内藤瑛亮監督/『ドロメ【男子篇】』『ドロメ【女子篇】』

内藤 瑛亮 (監督)
映画『ドロメ【男子篇】』『ドロメ【女子篇】』について【6/6】

2016年3月26日(土)よりシネマート新宿にて2作品同時公開、以降全国順次

公式サイト 公式twitter (取材:深谷直子)

『ドロメ【男子篇】』『ドロメ【女子篇】』場面12 『ドロメ【男子篇】』『ドロメ【女子篇】』場面13 『ドロメ【男子篇】』『ドロメ【女子篇】』場面14 ――監督の作品は、男子の集団、女子の集団を描くものが多かったですよね。今回の企画でも男子目線と女子目線の物語を撮りましたが、こういうホモソーシャルのようなものも監督のテーマですか?

内藤 僕は同性同士がイチャイチャしているのが好きなんです(笑)。中高生のころ友だちがいなくて一人だったというのもあって、男女のイチャイチャがよく分からないんです。でも同性でワーキャーするというのは面白いなと思って。ジョニー・トーの映画だって、ギャングの男たちがイチャイチャして、そこがいいなあと思うので(笑)。去年「リアル鬼ごっこライジング/佐藤さんの逃走!」(15)っていうスピンオフのドラマを作ったんですけど、そのときは女子たちのイチャイチャを撮ったんです。恋愛ではくくれない部分の面白さがあるんですよね。

――あと、この映画で幽霊になるのは女性ばかりですよね。泥打観音や、それがモンスター化したドロメも女性ということになるのだと思いますが、そこに監督の女性観のようなものが現れているのかなあと。

内藤 そう言うとなんか女性を悪党にしたいように思われそうですけど(苦笑)、ホラー全般に女性幽霊が多いですよね。幽霊として登場する存在には悲劇的な背景があるから、社会が女性に不自由さを強いているってことを示していると思うんです。四方田犬彦さんが書かれた本(『怪奇映画天国アジア』)でインドネシアのホラー映画を論じたものがあって、それも幽霊が女性ばかりなのはなぜか?というのを研究しているんですが、男性社会の中で不幸を背負わされるのは女性であることが多いから幽霊は女性なんだと。女性幽霊が登場しても、本当の悪党は男である、って世界認識のがしっくりくるんですよね。男性社会に対する嫌悪感って僕もあるんですね。男性教師が女子生徒の頭をポンポン叩くとか、ああいうおっさんに対する嫌悪感がいっぱい詰まった映画です(笑)。

――ああ、むしろおっさんが嫌いなんですか。

内藤 下心アリアリで女子に接しているのに、「若いコに目をかけてあげているオレ、カッコイイ」っていう自意識天井知らずなおっさんが嫌だなと思って。自分に酔っているだけで女子は結構ウザがっている、でも気付いてない、みたいな。ああはなりたくないな、という自戒の念もあります。

――なるほど。内藤監督のような方が先生をやっているというのはいいですね。子供の気持ちがとてもよく分かるんだろうなという気がします。それは映画学校のようなところではないんですよね?

内藤 特別支援学校(旧・養護学校)ですね。教えつつ勉強になることが非常に多いです。障害の特性によって、受け入れやすい言葉と受け入れにくい言葉があって、障害の特性はひとりひとり違うので、それを見極めて「この子にはこういう言い方をしよう」って決めていくんですね。それって健常者でも俳優でも一緒で、人が違ったら言い方も変わっていくというか。森川さんと小関さんとで求めている言葉は違うと思うので、それを慎重に選択するというのは、演劇部で教えていて学んだことかなあと思います。

――監督が映画づくりでいちばん大切にしているのも、俳優さんへの演出なんでしょうか?

内藤 観客がいちばん観ているのは俳優さんだと思うんですね。ロケ地がよかったり美術がよかったりCGがすごくても、やっぱり役者の芝居がよくないとノっていけないと思うんです。で、変な話そのへんがチープであっても役者がよければ面白いっていう印象になると思うんですよね。だから何よりも映っている俳優の芝居が大事だなと思います。その人が持っている資質をできるだけ大事にして役柄に反映させていきたいなというのが自分の演出プランとしてあります。若手俳優でも年配の俳優さんでも同じように一人の表現者として向き合い、押し付けるんじゃなくて「どうしたいですか?」と、持っているアイディアを引き出すようなつもりでやっています。

――素敵ですね。俳優さんたちは本当に伸び伸びと演技されたのだと思いますが、みなさんどんなことをおっしゃっていましたか?

内藤 花火のシーンが終わったときに、みんな「わー楽しかったー!」みたいなことを言っていて、純粋に花火を楽しんでいたなあ、みたいな(笑)。ドロメをボッコボコにするシーンもみんな笑いながらやってて、お芝居というよりは文化祭のイベントを楽しんでますって感じでした(笑)。

――(笑)。お客さんにもぜひこの楽しさを味わってほしいですね。男の子と女の子両方に。

内藤 そうですね、女子篇→男子篇の順番で。笑顔があふれるホラーなので、笑顔が足りてないなと思う人は観てください。ホラーが苦手だという人にも大丈夫な間口の広いものになっていますので!

( 2016年3月16日 代々木・レスパスフィルムで 取材:深谷直子 )

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ドロメ【男子篇】ドロメ【女子篇】 (2016年/カラー/5.1ch/ビスタ/【男子篇】92分/【女子篇】98分)
監督:内藤瑛亮『先生を流産させる会』『パズル』 脚本:内藤瑛亮、松久育紀『先生を流産させる会』
主演:小関裕太,森川葵
出演:中山龍也,三浦透子,大和田健介,遊馬萌弥,岡山天音,比嘉梨乃,菊池明明,長宗我部陽子,木下美咲,東根作寿英
製作:「ドロメ」製作委員会(日本出版販売,TCエンタテインメント,TBSサービス,是空,レスパスビジョン)
配給:日本出版販売 宣伝:太秦 ©2016「ドロメ」製作委員会
公式サイト 公式twitter

2016年3月26日(土)よりシネマート新宿ほか全国順次、
2作品同時“シンクロ”ロードショー!
3月26日(土)より福岡中洲大洋、
4月2日(土)より大阪・シネマート心斎橋、名古屋シネマスコーレ、以下上映決定!
横浜シネマ・ジャック&ベティ、広島・横川シネマ、京都みなみ会館、
桜井薬局セントラルホール以降全国順次公開予定!

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  • 監督:中村義洋
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2016/03/27/13:36 | トラックバック (0)
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