インタビュー
榎本憲男監督/『森のカフェ』

榎本 憲男 (監督・脚本・プロデュース)
映画『森のカフェ』について【2/6】

2015年12月12日(土)より、ヒューマントラストシネマ渋谷他にて上映中

公式サイト (取材:深谷直子)

『森のカフェ』場面1――ロマンティック・コメディになりましたが、それも森という場所からの発想ですか?

榎本 ええ、ちょっとファンタジックにしたいなと思いました。『暗殺の森』(70)のように森の中で凄惨な事件が起こるというのもひとつの手なんだけれども、そういう森じゃないなと。で、ロマンティック・コメディというのは恐いけど一度はやってみたいジャンルだったんです。本当は自主映画でやってはいけないジャンルなんですよね。1930年代のハリウッドがいちばん栄えていた時代に、美男美女で芝居もできる大スターと、演出力のある監督と、非常にうまい美術スタッフとで築いたジャンルなので、僕ごときが自主映画で真似をするというのはちょっと痛い形になるかもしれないけど、それでもやってみたい気持ちがあったんです。で、徹底的にロマンティック・コメディにするのは厳しいのもあって「風味」ということで、そこにまた別の人間ドラマを加えていく、というのが今回の戦略でした。

――確かに現実離れした世界を見たいというジャンルなのでスターでやるのが王道なんでしょうけど、『森のカフェ』の主演のお二人もよく合っていましたね。

榎本 まず顔が割とよかったんですよね、男女どちらの俳優も。そして芝居も二人ともがんばってくれたので、なんとか成立しているんじゃないかと思います。

――お芝居見事でしたね。台詞まわしのテンポも絶妙で、生き生きしていました。若井久美子さんは表情が豊かですね。

榎本 彼女はうまいと思います。レスポンスする力を持っていて、「こういうふうにしてくれ」という具体的な指示に対して的確に応えてくれるんですよね。女の子の天然キャラの芝居のほうが難しいので、ここまでうまくできたというのはなかなかのものですよ。コメディというのはシナリオができたらそれで安心、というのとはほど遠いジャンルなんです。泣きのドラマはシナリオが巧妙にできていたら割とその方向で構築できるんだけど、コメディはシナリオにかけられる保険があんまり高くないんですよね。演技に頼らざるを得なくて、そこを今回の俳優たちはがんばってくれたなと思います。

『森のカフェ』場面2――若井さんは歌うシーンもよかったですね。ミュージカル『レ・ミゼラブル』でコゼット役もやっている、歌が歌える方ということで、歌うシーンを作ったとのことですね。

榎本 そうですね、せっかく彼女をキャスティングしたのだから、「では歌っていただきましょう」という感じでシナリオを書いたんですけど、「そうなると曲を作らなきゃいけないな」とあとで気づいた(苦笑)。1作目から音楽を担当してもらっている安田芙充央さんにお願いしたら、ちょうど忙しい時期だったけどササッと書いてくれました。最初はMIDIでメロディーだけ送ってきてくれたんだけどどんな曲なのかよく分からなくて、スコアを送ってもらいました。でも僕はスコアが読めないので歌詞と一緒に若井さんに送り、彼女がiPhoneか何かで音を取りながら歌ったのをファイルでまた送ってもらって、それでやっとどういう曲なのか分かったんです(苦笑)。レコーディングも、安田さんはギターが弾けないんだけど、ピアノでアルペジオを弾いてもらって一度レコーディングして、そのあとその伴奏を抜いてギターをかぶせるという変なやり方なんです。

――かなりややこしいことをされていたんですね。安田さんにお任せではなくて監督が曲の制作もそこまでされていたと。

榎本 そうですね。去年の8月11日に引っ越しをして、9月半ばか下旬に映画を撮ることに決めて、11月17日がクランクインだから、決心してから撮るまでは早かったんですよ。2ヵ月ぐらいで脚本を書いて、スタッフを集めて、一気にやっていました。だから撮り終わるまでは割とすんなりいったんですが、そこからが……、まあ毎度のことなんだけど、自主映画って撮影が終わったらスタッフがいなくなるんですよ。そりゃそうだよね、もうそれ以上付き合い切れないよね……(苦笑)。

――(笑)。寂しいですね。そのあとの仕上げは監督がひとりでコツコツされていく感じだったんですか?

榎本 そうですね。撮影後も録音に関する作業が結構あって、録音の小牧(将人)くんと一緒にやったんですけど、風の音とか足音だとかは僕が森に行って録りました。じゃがりこをかじる音やノートをめくる音も自分でやっています。アフレコも僕の部屋でやりました。でも他の音となじまなくて使わなかったのもあるし、やっぱり素人だから難しかったですね。

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森のカフェ
出演:管勇毅 若井久美子 橋本一郎 伊波麻央 永井秀樹 志賀廣太郎 東亜優 安藤 紘平
監督・脚本・プロデュース:榎本憲男
撮影:川口晴彦 録音:小牧将人 音楽:安田芙充央 編集:石川真吾 美術:松永真帆
配給:ドゥールー © Norio Enomoto
公式サイト

2015年12月12日(土)より、ヒューマントラストシネマ渋谷他にて上映中

2015/12/26/17:32 | BBS | トラックバック (0)
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