆかりに対する善意というか、愛情ですよね。だからこそ、それが受け入れられないと真逆に転じてしまう、と。

宮崎 それは、小宮さん自身も言ってました。「なんで、私の愛が受け入れられないの」というつもりで演じてたと。だから、彼女はすごく悲しい顔をしてるんですよね。他者への愛は紙一重ですから。

吉川 事前の演出プランでは、なにを考えているのかわからないというか、よくできたロボットみたいなイメージで役柄を説明してて。それは小宮さんも共有してくれていたと思うんですけど、現場で演じているうちに、徐々に感情的な部分が出はじめて。それはそれでいいんじゃないか、と。だから、多少の軌道修正はしましたけど、彼女のなかから溢れる感情は極力抑圧しないようにしよう、と。

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ひ・き・こ 降臨 2014年/日本/88分/ビスタサイズ/ステレオ/カラー
編集・監督:吉川久岳 脚本:宮崎大祐
出演:秋月三佳,小宮一葉,サイボーグかおり,針原滋,正木佐和,松本来夢,石橋征太郎,広瀬彰勇,西地修哉,末次政貴,河野良祐,加藤大騎,菅沼もにか,芦原健介,恒吉梨絵(友情出演)
プロデューサー:小田泰之 撮影:御木茂則 照明:松隈信一 録音:西岡正巳 効果:丹 雄二
衣裳:碓井章訓 ヘアメイク:佐々木愛 助監督:山下和徳 制作担当:牧 信介
製作・配給:アムモ98 © 2014 amumo 98
公式サイト

2014年11月29日(土)~12月4日(木)
シネ・リーブル池袋にて6日間限定レイトショー!

2014/11/28/17:22 | BBS | トラックバック (0)
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