三浦誠己/『木屋町DARUMA』

三浦 誠己 (俳優) 映画『木屋町DARUMA』について【2/5】

2015年10月3日(土)より渋谷シネパレスほか全国順次ロードショー
<関西>大阪:第七藝術劇場 京都:京都みなみ会館 兵庫(神戸):元町映画館

公式サイト 公式twitter 公式Facebook (取材:深谷直子)

『木屋町DARUMA』場面1――「自分の中で壊したり作ったりした部分」とはどんなところですか?

三浦 坂本がどういうふうに育ってきたのか、なぜラグビーを始めたのか、なぜラグビーをやめてヤクザになったのか、というのは全部脚本に書かれているんですよね。親父がギャンブルで身を持ち崩したためにラグビーはあきらめざるを得なかったと。でもヤクザになった坂本が、武田梨奈ちゃん演じる友里を助けようとか女性に対して優しい意識を持つためには、もうひとつバックボーンが必要だなということを考えて、父親と母親だけの家庭に育ったのではなく妹か姉がいると想定したんです。自分ひとりであれば、ラグビーをやめて嫌々ヤクザをやらなくても、「親父は勝手に殺してくれ」と言って逃亡することもできるわけじゃないですか? でもなぜそれをしないでヤクザの世界に入ったかというのは、父親だけではなく別の肉親を助けようという要素があったと思うんです。

――なるほど、体育会系っていうこともありますし、坂本のそういう女性観には確かに裏付けが要りそうですね。

三浦 あと、これはまた別の話になるんですが、今まであったヤクザ映画というのは結構分かりやすかったと思うんですよ。「裏切られた、殺る」とか、定型がはっきりあってその中で動いていたと思うんです。でも僕らの時代ではそれが変わってきていて、不良もいれば小学生ぐらいからゲームにハマるやつもいるし、携帯電話が出てきた、ソーシャルネットワークが出てきたっていう中で生きてきた人間がヤクザになっていくっていうところに、今までのヤクザ映画にはなかった要素が盛り込めると思ったんです。「不良でした、ヤクザになりたい」で物語、というのじゃなくて、「ヤクザなんて知らん、ラグビーをやっていたのに嫌々ヤクザになった」っていう人間を作品の中で演じようというときに、そういう今の社会の様相を盛り込もうと思いましたね。そういうことを作っていくことをまずして、でも現場ではそれを壊してまた作り直していくということの連続で。撮影は順撮りではないので、自分の中で整理してやっていかなければいけないというのもあるし、現場で監督がどの芝居にOKを出すかというのは自分の想像どおりに行くこともあれば違っていることもあるので、それを修正してまた考えて。考えていったことを現場で壊して、もう1回作るということを毎日やっていました。その中でも自分の中でいちばん強く思っていたのは、ヤクザ映画で過激で、しかも僕らの時代の要素を盛り込んだ現代の映画作品としてやろうということで、そういう要素は絶対入れたろう!と。それを監督が意図していたかどうかっていうことよりも、「自分がやる以上はそうしないとおもろないな」って思って作り上げていきました。そういう意味で、撮影期間中は私生活というか、飲みに行くような暇はなかったですね。

――この映画は、勝浦だけが主人公ではなくて、坂本の変化を追う物語でもありますよね。坂本はとても純粋な人間で、木村祐一さんが演じる古澤という自分の組長に対しては絶大な信頼を寄せていますが、世話をしている勝浦に対しては、取り立てのやり口の酷さなどもあるのでしょうけど、反感を露わにしていますよね。

三浦 『木屋町DARUMA』場面2勝浦に対する反感というのは、取り立ての方法に対する反感もあるんですけど、単純に介護が嫌というのもあって。物語は勝浦の介護をし始めて1年半後ぐらいから始まっていますが、最初はめちゃめちゃ嫌やったと思うんですよね、身体を洗ったり車椅子を押したりすることが。金銭で他の人に代わってもらえるなら、自分はそれを稼いでくるから介護士雇ってくださいよ、って言いたいですよ。でも自分のオヤジである組長に「お前がやれ」って言われているんですよ。組長としては自分の兄弟分だった勝浦が手足をなくしたのを、全然知らない人間には触らせたくない、自分の組員に任せたいっていう想いがあって、それは勝浦に対する愛情だったりすると思うんですよね。僕の祖父も、もう亡くなったんですけど7年ぐらい介護が必要で、僕の叔父さんである息子がやっていたんですよね。それを見て「金で解決できるのにな」って思う部分はあるんですけど、肉親がやるのはやっぱり親に対する愛情ですよね。坂本も「オヤジが言うからやらなあかん」っていう気持ちでやっているうちにだんだん慣れてきてルーティンワークになって、それでもヤクザだから言葉は乱暴でしょうし。それで衝突する中で現場でいろいろセリフも増えたりしたので、勝浦とのやり取りというのは面白かったですね。

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木屋町DARUMA (2014年/日本/カラー/HD/5.1ch/1時間56分/R15+)
出演:遠藤憲一,三浦誠己,武田梨奈,尾高杏奈,趙珉和,勝矢,烏丸せつこ,木下ほうか,寺島進,木村祐一
監督:榊英雄 原作・脚本:丸野裕行「木屋町 DARUMA」(オトコノアジト電子書籍出版)
プロデューサー:榊英雄、丸野裕行  音楽:榊いずみ キャスティング:木下鳳華 撮影:今井裕二
美術:井上心平 照明:鹿野克巳 録音:山口満大 編集:清野英樹 助監督:山口雄也
ラインプロデューサー:氏家英樹 主題歌:「空が泣いている」masami
制作プロダクション:ファミリーツリー 配給:ファミリーツリー アークエンタテインメント
製作:「木屋町DARUMA」製作委員会 © 2014「木屋町DARUMA」製作委員会
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2015年10月3日(土)より渋谷シネパレスほか全国順次ロードショー
<関西>大阪:第七藝術劇場 京都:京都みなみ会館 兵庫(神戸):元町映画館

2015/10/04/17:22 | トラックバック (0)
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