インタビュー
吉川久岳(監督)×宮崎大祐(脚本)/『ひ・き・こ 降臨』

吉川 久岳(監督) × 宮崎 大祐(脚本)
映画『ひ・き・こ 降臨』について【4/7】

公式サイト

2014年11月29日(土)~12月4日(木)、シネ・リーブル池袋にて6日間限定レイトショー!

(聞き手:後河大貴)

『ひ・き・こ 降臨』場面8 『ひ・き・こ 降臨』場面9――本作の基底にあるのは親と子というモチーフですけど、本質にあるのは支配/被支配という非対称的な関係性ですよね。で、宮崎さんは作劇においてもそれを敷衍させて、メインとサブプロットを分けず、本質において相似的なライトモチーフを微妙にズラしながら重層化する、いわゆる“フラクタル劇”にしています。今回、こういう話法を選択された理由は?

宮崎 なにか理由があったというよりは、自分がある時を境に、世の中の問題の本質的な繋がり、連関に敏感になったんだろうと思います。だからそういった話法も単に、その実感が反映された結果じゃないか、と。技術的にも話法は工夫しないと、既視感から逃れることはできません。例えば、メインプロットがホラーであれば、サブプロットに家族問題を置くのがアメリカ映画の常套手段です。でも、それではある共同体内部の話は描けても、そこから先の広がりまでは描ききれない。で、本作が「当たり前のホラーにしない」という志から出発している以上は、映画的な挑戦に加えて、自分のヴィジョンや思想も乗っけていかねばならない、と。そこで、相似的なライトモチーフを連鎖させて、観客にダイレクトに繋がってくるような構造を考えたんです。まあ、狂気とか妄執のたぐいですよ。僕自身が、ひきこよりも酷い妄執に囚われているんで(笑)。

――ひきこには世界が不均衡・不平等であることへの強い怒りがあって、神になり代わって均衡を回復しようとします。

宮崎 主題として、最近ずっとやっているけど、今回も引き続き、平たく言うと“神の不在、存在証明”みたいなことがやりたかったんです。神を徹底的に否定し尽くした結果、「一体なにが見え、なにが残るんだろう?」という。まあ実際、世の中には理不尽なことが多いですしね。とくに、ネットなんか見ていると、見えなくてもいいものまで可視化されてしまうんで。「どうしてこうなってしまったんだろう?」と。もう、皆さん完全に狂ってますから。でも一方で、それを見ても狂えない自分がいて、明日も生きていかなきゃいけない自分もいる。たとえ、原発が爆発しようが――そういう、常日頃から抱えている問題意識が出たのかな。

――オーディションには、数百人の応募があったそうですね。小宮さんに関してはすんなり決まったと聞きましたが、ゆかり役に秋月さん、紀里子役にサイボーグゆかりさんを選ばれたのは?

吉川 秋月さんは、多分ちゃんと笑える人なんですよ。盗撮犯をやっつけるシーンがあるんですが、本当に、浄化されるような笑顔を見せてくれた。その時に、「ちゃんと笑えるっていうのは、なんて尊いことなんだ」と。ああいう健全さ、それと裏腹の弱さを表現するのは、狙ってもなかなか難しい。そういう意味では、秋月さんに演じてもらって本当によかったです。

宮崎 ゆかりは誰でもできるけど、誰もはまらないような難しさがあって。ある種、秋月さんだから成立したんじゃないかとは思います。オーディションのさい、彼女はひとりだけスケジュールが合わなくて、子役と一緒だったんです。その時に僕も、聖女というと言い過ぎですけど、なにか凛とした清潔さを感じましたね。他の人が強く自己主張するなかで、そんな秋月さんの佇まいは、非常に印象深かった。

吉川 サイボーグさんに関しては、書類の段階では僕はよくわからなかったんだけど、宮崎君が「面白い」ということで、来てもらったんです。

――なにか狙いがあったんでしょうか。

『ひ・き・こ 降臨』場面10 『ひ・き・こ 降臨』場面11宮崎 論理的な判断じゃなくて、勘だったんですけどね。名前も特異だし、MVを見てもなかなか理解が及ばなかったんですけど、「なにかがあるんじゃないか」と。ただ、彼女はオーディションでは凄かったですよ。ひとりだけ、意図的に音階を上げて挨拶をしていましたから。「○○から来た××です」っていう自己紹介を、オクターブを変えて実演するんです。実際、芝居も一番上手かった。まあ、リスクはかなり高いとは思いましたけど。

吉川 それで目を引かれたけど、本当はどんな人なのか判然としなかったのはありました。でも、その後に直接話を聞いてみたら、かなり意識的に作っているということがわかって。ならば、芝居を理論的に組み立てることもできるんじゃないか、と。ちょっとリスキーではありましたけど(笑)、でも、自分の演出プランにはなかった紀里子像になるんじゃないかという期待も生まれて。そもそも紀里子はキャラとして弱いところがあったので、いいアクセントになるんじゃないか、と。事実、現場に入る前に3人で本読みをしたんですが、秋月さんと小宮さんが自分なりのキャラクター像を持って望んでくれた一方で、サイボーグさんは、場当たり的に、2人の反応を探りながら、かなり振り幅広く演じていた。そんな彼女に、秋月さんと小宮さんがひどく戸惑っている印象があって。2人は「本気か?」って顔してましたけど(笑)、でも、それはそれで面白くなるんじゃないか、と。実際、その狙いは成功したんじゃないかと思っています。あと、3人とも、現場での振舞いが素晴らしかった。あれぐらいの年齢の子が集まると、はしゃいでしまって、集中力が途切れてしまうこともままあるんですけど。そういうのが一切なかったですから。

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ひ・き・こ 降臨 2014年/日本/88分/ビスタサイズ/ステレオ/カラー
編集・監督:吉川久岳 脚本:宮崎大祐
出演:秋月三佳,小宮一葉,サイボーグかおり,針原滋,正木佐和,松本来夢,石橋征太郎,広瀬彰勇,西地修哉,末次政貴,河野良祐,加藤大騎,菅沼もにか,芦原健介,恒吉梨絵(友情出演)
プロデューサー:小田泰之 撮影:御木茂則 照明:松隈信一 録音:西岡正巳 効果:丹 雄二
衣裳:碓井章訓 ヘアメイク:佐々木愛 助監督:山下和徳 制作担当:牧 信介
製作・配給:アムモ98 © 2014 amumo 98
公式サイト

2014年11月29日(土)~12月4日(木)
シネ・リーブル池袋にて6日間限定レイトショー!

2014/11/28/17:24 | BBS | トラックバック (0)
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