インタビュー
真利子 哲也監督/『ディストラクション・ベイビーズ』

真利子 哲也 (監督)
映画『ディストラクション・ベイビーズ』について【1/5】

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2016年5月21日(土)よりテアトル新宿ほか全国公開

学生映画ながらロードショー公開された『イエローキッド』、ももいろクローバーが出演する異色の中編『NINIFUNI』等で注目を集めてきた真利子哲也監督。その待望の商業映画デビュー作『ディストラクション・ベイビーズ』は、パワフルで純粋な“暴力映画”だ。柳楽優弥演じる喧嘩に明け暮れる主人公が、ある出会いにより凶暴性を加速させていく。彼らの思惑の説明は抜きに、野放図に繰り出される暴力が活写され、観客もいやおうなしにその熱の中に引きずり込まれて心をざわめかせる。人はなぜ暴力を欲してしまうのか? 自らが抱いた疑問に向き合うため、柳楽をはじめ、菅田将暉、小松菜奈、村上虹郎というイキのいい俳優陣とともに純度高く暴力を描き出し、観る者に強烈な体験をもたらす問題作を作り上げた真利子監督にお話を伺った。 (取材:深谷直子)
真利子 哲也 1981年、東京都生まれ。法政大学在学中に8mmフィルムで自主制作した短篇『極東のマンション』(03)、『マリコ三十騎』(03)が、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭で2年連続のグランプリ受賞、世界で最も歴史あるオーバーハウゼン国際短編映画祭で映画祭賞を受賞など、国内外で注目を浴びる。東京芸術大学大学院の修了作品『イエローキッド』(10)は、バンクーバー国際映画祭をはじめ各国の映画祭で高い評価を受け、学生映画として異例の劇場公開。毎日映画コンクールで新人賞、高崎映画祭、日本映画プロフェッショナル大賞にて監督賞など受賞多数。続く『NINIFUNI』(11)は、42分の中編ながらロカルノ国際映画祭で特別作品として選出され各地から反響を呼び、劇場公開となる。またオムニバス映画の1編『FUN FAIR』(13)ではマレーシアにて撮影を敢行。沖縄国際映画祭にて発表後、国内で劇場公開され、話題を集める。その後ドラマやMVなど活動を広げながら、意欲的に作品を発表。本作『ディストラクション・ベイビーズ』は、満を持してのメジャーデビュー作となる。
Story 愛媛県松山市西部の小さな港町・三津浜。海沿いの造船所にふたりきりで暮らす芦原泰良と弟の将太。喧嘩に明け暮れていた泰良は、ある日を境に三津浜から姿を消す―。松山の路地裏、強そうな相手を見つけては喧嘩を仕掛け、打ちのめされても食い下がる泰良。彼に興味をもった北原裕也が、「おもしろいことしようや」と声をかける。通行人をターゲットに無差別に暴行を加え、車を強奪したふたりは、乗り合わせていた少女・那奈と松山市外へ向かう。その頃、将太は、自分をおいて消えた兄を探しに市内へとやってきていた――。
真利子 哲也監督――本作が真利子監督の商業デビュー作となりますが、松山を舞台としたオリジナル脚本の力強い作品になりました。物語はどのようにできていったのですか?

真利子 僕は東京出身で、愛媛にはまったく行ったことがなかったんですが、今から4年前に、『NINIFUNI』(11)を観てくれたプロデューサーから松山に住む16歳のミュージシャンのミュージックビデオの依頼を受けて、彼の話を聞くために松山に足を運びました。その取材のあとバーで出会った人が、この映画の主人公のように10代のころ路上で喧嘩しながら生きてきたという人で、その話が面白くて。拳を触らせてもらったら本当にアスリートみたいでした。その人にもっと話を聞きたいなと思って、ミュージックビデオを撮り終えるとまたすぐに話を聞きに行きました。ふと「でも暴力だよな」と頭をよぎって、それでも興味を持つ自分がいる。「これで何か映画を作れないかな?」とぼんやり考えながら、途中で東京に戻ったりもしつつ、松山で脚本を書いていきました。

――喧嘩しながら生きてきた人に惹かれたのはなぜなのでしょうか?

真利子 彼は年齢的には僕と同世代だったんです。その人に出会うまでは、そういうのは僕より上の世代の話かなと思っていたんですよね。70年代・80年代の映画を観るとそういう人がいるので。でも同い年ぐらいでそういう人がいて、年齢的に近いという親近感と、やっていることのあり得なさみたいなところで興味が湧きました。

――両親がなく兄弟だけで暮らしているという主人公の家庭環境など、物語はどのように膨らませていったのですか?

真利子 松山で出会った人たちの存在が大きいです。映画の中で兄弟が住んでいたのは三津浜という港町の造船所ですが、それは三津浜でアート活動をしている方と知り合いになって教えてもらったところで、「ここに兄弟が住んでいたら面白いな」と脚本に入れていきました。松山にいる間に人と知り合い、動いてはどんどん脚本ができていきました。

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ディストラクション・ベイビーズ 2016年/日本/108分/5.1ch/ビスタ/カラー/デジタル/R15指定
監督・脚本:真利子哲也 脚本:喜安浩平 音楽:向井秀徳
出演:柳楽優弥 菅田将暉 小松菜奈 村上虹郎 池松壮亮 北村匠海 三浦誠己 でんでん
製作幹事:DLE 制作・配給・宣伝:東京テアトル 制作協力:キリシマ1945
© 2016「ディストラクション・ベイビーズ」製作委員会
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2016年5月21日(土)よりテアトル新宿ほか全国公開

2016/05/14/17:31 | トラックバック (0)
深谷直子 ,インタビュー
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