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映画『シェル・コレクター』
坪田義史監督、エリック・ニアリ(プロデューサー)、
アミール・ナデリ監督(『CUT』)トークイベントレポート

『シェル・コレクター』坪田義史監督、エリック・ニアリ(プロデューサー)、アミール・ナデリ監督(『CUT』)トークイベントレポート

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3月6日(日)テアトル新宿で10:40の『シェル・コレクター』上映後に坪田義史監督、プロデューサーのエリック・ニアリ氏、スペシャル・サンクスでクレジットのあるアミール・ナデリ氏が登壇してトークをおこなった。ナデリ氏の映画に対する並々ならぬ情熱に敬意を持っているので行ってきた。(取材:わたなべりんたろう)

坪田義史監督坪田義史監督坪田監督 このトークがあるのでナデリさんの『Runner(駆ける少年)』を見ました。光の取り入れ方が僕の作品と共通していると想いました。

ナデリ そうです。私も光は意識的に画面に取り入れています。なぜ私がこのトークに参加しているかというと、エリックさんは私の前作『CUT』や新作『Monte(原題:英語でMountain、イタリアでロケをしてイタリア人キャストによる野心作)』のプロデューサーなんです。彼は鋭くもあり優しい意見をいつもアドバイスかつシェアしてくれます。そういった関係性もあって、彼は僕に坪田監督の8ミリ作品『でかいメガネ』などとプロデュース作の『シェル・コレクター』をラフな編集段階で見せてくれたんです。

エリック 坪田監督の8ミリ作品『でかいメガネ』をナデリ監督に見せたらとても気に入ってくださって『『シェル・コレクター』で私にできることがあれば是非!」とおっしゃってくださったのです。そして昨年夏の編集段階で映画を見せて貴重なアドバイスをたくさんいただきました。

坪田監督 ニューヨークで編集していたのですが、ある日を境にエリックさんの意見がとても論理的になったんです。「これは裏に誰かいる!」と思ったら、それがナデリ監督でした(笑)。

ナデリ わはは(笑)。日本映画を20年教えてきていて、常に新しい才能を探していますが、坪田監督は久しぶりに現れた新星だと思っています。監督はみな他の作品から影響を受けていることが多いと思いますが、坪田監督の作品は自分自身の経験や内から湧き上がってきたものが描かれていると思います。それはとても大切なことなんです。海や水、その関係性、そこにいる魚や貝類の描き方が、自分でもこう撮るだろうと思うものに近く、関わりたいと思うようになりました。日本の若い監督は自分の言いたいことを言葉や台詞で伝えようとすることが多いと感じますが、彼は違って水や水中、空気感、雰囲気など、ロケーションで語ろうとしているのが素晴らしいですね。なぜこの原作を選び、日本の沖縄を舞台に置き換えてどう映画化しようと思ったのですか?。

坪田監督 2012年に渡米する機会があったんですが、異国の地で日本人としてアイデンティティを打ち出せる作品を作りたいと思うようになりました。3.11の震災後だったので、自然と人が対峙する映画を撮りたいと思ったときにアンソニー・ドーアの『シェル・コレクター』が頭に浮かびました。日本人としてのアイデンティティを提示するのに、西洋の文芸作品を日本の情景に脚色してみたかったんです。

ナデリ 私は原作を知らなかったので、日本の話だと思っていましたよ。リリーさんのボディランゲージが日本的だし、海との繋がり方、キャラクターの立ち振る舞いも非常に日本的に感じましたね。水彩画を思わせる色使いも日本的で印象的でしたね。

坪田監督 私は色には過敏な方で、16ミリのフィルムが捉える鮮やかな色にはこだわりました。海の青さだけでなく、植物の緑であったり、(橋本愛演じる)嶌子の着ているドレスの赤など、色はポイントになるように設計しています。

アミール・ナデリ監督アミール・ナデリ監督ナデリ 日本でいま一番おもしろい役者たちが出演していますね。演出はどうしたのですか? 俳優に演出をしすぎていないと思いましたが。

坪田監督 リリーさんはアーティストであり、役者であり、小説家でもあり、『おでんくん』も描く絵本作家でもあるように、とてもボーダーレスに活躍されている方です。今回ファンタジーと現実の境界線上を演じてほしくて、「現実と寓話の狭間」についてリリーさんとよく話し合いました。リアルではなくファンタジーを跨ぐ芝居をしてほしいと。

ナデリ まさにボディランゲージを通じてそれが綴られていますね。台詞は少ないけれど掃除をしているだけでも、その立ち振る舞いや歩き方からも、彼がどんなことを考えているのかが伝わってきます。情報を役者に与えすぎなかったのではないですか? 伝えすぎることがなかったから、演じる側のイマジネーションが触発されて良い演技を引き出したのではないかと思います。

坪田監督 矢崎仁司監督とも話しましたが、池松壮亮さんは日本映画を助けてくれる、映画を豊かなものにしてくれる人だと思います。作品との関わり方が誠実です。池松さんの存在で、商業とアートをつなぐことができるのだなと思っています。ナイスガイですね。

ナデリ 池松さんは『CUT』を見に来てくれて、その後話をしました。「監督と仕事をしたい」と言ってくださいました。その時は彼が俳優をしているとは知らなかったんですが。『シェル・コレクター』を観たとき、「彼を知ってる!」と驚きましたね。『CUT』を見たあとに映画について熱く語るその姿から、彼がいかに映画が好きなのかが伝わってきました。

ナデリ 坪田監督は新しい、素晴らしい、これからの日本映画界を担っていく監督になると思います。間違いなく将来日本を代表する監督になると確信していますよ。沖縄の風景の使い方も良いし、人物も風景になじんでおり、その瞬間をレンズでどう切り取るかというのもよく分かっていて素晴らしい。新藤兼人の『裸の島』や是枝裕和の『幻の光』を思い出しました。

坪田監督 実は『裸の島』をDVDで再生させながら武満徹先生の音楽をずっと聴きながら脚本を書いていたんです。

トークの終わり時間が来てもゲストのナデリ氏が『one more question』と監督に言っていたように、ナデリ氏の情熱が変わらないことが分かるトークでもありました。映画『シェル・コレクター』はテアトル新宿ほか全国公開中。

(2016年3月6日12:10~12:40 テアトル新宿にて 取材:わたなべりんたろう)

シェル・コレクター
監督・編集:坪田義史(『美代子阿佐ヶ谷気分』 脚本:澤井香織、坪田義史
原作:アンソニー・ドーア『シェル・コレクター』(新潮クレスト・ブックス刊)
出演:リリー・フランキー,池松壮亮,橋本 愛,普久原明,新垣正弘 / 寺島しのぶ
配給:ビターズ・エンド © 2016 Shell Collector LLC(USA)、『シェル・コレクター』製作委員会

STORY 貝の美しさと謎に魅了され、その世界で名を成した盲目の学者は妻子と離れ、沖縄の孤島で厭世的生活を送っていた。しかし、島に流れ着いた女・いづみの奇病を偶然にも貝の毒で治したために、それを知った人々が貝による奇跡的な治療を求めて次々と島に押し寄せるようになる。その中には息子・光や、同じく奇病を患う娘・嶌子を助けようとする地元の有力者・弓場の姿もあった。

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2016/03/10/00:06 | BBS | トラックバック (0)
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