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永遠のオリヴェイラ
マノエル・ド・オリヴェイラ監督追悼特集 Part1

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2016年1月23日(土)~2月5日(金)まで、ユーロスペースにて開催

マノエル・ド・オリヴェイラ監督昨年2015年4月2日、106歳で亡くなったマノエル・ド・オリヴェイラ監督を追悼する特集上映が二回にわたって開催される。
現役最高齢の映画作家として知られたオリヴェイラ監督は、本格的に活躍し始めたのが60歳を越えてからと、映画監督としては遅咲きの人である。1972年に『過去と現在 昔の恋、今の恋』を発表してから、『ベルニデまたは聖母』(75)、『破滅の愛』(78)、『フランシスカ』(81)と「挫折した愛の四部作」と呼ばれる作品群を制作、以降も敏腕プロデューサーのパウロ・ブランコと組み、上映時間6時間50分の大作『繻子の靴』(85)で国際的評価を確立すると、『神曲』(91)、『アブラハム渓谷』(93)、『世界の始まりへの旅』(97)、『クレーヴの奥方』(99)といった傑作群を発表した。
2000年代に入って90歳を超えてもオリヴェイラ監督の創作意欲は衰えることを知らず、『家路』(01)でミシェル・ピコリ、『永遠の語らい』(03)でジョン・マルコヴィッチ、『永遠の語らい』(03)でカトリーヌ・ドヌーヴ、『夜顔』(06)でビュル・オジェ、『家族の灯り』(12)でジャンヌ・モローとクラウディア・カルディナーレといった世界的名優たちを迎えた作品で世界中の映画ファンを魅了し続け、文字通り巨人的映画作家と呼ぶに相応しい存在だった。

今回の特集第一弾では、亡くなる前年の2014年にヴェネチア国際映画祭で上映された短篇『レステロの老人』を特別上映するほか、初の劇場用長篇映画『アニキ・ボボ』(42)から、『春の劇』(63)、『過去と現在 昔の恋、今の恋』(72)、『カニバイシュ』(88)、『ノン、あるいは支配の空しい栄光』、『神曲』(91)、『アブラハム渓谷』(93)、『階段通りの人々』(94)までの8作品を、美しい35ミリフィルムで上映する。
なお、2016年夏以降に開催される第二弾では、1990年代後半から2000年代の代表作と、日本では未公開だった『フランシスカ』(81)などを上映する予定とのこと。第一弾の作品と合せて全国を巡回するそうなので、この機会を見逃すことなくお近くの劇場まで足を運んでみて欲しい。

料金
● 前売券1回券=1300円 3回券=3300円 (前売券はご鑑賞当日、劇場窓口にて入場整理番号とお引換えください。)
● 当日券1回券のみ 一般=1500円/大学専門学校学生=1300円/会員・シニア=1100円/高校生=800円/ 中学生以下=500円
※ 各回入替制・整理番号順入場・自由席 ※ やむをえない事情により作品及び上映時間が変更される場合がございます。

上映スケジュール
  • 1月23日(土) 15:00『アブラハム渓谷』 18:40『階段通りの人々
  • 1月24日(日) 14:50『春の劇』 16:50『神曲』 19:25『アニキ・ボボ』+『レステロの老人
  • 1月25日(月) 15:30『過去と現在 昔の恋、今の恋』+『レステロの老人』 18:30『階段通りの人々
  • 1月26日(火) 15:00『ノン、あるいは支配の空しい栄光』 17:10『カニバイシュ
  • 1月27日(水) 15:00『神曲』 18:20『過去と現在 昔の恋、今の恋』+『レステロの老人
  • 1月28日(木) 15:00『アブラハム渓谷』 19:00『アニキ・ボボ』+『レステロの老人
  • 1月29日(金) 15:30『階段通りの人々』 18:30『ノン、あるいは支配の空しい栄光
  • 1月30日(土) 14:50『神曲』 17:25『カニバイシュ』 19:20『アニキ・ボボ』+『レステロの老人
  • 1月31日(日) 14:50『過去と現在 昔の恋、今の恋』 17:00『春の劇』 18:50『ノン、あるいは支配の空しい栄光
  • 2月1日(月) 16:00『アニキ・ボボ』+『レステロの老人』 19:00『カニバイシュ
  • 2月2日(火) 15:30『春の劇』+『レステロの老人』 18:30『過去と現在 昔の恋、今の恋
  • 2月3日(水) 16:00『ノン、あるいは支配の空しい栄光』 19:00『カニバイシュ
  • 2月4日(木) 16:00『春の劇』 18:00『神曲
  • 2月5日(金) 15:00『階段通りの人々』 17:00『アブラハム渓谷
上映タイトル一覧

『レステロの老人』 O Velho do Restelo 2014年/19分/カラー/DCP 特別上映
監督・脚本:マノエル・ド・オリヴェイラ 撮影:レナート・ベルタ
出演:ルイス・ミゲル・シントラ、リカルド・トレパ、ディオゴ・ドーリア

『レステロの老人』 ポルトガルの大航海時代を詠った国民詩人カモンイス、「ドン・キホーテ」の作者セルヴァンテス、『破滅の愛』の原作者である19世紀ポルトガル・ロマン派の小説家カステロ・ブランコ、20世紀初頭の詩人パスコアイス。4人の文学者がポルトガルの過去と未来について語り合う。タイトルである”レステロの老人“は、大航海時代の栄光に異を唱える人物として、カモンイスの詩『ウズ・ルジアダス』の中に登場する。

『アニキ・ボボ』 Aniki Bobo 1942年/71分/モノクロ/35ミリ
監督・脚本:マノエル・ド・オリヴェイラ 撮影:アントニオ・メンデス
出演:ナシメント・フェルナンデス、フェルナンダ・マトス、オラシオ・シルヴァ

オリヴェイラの長篇デビュー作。陽光降り注ぐポルトの街を舞台に、躍動するアナーキーな少年少女たちを縦横無尽に活写してネオレアリズモの先駆的作品と見なされる。「アニキ・ボボ」とは警官・泥棒という遊びの名前。幼い恋の冒険を「罪悪」と「友愛」の寓意へ変貌させる演出のスケール感はすでにして巨大。

『春の劇』 Acto de Primavera 1963年/91分/カラー/35ミリ
監督・脚本・撮影:マノエル・ド・オリヴェイラ
出演:ニコラウ・ヌネス・ダ・シルヴァ、エルメリンダ・ピレシュ、マリア・マダレーナ

16世紀に書かれたテキストに基づいて山村クラリェで上演されるキリスト受難劇の記録。自ら「作品歴のターニングポイント」と述べる本作でオリヴェイラが発見したのは、「上演の映画」という極めて豊かな鉱脈だった。一見して不自然な「虚構」のドキュメントだけが喚起する謎と緊張。前人未踏の「映画を超えた映画」の始まり。

『過去と現在 昔の恋、今の恋』 O Passado e o Presente 1972年/115分/カラー/35ミリ
監督・脚本:マノエル・ド・オリヴェイラ 撮影:アカシオ・ド・アルメイダ
出演:マリア・ド・サイセット、マヌエラ・ド・フレイタス、ペドロ・ピニェイロ

長篇劇映画第三作。ヴィンセンテ・サンチェスの戯曲「過去と現在」を、監督が自ら映画用に翻案。『フランシスカ』に至る「挫折した愛の四部作」の第一部にあたる。現在の夫に心を開かず、事故死した最初の夫への想いを募らせる妻ヴァンダを中心に、過去と現在、死者と生者の間を交差する奇妙な愛が描かれる。

『カニバイシュ』 Os Canibais 1988年/91分/カラー/35ミリ
監督・脚本:マノエル・ド・オリヴェイラ 撮影:マリオ・バローゾ
出演:ルイス・ミゲル・シントラ、レオノール・シルヴェイラ、ディオゴ・ドーリア

『過去と現在』から音楽を担当してきたジョアン・パエスとともに作られたオペラ・ブッファ映画。厳かに進行する貴族たちの晩餐会は、やがて、タイトルが予告する驚愕の食人場面へ。人間と動物、人間と機械、見せかけと本質…ヴァイオリンの調べに乗ってあらゆる境界が軽々と侵される。

『ノン、あるいは支配の空しい栄光』 Non, ou a Va Gloria de Mandar
1990年/110分/カラー/35ミリ 監督・脚本:マノエル・ド・オリヴェイラ 撮影:エルソ・ロケ
出演:ルイス・ミゲル・シントラ、ディオゴ・ドーリア、ミゲル・ギリェルメ

1974年、独立戦争が長期化していたアフリカのポルトガル植民地で、疲弊した兵士たちは戦争の意味と自国の歴史を振り返る。カモンイスの叙事詩「ウズ・ルジアダス」、アントニオ・ヴェイラ神父、フェルナンド・ペソア、ジョゼ・レジオなどの文学作品に想を得て、ローマ時代から20世紀まで、ポルトガル民族の2000年にわたる歴史の中の四つの敗北の物語を描く、オリヴェイラによる壮大な歴史・戦争映画。

『神曲』 A Divina Comedia 1991年/141分/カラー/35ミリ
監督・脚本:マノエル・ド・オリヴェイラ 撮影:イワン・コゼルカ
出演:マリア・ド・メデイロス、ミゲル・ギリェルメ、ルイス・ミゲル・シントラ

「精神を病める人々」の表札が掲げられた邸宅で、アダムとイブ、キリスト、ラスコリーニコフ、ニーチェのアンチ・キリストら、歴史的文学作品の登場人物たちが、信仰と理性と愛についての議論を戦わせる。西洋古典の深奥に分け入りながらも「まったく未知なものとして、絶対的な驚き」とともに再び映像として蘇らせるオリヴェイラ芸術の真骨頂。

『アブラハム渓谷』 Vale Abraao 1993年/188分/カラー/35ミリ
監督・脚本:マノエル・ド・オリヴェイラ 原作:アグスティナ・ベッサ=ルイス 撮影:マリオ・バローゾ
出演:レオノール・シルヴェイラ、セシル・サンス・ド・アルバ、ルイス・ミゲル・シントラ

『アブラハム渓谷』 フロベール「ボヴァリー夫人」をもとにポルトガル文学の巨匠アグスティナ・ベッサ=ルイスが原作を執筆。彫琢された言葉の響きとオリヴェイラの完璧な映像が火花を散らす“文芸映画”の最高峰。監督が追求し続ける女性美が、主人公エマを演じるレオノール・シルヴェイラと洗濯女を演じるイザベル・ルトの両極に具現する。
フィルム提供:東京国立近代美術館フィルムセンター

『階段通りの人々』 A Caixa 1994年/96分/カラー/35ミリ
監督・脚本:マノエル・ド・オリヴェイラ 撮影:マリオ・バローゾ
出演:ルイス・ミゲル・シントラ、ベアトリス・バタルダ、フィリペ・コショフェル

リスボンの街路を舞台にした群像劇。「すべての私の映画同様、『階段通りの人々』は人生から沸きだした特別な何かだ。それは貧しくて周縁にいる、ほとんど忘れられた人々の目を通した真の人間性のポートレイトだ。これは、1920年代の映画、初期映画への回帰を示す映画なのだ」。フィルム提供:東京国立近代美術館フィルムセンター

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2016年1月23日(土)~2月5日(金)まで、ユーロスペースにて開催

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2016/01/18/20:33 | トラックバック (0)
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