インタビュー
アテム・クライチェ監督/『スターシップ9』

アテム・クライチェ (監督)
映画『スターシップ9』について【1/5】

公式サイト 公式twitter

2017年8月5日(土)、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次ロードショー

『ヒドゥン・フェイス』(2011)『ゾンビ・リミット』(2013)の独創的な脚本で注目され、2012年にはVARIETY誌による「注目すべき若手スペイン映画製作者」のひとりに選出されたアテム・クライチェの長編デビュー作『スターシップ9』が8月5日(土)より公開される。これまでジャンル映画にアプローチしながらもそのクリシェをあえて裏切るかのような物語を披露してきたクライチェが手がける本作は、やはり一見SF映画でありながらツイストが効かせられた一風変わった作品に仕上げられている。
過去作から本作に共通して散見されるモチーフからジャンル映画への取り組み方、ひいては脚本の執筆方法まで、アテム・クライチェにお話を伺った。 (取材:常川拓也)
アテム・クライチェ レバノン系のサモラ出身の監督・脚本家。VARIETY誌で2012年に「注目すべき若手スペイン映画製作者」の一人に選ばれている。サラマンカのUPSAでジャーナリズムを学び、その後キューバのEICTVで監督と脚本コースを学んだ。彼はキューバに4年住んでいたことがある。『スターシップNo.9』を監督する前に、彼は2本の脚本を担当している(『ゾンビ・リミット』(13)『ヒドゥン・フェイス』(11))また、彼は6本の短編映画を監督/脚本し、多くの国際映画祭から注目を集めた。そのうち最も有名なものは‘Machu Picchu’(2009年ゴヤ賞ノミネート)と‘Genio y Figura’(2010年マラガ国際映画祭特別審査員賞受賞)である。
STORY エレナはまだ見ぬ未知の星を目指して、一人恒星間飛行を続けていた。一緒に飛び立った両親は既にいない。近未来、過度の公害に汚染された地球には未来はなく、人類は新しい星への移住を必要としていた。ある日、スペースシップの給気系統が故障し、エレナは近隣のスペースシップに救援信号を送る。その呼びかけに応えて姿を現したのが、エンジニアの青年アレックスだった。一目見て、互いに恋に陥る二人。しかし、エレナはこの飛行に隠された秘密を知らなかった。それは、人類の未来を賭けた高度な実験だった。二人はなぜ出会ったのか――?!
アテム・クライチェ監督 『スターシップ9』
──主演のクララ・ラゴはあなたが脚本を手がけた『ヒドゥン・フェイス』にも出演していますが、ある意味どちらも特定の場所に彼女は閉じ込められている状況から始まると言えるかもしれません。今回なぜ彼女を主演に起用したのでしょうか。

アテム・クライチェ監督(以下、クライチェ) おっしゃる通り、たしかに『ヒドゥン・フェイス』の時には彼女は鏡の後ろに閉じ込められており、『スターシップ9』では本人は知りませんが、実際はシミュレーターという実験装置の中に強制的に入れられて暮らしています。そういう意味では閉じ込められている状態というのは、ひょっとしたら似ていると言えるのかもしれません。しかしこのふたつの役柄というのは、全く異なるものです。特に『ヒドゥン・フェイス』の場合には、役作りの上で役者としてヒントになるものがあると思うのですが、『スターシップ9』の場合は、たとえば人生というのが大体どういうものかを知らない、あるいは人間的な関係を誰とも持っていない、愛も知らない、恋愛もしたことがないような状況の人間を演じなければいけないわけで、『ヒドゥン・フェイス』の時よりも役としてはずっと難しいものだと思います。それに役作りをする上でも非常に大変な役だと思います。クララ・ラゴはとても自然体で感性豊かな女優で、自分の思いつきで色々なことができる方です。なのでそういった意味では、彼女の持っている本質的なところが今回の役に非常に合うのではないかと思い、お願いしました。

──劇中でクララ・ラゴは船内でサバイバル・ミッションとして信じてなのか、あるいは暇つぶしになのか、ひたすら筋トレに励んでいる様が印象に残りました。彼女は『ヒドゥン・フェイス』でもすごくやつれたような見た目に役作りをされていたと思いますが、今回も役作りのためにかなりトレーニングをされたのではないでしょうか。

クライチェ 彼女が演じるエレナは宇宙船の中にいて40光年のスピードで旅行をしてると思い込んでいます。船内では「今日は何日目です」とか「何々をしなさい」とか彼女がしなければいけないことを必ず人工知能の声が指示するわけです。その中のひとつにトレーニングが入っていて、それをすることで彼女の体がどういう風に変わっていくのかということを逐一チェックして、外の世界へ電信されてそれがデータとなって蓄積されている形になっています。なので、AIからの指示に従ってトレーニングをすることが彼女のすべき日課のひとつとして組み込まれているのです。それ以外に時間潰しということもたしかにあったのかもしれません(笑)。あと、クララ・ラゴ自身が体を動かすことが大好きで、この役を受けた後にプライベート・コーチをつけてかなり肉体的なトレーニングをしていました。本作の撮影は、ほとんどがスペインから8千キロぐらい離れたコロンビアで行われたのですが、撮影をしている時でも終わった後に彼女はトレーニングをしていました。それは役に合った強靭な肉体作りと健康でなければいけないことが彼女の心にあったからだと思います。

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スターシップ9 (2017年/スペイン・コロンビア/スペイン語/95分/カラー/シネスコ/5.1ch/DCP/原題:ORBITA9)
監督・脚本:アテム・クライチェ
プロデューサー:クリスチャン・クンティ、ミゲル・メネンデス・デ・スビリャガ
撮影:パウ・エステヴェ 編集:アントニオ・フルトス 美術:イニーゴ・ナヴァロ 音楽:フェデリコ・フシド
出演:クララ・ラゴ、アレックス・ゴンザレス、ベレン・エルダ、アンドレス・パラ
配給:熱帯美術館 © 2016 Mono Films, S.L./ Cactus Flower, S.L. / Movistar +/ Órbita 9 Films, A.I.E.
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2017年8月5日(土)、ヒューマントラストシネマ渋谷
ほか全国順次ロードショー

2017/08/02/22:21 | トラックバック (0)
常川拓也 ,インタビュー
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