インタビュー
佐藤慶紀監督/『HER MOTHER 娘を殺した死刑囚との対話』

佐藤 慶紀 (監督)
映画『HER MOTHER 娘を殺した死刑囚との対話』について【1/5】

公式サイト 公式twitter

2017年9月9日(土)~10月6日(金)
新宿K’s cinema 他全国順次公開

娘を殺された母親が死刑囚となった加害者との対話を試ようとする姿を描き、釜山国際映画祭の新進監督作品対象のコンペティション部門であるニューカレンツ部門で高評価を受けた『HER MOTHER 娘を殺した死刑囚との対話』が、9月9日より公開される。監督は本作が長編第2作となる佐藤慶紀氏。10年前に出会ったテーマと向き合い続け、自主映画として作り上げた作品には、ニュースで報じられたあとは人々の記憶から忘れ去られてしまう殺人事件の被害者遺族のその後の生活や、加害者も含めた人々の心に渦巻く様々な感情が描かれ、彼らの理不尽な苦しみに直面した観客のひとりひとりが、理解の障壁となるものを考えずにはいられないだろう。矛盾に満ちた世界の中で、「理解できないものにどう応えるのか?」という監督の問いを真摯に噛み締めたい。名門・南カリフォルニア大学に学び、実直な活動で確かな道を歩み出した佐藤監督にお話をうかがった。 (取材:深谷直子)
佐藤 慶紀 1975年愛知県半田市生まれ。アメリカの南カリフォルニア大学・映画制作部卒業。フリーランスTVディレクターとして働きながら、自主映画を作り続けている。長編自主映画第1作「BAD CHILD」は、第29回ロサンゼルス・アジア太平洋映画祭に公式出品され、東京、愛知、宮城、北海道など、全国15カ所で自主上映会を開催。全国47都道府県での上映を目指し、現在も自主上映活動を続けている。「HER MOTHER」は、長編第2作目。現在、長編ドキュメンタリー映画「新宿タイガー」を撮影中。
STORY 娘を殺害した加害者の死刑を止めようとする母。一体なぜ……
43歳のビジネスウーマン・晴美。2年前に1人娘のみちよが嫁ぎ、現在は夫と2人で平凡に暮らしている。そんなある日、みちよが婿(むこ)の孝司に殺されてしまう。孝司は死刑判決を受ける。当初は死刑判決を当然の事と考えていた晴美だが、ある時から孝司の死刑を止めようと考え始める。そこには、晴美しか知らないみちよのある秘密があった。
佐藤慶紀監督1
――佐藤監督は南カリフォルニア大学の映画制作部を卒業されているんですね。まずはそのあたりの経歴からうかがいたいのですが、なぜアメリカに行かれたんですか?

佐藤 すごく単純な理由なんですけど、友達が向こうの学校に行っていて、それでアメリカに遊びに行ったんです。そこでアメリカが気に入ってしまったんですね。

――大学進学を考える前のタイミングでそういう体験があったということですか?

佐藤 僕は高校を中退していまして、大検に受かっていたんですけど大学には受かっていなくて。それでバイトとかしているときにアメリカに行って「こっちの大学に行ってみたいな」と猛勉強しました。

――それはすごいですね。映画を勉強したいという気持ちもずっとお持ちだったんですか?

佐藤 映画は前から好きだったんですけど、アメリカに行ってから映画を勉強したいと思いましたね。大学での選択肢として「映画学部」というのがあって、それならば映画を勉強してみたいと。

――大学では監督を目指して勉強をされたんですか?

佐藤 そうですね、制作だとか、監督になるための勉強をしました。最初はスーパー8という8mmフィルムで実習があったりして。

――それは何年ぐらいのことだったのでしょう?

佐藤 今から21年前だから1996年ぐらいですね。

――じゃあデジタルが主流になっていくちょうどギリギリぐらいのときで。

佐藤 ちょうどデジタルが出てきたところだったんですけど、その大学はフィルムにこだわっていて。もう今はやっていないですけど、当時はサイレント映画ばかり撮らされていましたね。

――それは面白いですね。ハリウッドに近いから最先端の技術を教えそうな感じがしますが。

佐藤 そうですね、南カリフォルニア大学ってハリウッド的な大学と言われていて、確かにドリュー・バリモアだとかいろんな業界の方が講師に来てくれたりしたんですが、教授陣にはアーティスティックな方が多くて、編集とかでも実験的なことをやったりしていました。

――なるほど。映画の伝統を大事にしつつ、実験的な技術の教育も進んでいて。監督の作品はハリウッド映画とは全然違いますけど(笑)、やはりしっかりと作られているのを感じるので納得です。『HER MOTHER』は心理ドラマ色の強い作品ですが、脚本作りについても大学で学ばれたんですか?

佐藤 そうですね、脚本のクラスがあって、脚本を1本書き、キャラクターの作り方や、いわゆる三幕構成などを教わりました。

――映画の基礎についてはそこでガッチリと身につけて。そのあとは日本に帰ってこられたのですよね。

佐藤 そうですね、日本に帰ってきて、映画をやりたかったんですけど、なかなか映画関係の仕事はなくて、どうしたらできるのかな?というふうに思ったりしていて。同じ学校を卒業した友達が日本でテレビのディレクターをしていたので、彼に仕事を紹介してもらって、当時僕はガッツリ働いた経験はなかったんですけど、「僕もディレクターです」とかウソついて(笑)。テレビ業界での仕事が続いてフリーとしてやってきました。

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HER MOTHER 娘を殺した死刑囚との対話 ( 2016/95min/DCP/カラー/ステレオ )
監督・脚本・編集:佐藤慶紀
撮影:喜多村朋充 音楽:ベンジャミン・ベドゥサック
制作:カロリーネ・クラツキー メイク:桐山雄輔 衣装:市岡昌顕
出演:西山諒、西山由希宏、荒川泰次郎、岩井七世、野沢聡、箱木宏美、木引優子、 西田麻耶
制作プロダクション:Aerial Films 配給・宣伝:渋谷プロダクション
製作:『HER MOTHER』製作委員会(Aerial Films・ラフター・渋谷プロダクション)
© 『HER MOTHER』製作委員会
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2017年9月9日(土)~10月6日(金)
新宿K’s cinema 他全国順次公開

2017/09/06/17:41 | トラックバック (0)
深谷直子 ,インタビュー
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