インタビュー
アリ・フォルマン監督×山村浩二氏

アリ・フォルマン (映画監督) × 山村 浩二 (アニメーション作家)
映画『コングレス未来学会議』について【2/4】

東京アニメアワードフェスティバル2015招待作品
2015年6月、新宿シネマカリテ他全国順次公開

公式サイト 公式Facebook (取材:深谷直子)

『コングレス未来学会議』場面1フォルマン はい、私は必ず俳優を使ってまず演出をするのですが、それはアニメーターのために俳優に演じてもらうということです。ハリウッドで非常にビッグな俳優であってもアニメーター以外誰も見ないようなシーンの撮影のために演技をする、そのことを彼らはとても気に入り楽しんでいるようでした。(本作のメイキング・ビデオを見せながら)これはアニマティック(制作の初期段階で用意される絵コンテのようなラフなアニメ)なんですが、俳優によるライブアクションの映像を元にしています。そこからデザインという作業が入り、非常に長いアニメーションを作るというプロセスに入っていきます。つまりアニメーターはまったく新しいキャラクターを頭の中で発明するのではなくて、ライブアクションの俳優の表情と動きを元に、真似て描いていっているわけです。

山村 ライブアクションを単純にトレースしているわけではなくて、そこにデザイン的なクリエイションがかなり入るということですよね?

フォルマン そうです。私と仕事をしたアニメーターたちに「あれはロトスコープ(モデルの動きをカメラで撮影し、それをトレースしてアニメーションにする手法)だったんだよね」なんて言ったら、彼らは多分うんざりして自殺してしまうでしょう(笑)。

山村 フォルマン監督は本当に手描きにこだわられていて、本日観てフライシャー兄弟のスタイルの影響を感じられた方も多いと思います。色彩も非常にユニークですが、アニメーションのスタイルやデザインはどのように作り上げたのですか?

フォルマン まず20年後の世界のデザインを構築するわけですが、20年後のアニメーションがどういうものになるかはもちろん分かりません。未来のアニメが分からないだけに過去にリファレンスを求め、選んだのがフライシャー兄弟でした。『ポパイ』や『ベティ・ブープ』や初代の『スーパーマン』を描いたアニメーターで、同時代にディズニーが非常にクリーンでファインな完成度の高い作品を作っていたのに対してフライシャー兄弟は荒々しくワイルドなアニメーション作りをしていました。ディズニーを優等生とするならフライシャー兄弟は不良と言えると思います。他にはラルフ・バクシのスタイルを借りたりもしています。また個人的には私は日本の映画、特に70年代の実写映画が好きなので、その影響を受けているのと、あとは今敏監督ですね。幻覚や幻想の描き方には『パプリカ』(06)からだいぶ影響を受けていることがご覧いただけたかと思います。

山村 また、本作を観て気付いたことですが、『戦場でワルツを』もやはり何が現実で何が現実ではないか?という混沌を描く作品で、そういった部分に監督の興味があるんじゃないかと感じたのですが。

『コングレス未来学会議』場面2フォルマン 誰もが二つの世界に生きていると私は考えています。「今、ここ」というリアルな世界があり、もうひとつ私たちの頭が導いてくれるパラレルワールドがあると思うのですが、そういう二つの世界に私たちは暮らしていると思うんです。そしてよい映画というのは二つの世界を合体させてくれるものではないかと思います。映画館に行って座っている1時間半ぐらいの中でリアルの世界と夢の世界がひとつに合体する、その時間の流れ方というのは映画の中でしかあり得ないものだと思いますし、例えばデヴィッド・リンチの映画のようにリアリティとファンタジー、意識と無意識といった矛盾したことをひとつの世界の中で体験させてくれる、そういう映画が優れた映画だと思っています。映画作りにおいて私が使命としているのもその点です。

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コングレス未来学会議 2013年/イスラエル・独・ポーランド・ルクセンブルク・仏・ベルギー合作/120分
監督・脚本:アリ・フォルマン 原作:スタニスワフ・レム『泰平ヨンの未来学会議』
出演:ロビン・ライト,ハーベイ・カイテル,ジョン・ハム,ポール・ジアマッティ,コディ・スミット=マクフィー,ダニー・ヒューストン,サミ・ゲイル
日本語字幕:和泉珠里(日本映像翻訳アカデミー) 字幕監修:柳下毅一郎 配給:東風+gnome
© 2013 Bridgit Folman Film Gang, Pandora Film, Entre Chien et Loup, Paul Thiltges Distributions, Opus Film, ARP
公式サイト 公式Facebook

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2015/04/06/19:23 | BBS | トラックバック (0)
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