インタビュー
岩井俊二監督/『リップヴァンウィンクルの花嫁』

岩井 俊二 (監督)
映画『リップヴァンウィンクルの花嫁』について【6/8】

2016年3月26日(土)より全国公開中

公式サイト 公式twitter 公式Facebook (取材:わたなべりんたろう)

『リップヴァンウィンクルの花嫁』場面2――岩井さんがAV業界を調べる興味を持つきっかけはあったんですか。

岩井 大学時代に自分の自主映画に出てもらっている大学の後輩の女の子がAVに出たことが分かったことがあるんです。在学中にAVデビューして連絡つかなくなって何度も連絡していた時期があったんです。結果、本人と電話がつながったんですけど、家に電話した時にお母さんと話したんです。その時にお母さんからもいろいろと聞かされて、ある女の子がAVデビューした時に本人とそのお母さんの両方からたまたま話を聞いてどこか頭にずっと残っていたんです。
以前に友人の監督から「AV女優をテーマにした映画を作りたい。脚本を手伝ってくれないか」との相談を受けて、彼が話していたAV女優観があったんです。簡単に言うと一見は悲壮感がありそうだけどそうじゃなくてもっとみんな明るくて人間としてきちんとしているということだったんです。大学時代の後輩のAV女優の件があったので理解しやすくて、AV女優の人たちと会ってみたんです。そうすると実際きちんとしていたんです。でも大学時代の後輩のAV女優の親の葛藤も真実だし。取材したAV女優の人たちに家族のことを聞くとみんな修羅場があって。友人はその企画から離れたけど、自分の中ではその後も追及していた。これが自分の天職だと思ったという人がいて。今作で、りん役の森下くるみさんが「里中真白は自分にしか出来ないからって。だから辞めるわけにいかないって」 の台詞が出てくるのは本当にそういう意味で自分のことを言った方がいたので使ったし、そこまで自分のアイデンティティがあるっていうのは凄いというか「岩井俊二は自分にしかできない」なんて考えたこともないし、やりきれてるとも思わないしという。そこまで言いきれているのはよほど人生が充実しているだろうしと。幸せが得るものだとして良いことだけを得るのが幸せだとしたら彼女たちは幸せだとは言いがたいとは思うんだけど、ただ自己実現が幸せだとすれば、その言葉が出るんだから幸せだろうと。「そうは言っても大変なこともあるんですよ」というのも含めて幸せだと。人生なんだから大変なこともあって当たり前で、そういう位置に人生で幸せでいるんだという驚きでした。

――岩井さんが興味あるいろいろなことが合わさったのが今作であると。以前に岩井さんと話していたら『監督失格』のトーク後の居酒屋で、「家族に見えるけどどこかおかしくて家族ではないんじゃないかという集団がいてそれがレンタル家族だったんだと分かった」と言っていたことがあって、こちらが東中野に結婚式場の平安閣があるのでその帰りのレンタル家族ではないかと伝えたことがあって。

岩井 そうそう、あの日に今作の2つの大きなファクターに遭遇していたという。林由美香さんとレンタル家族が結びついて、そういう1日があるんだなあと。

――この件を話した時も思いましたが不思議な日ですよね。ところで岩井さんの映画の出演者は生き生きとしていますが俳優に対してはあまり取り決めせずに自由にやらせているんですか。

岩井 自分の演出のメソッドでも俳優さんに「こう演じてください」というのは無いんです。脚本を書いた本人のくせに決めていなくて一緒に想像して俳優と作っていくんです。原作に書いてあっても演じるのは黒木さんや綾野くんなので。肉体を持って演じるわけだから、それだけで違う人生があらわれてくる。2人の間で想像して「こうかな」「ああかな」と言っていて、監督は「そうかな」「ああ、なるほど」とか言っているので俳優から見たら「なんだ、この監督」となっているかもしれない(笑)。最終的には映像だから「どう見えるか」が重要なのであって、現場であまり入れ込んで指示していると「これありかな」と思った時に設定と違うからと勝手にNGが自分から出ちゃうんです。「今こう見えている。それは違うだろう」のセンサーが分からなくなってくるので自分が揺れていたほうがいい。物語作っている時も同じで曖昧性があって揺れているほうがいい。そうだ、監督とかクリエイターの人によく断定調でものを言う人っているじゃないですか。

――はい、いますね。

岩井 「これはこうなんです」とか「映画ってこうなんです」とか。よくこれで映画作れるなと思う。何でも断定で言う人って分からないんです。何故そこまではっきり断定で決めつけて言えるのかという。何事もはっきり分からない、揺らいでいるものだと思うんです。

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リップヴァンウィンクルの花嫁
監督・脚本:岩井俊二
エグゼクティブプロデューサー:杉田成道 プロデューサー:宮川朋之,水野昌,紀伊宗之
原作:岩井俊二『リップヴァンウィンクルの花嫁』(文藝春秋刊)
撮影:神戸千木 美術:部谷京子 スタイリスト:申谷弘美 メイク:外丸愛 音楽監督:桑原まこ
出演:黒木華,綾野剛,Cocco,原日出子,地曵豪,和田聰宏,金田明夫,毬谷友子,佐生有語,夏目ナナ,りりィ
制作プロダクション:ロックウェルアイズ 配給:東映 © RVWフィルムパートナーズ
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2016年3月26日(土)より全国公開中

2016/03/31/19:16 | BBS | トラックバック (0)
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