映画祭情報&レポート
黒沢清監督&安藤紘平氏/『ダゲレオタイプの女』Q&A

第29回東京国際映画祭 Japan Now部門
『ダゲレオタイプの女』黒沢清監督Q&Aレポート【1/4】

世界中で高い評価を受ける黒沢清監督が、オールフランスロケ、外国人キャスト、全編フランス語のオリジナルストーリーで挑んだ初海外進出作品『ダゲレオタイプの女』が、さる10月27日、第29回東京国際映画祭《Japan Now》部門で上映され、黒沢清監督によるQ&Aが行われた。世界最古の撮影技法「ダゲレオタイプ」を題材に、写真家ステファンと娘のマリー、ステファンのアシスタントのジャンを中心に展開するドラマは、クラシカルにして現代的であり、ホラーにしてラブロマンス。現実と虚構のあわいを描き続ける黒沢映画の究極形として絶賛を浴びており、10月15日に公開されたばかりというタイミングでのQ&Aの機会に、同部門プログラミング・アドバイザーの安藤紘平氏と観客からの質問が活発にあがった。黒沢監督も海外での映画作りへの挑戦や新鮮な体験、自身の死生観についてなど神妙に明晰に明かし、心に残る内容となったQ&Aの模様をお届けする。 (取材:深谷直子)

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12月3日(土)より渋谷アップリンク、岡山シネマ・クレール、熊本Denkikan、鹿児島天文館シネマパラダイス、他全国公開中!

作品紹介 写真家ステファンの助手ジャンはダゲレオタイプの撮影を通してモデルを務めるステファンの娘マリーに心を奪われる。しかし、その撮影は愛だけでなく苦痛を伴うものだった。写真家の狂気にも似た愛を受け止めてしまう娘。娘に心を奪われ、囚われの世界から救い出そうとする男。自ら命を絶った女の幻影を感じるパリ郊外の古い屋敷で、彼らの運命は少しずつ狂ってゆく……。世界中で高く評価されている黒沢清監督が初海外進出を果たした作品。
黒沢 清 1955年兵庫県生まれ。大学時代から8ミリを撮り始め『スウィートホーム』(88)で初めて一般商業映画を手掛ける。その後『CURE キュア』(97)『ニンゲン合格』(98)『カリスマ』(99)『回路』(00)と話題作を発表。2008年の『トウキョウソナタ』では第61回カンヌ映画祭「ある視点」部門審査員賞などを受賞。その後も『岸辺の旅』(14)で第68回カンヌ映画祭「ある視点」部門監督賞を受賞している。
黒沢清監督1黒沢清監督

黒沢 『ダゲレオタイプの女』は日本では今、劇場でも公開中なんですが、公開中の作品をあえて東京国際映画祭で上映していただくようなことがあるとは思わなかったので自分でも驚いていますし、六本木のこんないい映画館でこの映画を上映することができて光栄です。ありがとうございます。

安藤 黒沢さんというと『CURE』(97)みたいな、恐怖とともに精神的なところもある独特なホラー映画を撮られているという感覚がありましたが、『ダゲレオタイプの女』という作品はまた新しい黒沢さんの世界が広がったという気がしているんです。日本の昔ながらの怪談や『雨月物語』のような作品の匂い、つまり日本人が持っているある種の匂いが実体化していくような話の要素が、「ああ、黒沢さんが日本に帰ってきてくれている」という感じがしたんです。この映画を撮ろうと思ったのはどうしてですか?

黒沢 そういうふうに僕の映画を観ていただいて大変光栄ですが、フランスで撮るからあえて日本的な何かをこの作品で表現しようと意識してはいませんでした。このオリジナルのストーリーはだいぶ前から考えていたんです。ダゲレオタイプの撮影をめぐるホラーで、幽霊が出てくるような物語を考えていたんですが、それをフランスで実際に撮影するとなって脚本を詰めていったときに、ホラーという要素よりも、若い男女の愛の物語がだんだん浮き上がる構成にしていきました。ただひとつ、ホラーとして構想していたときにも「これをやってみたい」と最初から思っていたのは、日本の怪談というゴースト・ストーリーの形式ですね。これはどういうことかというと、有名な『四谷怪談』のようなものを思い浮かべていただくとわかると思うんですけど、最初は幽霊なんてどこにもいないんです。生きている男と女がいて、ある関係があって、物語の途中で女性のほうが死んで幽霊になる。幽霊になってから、また生きている男と関係が深まっていく。まあ怪談の場合はだいたい「恨み」という感情が深まっていくわけですけど、これが日本の代表的なゴースト・ストーリーであるわけです。一方僕の知る限り、西洋のゴースト・ストーリーや、最近のジャパニーズ・ホラーを代表とするモダン・ホラーは、たいてい幽霊は最初から幽霊ですね。この映画でも、お母さんの幽霊は典型的な西洋のホラーやジャパニーズ・ホラーと同じように物語が始まったときから幽霊として出てきます。で、娘のマリーのほうは日本の怪談の形式をとっています。この二種類の幽霊が出てくる映画にしようというのは最初から考えていました。

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ダゲレオタイプの女 2016年/フランス=ベルギー=日本/131分/PG12
監督・脚本:黒沢清
プロデューサー: 吉武美知子、ジェローム・ドプフェール
撮影:アレクシ・カビルシン 音楽:グレゴワール・エッツェル
主演:タハール・ラヒム、コンスタンス・ルソー、オリビエ・グルメ、マチュー・アマルリック
配給:ビターズ・エンド © FILM-IN-EVOLUTION - LES PRODUCTIONS BALTHAZAR - FRAKAS PRODUCTIONS - LFDLPA Japan Film Partners - ARTE France Cinéma
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12月3日(土)より渋谷アップリンク、岡山シネマ・クレール、
熊本Denkikan、鹿児島天文館シネマパラダイス、他全国公開中!

2016/12/04/18:41 | BBS | トラックバック (0)
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