岩井俊二監督/『リップヴァンウィンクルの花嫁』

岩井 俊二 (監督)
映画『リップヴァンウィンクルの花嫁』について【5/8】

2016年3月26日(土)より全国公開中

公式サイト 公式twitter 公式Facebook (取材:わたなべりんたろう)

リリイ・シュシュのすべて [Blu-ray]――『リリイ・シュシュのすべて』が好きな人もいますよね。黒木華さんもそうです。

岩井 リリイ・シュシュのすべて』もカロリーが高くて自分には未解決物件の1個みたいな感じなんだけど。あれも自分の中ではいろいろと悔しい思いをしている作品ではあって。

――観る側はあまりそのことは考えていなくてその作品を愛している。作り手はそう思うから次を作るのは分かります。作り手の因果というか業というか。また、岩井さんの作品は日常の細やかな描写も観る側を惹きつけるのだと思います。今作では義理のお母さんに怒られて説教されている七海がしゃっくりがとまらなくなったりという。そういうのってあるよね、ありそうだねという。緊張するとしゃっくりがとまらなくなるエピソードがあったとか?

岩井 あそこは普通に泥酔するとしゃっくりが出ることがあるし、あんな状況に置かれてしゃっくりが出たら相手には失礼だし神経を逆なでするだろうと考えたことだったんじゃなかったかと。

――今、「考えたことだったんじゃなかったかと」とある意味で第三者的な過去形でしたが、それはその時にはそう思っていたけど今は違うというか?

岩井 この作品が作られる経緯から完成までに至る全てのプロセスが複雑にあるわけだけど、ここまで複雑な映画になるとは思っていなかったし1本に貫かれていることもなくて「何でこの映画を作ったのか?」とか追求されると最終的にはよく分からない。本当に正直に自分でもよく分からないという。ある傾向とか揺らぎの中から日々思うことから出てきたというか。「あなたなぜここにいるんですか?」というのと一緒で毎日一生懸命考えて多分生きてきて、その結果今ここにいるという。それとよく似ている感じで創作していくので自分の中でその時はこうだったかなと思う。それを「今もそうですか?」と言われると、その時はそうだったけど今はそのことを考えていないのでよく分からないという(笑)。

『リップヴァンウィンクルの花嫁』場面2――その正直さが岩井さんがパンクだなと思う由縁です。また、AVやAV女優の扱い方にしてもドラマや映画では曖昧にファンタジーのように扱うことが多いのに裸になるリスクや過酷さをきっちり描いていると強く感じました。

岩井 それは自分でAV業界の人たちをインタビューもして何が正解で何が正解でないかは分からないけどそこまで描くべきだと思った。

――AV女優の希崎ジェシカさんが演じるAV女優役の子が「わたしからAVを取ったら本当に何もない」と言うのは実際に聞いた言葉ですか。

岩井 ぼくが描いた台詞ですけど本人たちへの取材で出てきた言葉を元にしていて、できるだけ本人たちが口にした言葉を台詞にしています。

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リップヴァンウィンクルの花嫁
監督・脚本:岩井俊二
エグゼクティブプロデューサー:杉田成道 プロデューサー:宮川朋之,水野昌,紀伊宗之
原作:岩井俊二『リップヴァンウィンクルの花嫁』(文藝春秋刊)
撮影:神戸千木 美術:部谷京子 スタイリスト:申谷弘美 メイク:外丸愛 音楽監督:桑原まこ
出演:黒木華,綾野剛,Cocco,原日出子,地曵豪,和田聰宏,金田明夫,毬谷友子,佐生有語,夏目ナナ,りりィ
制作プロダクション:ロックウェルアイズ 配給:東映 © RVWフィルムパートナーズ
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2016年3月26日(土)より全国公開中

2016/03/31/19:15 | トラックバック (0)
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