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サイの季節

その残酷なたくらみに、愛し合う2人はすべてを奪われた――
30年間の記憶が暴く、許されざる罪と嘘

イスラム革命時、ある男の企みによって不当に逮捕された詩人サヘル(ベヘルーズ・ヴォスギー)。30年後に釈放され、生き別れとなった最愛の妻ミナ(モニカ・ベルッチ)の行方を捜し始めるが、政府の嘘によって彼はすでに「死んだ」ことにされていた。一方、夫の死を信じ込まされ、悲嘆にくれるミナにはある男の影がまとわりつく。その人物こそがサヘルを監獄送りにし、ミナとの間を引き裂いた男アクバル(ユルマズ・エルドガン)だった……。

「サイの季節」

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2015年7月11日(土)よりシネマート新宿ほか全国順次公開

INTRODUCTION

マーティン・スコセッシを心酔させた、
網膜になだれこむ圧倒的ダイナミズムの映像世界!
名匠バフマン・ゴバディが亡命中に撮りあげた渾身の最新作

「サイの季節」 「サイの季節」場面1 「サイの季節」場面2 「サイの季節」場面3 この全世界が待望したバフマン・ゴバディの最新長編作『サイの季節』は、第37回トロント国際映画祭でプレミア上映され、第60回サン・セバスチャン国際映画祭では最優秀撮影賞を受賞、その後、第17回釜山国際映画祭、第13回東京フィルメックス等数々の国際映画祭での上映と受賞を重ね、あのマーティン・スコセッシがネームクレジットで称賛の意を表した映画史に残る至高の1作である。
本作は、イラン政府に許可を得ず撮影した前作『ペルシャ猫を誰も知らない』(09)以来、亡命を続けているゴバディが母国を離れ、異国の地トルコで撮影したことでも注目を集めた。映画への愛から母国を去ることを決断した苦悩と、一方で、亡命によって映画製作に対する困難さから解き放たれた高揚、その相反する彼の心情が見事に織り込まれた作品といえるだろう。デビュー作『酔っ払った馬の時間』(00)でカンヌ国際映画祭カメラ・ドールを受賞し、その映像美に定評のあるゴバディだが、本作はこれまでの自身のどの作品とも一線を画す、まさに真骨頂といって過言ではない。愛する人も地位も自分の存在さえも奪われた主人公サヘルの混沌とした心象風景が、時に突飛とも思えるほど自由奔放で、縦横無尽の想像力で生み出されるダイナミックな映像世界となって、観る者を現実と幻想の魔法的な交錯に引き込む。そして、ともすれば現実にならされてしまった私たちに心地よい刺激と惑乱を与えてくれるのだ。

混沌と悪夢の時代を彷徨い続けた男女のゆるがぬ愛、絡みあう思惑――
イラン、イタリア、トルコが輩出した名優たちの競演が魅せるスリリングな人間ドラマ

「サイの季節」場面4「サイの季節」場面5 「サイの季節」場面6 イスラム革命時、ある男の企みによって不当に逮捕された詩人サヘル。30年後に釈放され、生き別れとなった最愛の妻ミナの行方を捜し始めるが、政府の嘘によって彼はすでに「死んだ」ことにされていた。一方、夫の死を信じ込まされ、悲嘆にくれるミナにはある男の影がまとわりつく。その人物こそがサヘルを監獄送りにし、ミナとの間を引き裂いた男アクバルだった――この物語は、実在するクルド系イラン人の詩人サデッグ・キャマンガールの体験談に基づいて描かれた衝撃的なドラマである。バフマン・ゴバディの大胆な構成力と魅惑的な審美眼がつくりだす混乱と陶酔の映像世界に、たしかなリアリティをもたらす名優たちの力強い存在感。時間軸を前後させながら徐々に解き明かされていく真相は、観る者に絶え間ない緊迫感を与え続ける。
悪夢の30年間の末、最愛の妻との再会だけを希望に生き続ける老齢のサヘルを演じるのは、イランの伝説的俳優ベヘルーズ・ヴォスギー。その静かで深い悲しみに満ちた瞳と重厚な佇まいは圧巻。そして、革命の悲劇と愛欲の犠牲となる妻ミナをイタリアの至宝モニカ・ベルッチが熱演。長い月日の経過と共に悲嘆にくれ、疲れ果てた老女に扮するもその艶やかな魅力は隠しきれない。また、決して叶わぬミナへの歪んだ愛から大罪を犯すアクバルを演じるのは、トルコの名優ユルマズ・エルドガン。愚かで哀しい男を見事に体現している。
引き裂かれた夫婦、そこにつきまとう男の影。その屈折した三角関係が生んだ戦慄の事実と大いなる復讐の果て――30年の歴史の闇が紐解かれたとき、彼らが下すそれぞれの“愛の結末”に胸を裂かれずにはいられない。

DIRECTOR’S STATEMENT

バフマン・ゴバディ監督の言葉

前作の『ペルシャ猫を誰も知らない』をつくった後で、私は故郷イランを去るという苦渋の決断をするように追い詰められました。それから、パリ、ベルリン、ニューヨークといった故郷から遠く離れた土地で、自分の場所と呼べるところを見つけようと努力しました。そして最後にはイスタンブールに落ち着くことに決めたのでした。それでも自分の故郷から引き離された痛みは、毒のように私の心と体を浸していきました。私は孤独感でいっぱいになり、まるで自分の生命が自分から滲み出ていくような感覚をおぼえました。自分のルーツと愛する人々から切り離されたことに伴って私が感じたプレッシャーや混乱した感覚は、自分を麻痺させ圧倒するものでしたが、だからこそ、それを自分が表現しなければならないと思ったわけです。

サヘルとは何者でしょうか。
サヘルは闘士です。ほとんどの場合、自分と戦いを続けている男で、自分がまだ生きており、自分の心がまだ屈服していないことを証明しようと努力しています。彼は自分を閉じ込めている四方の壁に囲まれた刑務所の中にいながらも、心の中ではその外に出て、過去の記憶の道を自由に歩き回り、「サイの季節」場面7 「サイの季節」場面8 「サイの季節」場面9 「サイの季節」場面10愛する妻の姿を何度も思い起こすことで自由を求めます。彼がしていることは、時空をゆがめ、重力に対抗しようとすることなのです。
しかし、処刑されなかったとはいえ、時がたしかに彼を蝕んでいきます。どんなにもがいてはみても、彼が孤独に過ごした30年間の月日は、彼に死の宣告を与えたも同然なのです。彼はしだいに生きる屍へと変わっていきます。土が冷たく、生き物にも魂がない大地を、愛や幸福ではなく、痛みと共に彼は彷徨っていきます。

避けようもない重みが私自身をも引きずり落とそうとしていました。その荒廃した土地に自分が入りかけているのが、私にはわかりました。
しかしこの作品は、私にとって死を見つめるいい機会だったのです。私は恐怖と喪失感の中に自分を完全に浸しました。そして、最終的には自分を再生することができました。わたしはこの映画によって、とにかく生き延びようとしたのです。

CREDIT
製作・監督・脚本:バフマン・ゴバディ『亀も空を飛ぶ』『ペルシャ猫を誰も知らない』
撮影:トゥラジ・アスラニ
出演:ベヘルーズ・ヴォスギー、モニカ・ベルッチ、ユルマズ・エルドガン、カネル・シンドルク
2012/イラク・トルコ/スコープサイズ/DCP/93 分/カラー/ペルシャ語・トルコ語・英語/
日本語字幕:大西公子、監修:ショーレ・ゴルパリアン/
原題『Fasle kargadan』、英題『Rhino Season』/提供:新日本映画社、コムストック・グループ
配給・宣伝:エスパース・サロウ/映倫G
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2015年7月11日(土)よりシネマート新宿ほか全国順次公開

2015/07/04/19:49 | トラックバック (0)
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