インタビュー
遠藤ミチロウ監督/『お母さん、いい加減あなたの顔は忘れてしまいました』

遠藤 ミチロウ (監督・ミュージシャン)
映画『お母さん、いい加減あなたの顔は忘れてしまいました』について【7/9】

2016年1月23日(土)より、新宿K's cinemaにて公開、
以降、全国劇場および上映機会にて順次公開

公式サイト 公式twitter 公式Facebook (取材:深谷直子)

『お母さん、いい加減あなたの顔は忘れてしまいました』場面12――フェスティバルFUKUSHIMA!はフリーイベントで、これをやるのは並大抵のことではなかったと思うんですけど、ミチロウさんや大友良英さんが力を注いで大変素晴らしいイベントになりました。その後も盆踊りなど、進化しながら活動は続いているわけですが。

遠藤 プロジェクトFUKUSHIMA!の代表を今年降りたんです。そのいちばんの理由は病気になってしまったからということなんですけど。それと地元の若い人が中心になってやっていかなければと思い、代表を降りました。2013年に僕が「盆踊りをやろう」とプロジェクトFUKUSHIMA!で提案したのは、その前の年に二本松にある浪江(双葉郡の高線量地域)の仮設住宅で盆踊りをやったときに、盆踊りが持っている役目というか、どれだけそこに住む人にとって盆踊りが大切だったかというのを知ったからなんです。プロジェクトFUKUSHIMA!が福島でやった盆踊りは、お年寄りも若い人も子供も参加できる新しい形の盆踊りになって、2千人ぐらい集まって大成功しました。でも、1年病気で休んで、代表を降りた今年はプロジェクトFUKUSHIMA!の盆踊りには参加せずに、僕は木村先生と一緒に志田名(しだみょう:いわき市の高線量地域)という山奥の小さな村で、お金のかからない地元人たちでもできる盆踊りをやったんです。

――そうだったんですね。プロジェクトFUKUSHIMA!とは別れてまた別の活動を。

遠藤 そうですね、「プロジェクトFUKUSHIMA!は自分の身体のこともあって離脱しますけど、俺は“プロジェクトミチロウ”で行きます」という感じですよね(笑)。盆踊りも規模が大きくなると、ひとつの大掛かりな、お金のかかるお祭りになってしまうんだけど、どんどん切り捨てられていく地域のほうに広がるというのが盆踊りの本来の姿じゃないかって僕は思うんです。都会には盆踊りなんか要らないぐらい、いろんなお祭りのようなことが毎日毎日あるけど、田舎では盆踊りが唯一のお祭りで、僻地になるとそれすらなくなっている。今年志田名でやった盆踊りは30年ぶりだったんですよ。そこに住んでいる人たちが少しでもがんばっていこう、自分たちでもできる、という気持ちになれる、楽しい祭りになればいいなあと思うんですよね。

――ミチロウさんの活動は、映画の撮影時よりもますます福島に寄り添うものになっていますよね。今年は『FUKUSHIMA』というアルバムも出しました。先ほど、病気になったからプロジェクトFUKUSHIMA!の代表を降りたというお話がありましたが、病気のために、より自分を見つめ直すようになったというのもあるのでしょうか?

『お母さん、いい加減あなたの顔は忘れてしまいました』場面13遠藤 病気の影響はでかいんですよ。この膠原病という病気は、自分にとって「ひとり震災」みたいなところがあって。治らないし、見えない敵だし、原発事故みたいだなと。

――作家の笙野頼子さんも膠原病に罹られていて、闘病記(『未闘病記――膠原病、「混合性結合組織病」の』)を出していたので読んだのですが、人によって症状がいろいろあるようで、実体がつかめない不安も大きいのだろうと思います。

遠藤 でも、さっき「ひとり震災」って言ったのは、病気になって、逆に被災した人たちの気持ちがちょっと分かるようになったというか。内容は違うんですけど、立場として「ああ、そういうことなのか」ということがあるんですよね。人に病気のことを伝えようとしてもなかなか分かってもらえなくて、例えば、薬の副作用で顔がムーン・フェイスのようになったことがあったんですけど、友達に「あ、太ったね。元気なんだ」なんて言われたり。「薬の副作用でむくんでいるんだ」と言っても分かってもらえなくて、元気になったんだと思ってそこで話を終わらせてしまう。原発事故で被災した人たちもそういうことを感じているんだろうなあと。見た目で「元気になってよかったな」って思っても、本当は当事者の身にならないと分からないような複雑な想いが絶対にあるわけだから。そういうことは、病気になったからこそ分かったことだなあと思います。

――頭が下がります。病気になってしまったけれど、被災地の人たちの気持ちにより近づくことができたと。

遠藤 いえいえ。考えてみたら今度の新しいバンドも、病気にならなかったらやっていないわけだし。マイナスをプラスに転化するというのは、こういうことなんですよね。「FUKUSHIMA」っていう言葉をネガティヴなイメージからポジティヴに変えていこうとして、プロジェクトFUKUSHIMA!を立ち上げたんですけれど、それは例えば、「病気になってしまったネガティヴなミチロウ」ではなく、病気になったからこそできる新しい音楽が自分の中でプラスになっていると、そう捉えることなんですよね。

――はい。この映画で、常に前に進んでいくミチロウさんの生きざまを多くの方に伝えたいですね。とても力が湧く映画でした。

遠藤 音楽ファンにとっては面白いと思ってもらえるかもしれないけど、一般の人が観てどうなのかな?っていうのがあります。

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お母さん、いい加減あなたの顔は忘れてしまいました
監督:遠藤ミチロウ
プロデューサー:志摩敏樹 撮影:高木風太 録音・整音:松野泉 制作進行:酒井力
編集:志摩敏樹、松野泉 撮影協力:柴田剛 宣伝美術:境隆太 配給担当:田中誠一
出演:遠藤ミチロウ、THE STALIN Z(中田圭吾、澄田健、岡本雅彦)、THE STALIN 246(クハラカズユキ、山本久土、KenKen)、NOTALIN’S(石塚俊明、坂本弘道)、三角みづ紀、竹原ピストル、盛島貴男、AZUMI、山下利広(BIG MOON Cafe)、麓憲吾(ASIVI)、伊東哲男(APIA40)、中川澄夫(TE-TSU)、中川ミサ子(TE-TSU)、佐伯雅啓(OTIS!)、大友良英、和合亮一、二階堂和美、オーケストラFUKUSHIMA!、遠藤チエ
2015年/日本/カラー/DCP/5.1ch/102分
製作・配給:シマフィルム株式会社 ©2015 SHIMAFILMS
公式サイト 公式twitter 公式Facebook

2016年1月23日(土)より、新宿K's cinemaにて公開、
以降、全国劇場および上映機会にて順次公開

2016/01/21/19:17 | BBS | トラックバック (0)
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