御法川 修監督/『泣き虫ピエロの結婚式』

御法川 修 (監督)
映画『泣き虫ピエロの結婚式』について【2/6】

2016年9月24日(土)シネマート新宿他全国順次ロードショー

公式サイト 公式twitter 公式Facebook (取材:深谷直子)

『泣き虫ピエロの結婚式』 『泣き虫ピエロの結婚式』場面1 『泣き虫ピエロの結婚式』メイキング風景メイキング風景
――監督はこの作品を『スタンド・バイ・ミー』(86)のように撮りたかったとおっしゃっていますよね。

御法川 1時間半の語り口について考えていたんです。『スタンド・バイ・ミー』のランニングタイムが89分なんです。この作品を準備している時にスタッフと参考試写した作品は増村保造の『青空娘』(57)でした。これも88分の作品なんですね。撮影所システムが機能していた往年のプログラムピクチャーは、制約された上映時間の中に熟達の技術が詰まっていますよね。ひとつの物語を語るために必要な「時間」を決めることは重要なポイントです。僕はここ数年テレビドラマを手がける中で、時間の密度について強く意識するようになっていて。テレビでは完成尺が厳密に決められています。30分のドラマを撮影してみたら40分になりました、あるいは25分にしかなりませんでしたっていうのは、脚本の段階で大きな計算違いがあった証拠なんですね。1時間45分の映画を編集して1時間30分にすることと、初めから1時間30分の映画として構築することは、話の作り方から何から決定的に違うと思うんです。映画の上映時間って、2時間より1時間半の方が1日に1回多く上映できるとか、かつては興行側の要請も強かったと聞きますが、自分が手がける題材を何分の作品として設計するかは、作り手自身が意識的になる必要があると思い至って。でもそれは、他人に決めてもらうよりもずっと難しいことなんです。『泣き虫ピエロの結婚式』の完成尺は88分。脚本から削除したシーンはひとつもありません。

――本当に小粒ながら凝縮した味わいのある映画になりました。原作では主人公二人の恋愛期間は数年にわたるものですが、そこを映画では年齢も少し下にして、若い二人の一瞬で燃え上がるような恋愛として描いていますね。

御法川 原作は、愛する人との出会いから終の別れまでの約10年が綴られています。映画は初夏から秋までに集約させています。小説にたとえるなら、長編小説ではなくて短編小説の味わいをイメージしていました。可愛らしい「小さな」映画にしたいと思ったんです。大河ドラマのように歳月が折り重なる時間の奥ゆきではなくて、若き恋人たちが真っすぐ突き進むヴィヴィッドな感情の変遷だけを描くのだ、と心に決めていましたから。脚色の焦点は、愛する人に笑顔でいてほしい、ただそれだけを願う不器用なまでに純粋なヒロインの姿です。人を好きになっている時の心のスピード感や熱量を、映画の語り口そのものに活かす意図でした。

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泣き虫ピエロの結婚式 (2016/88分/カラー/アメリカンビスタ/5.1CH)
出演:志田未来、竜星 涼、髙橋 洋、おかやまはじめ、岩橋道子、佐藤恒治、粟田 麗、新木優子、螢雪次朗
監督:御法川 修 原作:望月美由紀「泣き虫ピエロの結婚式」(リンダパブリッシャーズ)
エグゼクティブプロデューサー:浅野由香 中西一雄 高木徳昭 余田光隆 プロデューサー:山本晃久 八尾香澄
スーパーバイジングプロデューサー:久保田 修 共同プロデューサー:木幡久美
ラインプロデューサー:佐藤幹也 宣伝プロデューサー:西 利一郎 撮影:池田直矢 照明:加持通明
美術:松田香代子 録音:照井康政 衣裳:植田瑠里子 小道具:武田恭子 ヘアメイク:清田恵子
助監督:長尾 楽 編集:山中貴夫 リレコーディングミキサー:浅梨なおこ 音響効果:勝亦さくら
製作:映画『泣き虫ピエロの結婚式』製作委員会 配給:スールキートス
©2016映画『泣き虫ピエロの結婚式』製作委員会
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2016年9月24日(土)シネマート新宿他全国順次ロードショー

2016/10/03/19:42 | トラックバック (0)
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