インタビュー
松浦慎一郎(俳優)/『かぞくへ』

松浦 慎一郎 (俳優)
映画『かぞくへ』について【1/6】

公式サイト 公式twitter 公式Facebook

2018年3月16日(金)まで20:55~ユーロスペースにて上映中、3月17日(土)18:00よりユーロライブにて一夜限りの追加上映決定。(チケット受付は3階ユーロスペースにて)、横浜シネマリンでも上映中。

『百円の恋』『あゝ、荒野』などのボクシング映画で出演とともにボクシング指導を担当し、映画界で独自の立ち位置を築いている俳優の松浦慎一郎が、新人の春本雄二郎監督と手を組み、自らの実話を元にしたオリジナル脚本の『かぞくへ』で初の主演を果たした。「家族」という問題に直面した3人の男女を見つめ、緻密な演出で描いた本作。骨太で普遍的な人間ドラマは人々の共感を得て、自主映画ながら大きな話題となっている。本作で確かな表現力も見せてくれた松浦慎一郎さんにインタビューを行った。ボクシングとの出会いや本作の成り立ち、名コンビとなった梅田誠弘さんへの賛辞、そして故郷・五島列島での映画体験まで、出会いに恵まれたユニークな遍歴が次々に飛び出し、アスリートらしいしなやかな感性が伝わってきた。松浦さんの豊かな人間性が発揮された『かぞくへ』を、ぜひ劇場でご覧いただきたい。 (取材:深谷直子)
松浦 慎一郎 1982年生まれ。長崎県五島列島出身。サラリーマンとして働いていた時に出演したCMがきっかけで脱サラし、俳優へ。映画を中心に活動中。俳優、ボクシングトレーナー、刀パフォーマーと活動の幅は広く、ボクシング界に貢献活躍したトレーナーに送られるエディ・タウンゼント賞を2010年に受賞している。武正晴監督『百円の恋』(14)では、トレーナー役として出演の他、ボクシング指導も務めた。主な映画出演作に岸善幸監督『あゝ、荒野』(17)、入江悠監督『ビジランテ』(17)、是枝裕和監督『万引き家族』(2018年6月公開予定)などがある。 公式サイト
STORY 家族の温かさを知らず生きてきた旭は、同棲中の佳織と結婚を目前にしながら、よかれと思って紹介した仕事で親友の洋人を詐欺の被害に合わせてしまう。養護施設で家族同然に育ってきた唯一無二の親友と、認知症が進む祖母のために結婚式を急ぐ婚約者の間で、次第に旭は追いつめられていき……。
――松浦さんはボクシングトレーナーの肩書きもお持ちで、ボクシング映画に引っ張りだこですね。ボクシングはいつ始めたんですか?

松浦 大学時代にアマチュアでやっていました。

――プロを目指したりして本格的に?

松浦 いえ、全然。僕はもともとすごいいじめられっ子で、泣き虫だったので父親が柔道をやらせたんですけど、柔道部でもいじめられていて。で、五島列島から福岡の大学に入って、ボクシング部が面白そうだったので入部したんですけど、キツくて夏の合宿の前にやめようと思っていたんです。合宿はお金もかかるし、普段の練習よりももっとキツくなるし。でも僕が恵まれていたのは、退部すると言いに行ったときに、監督が「お前はプレイヤーとしての才能はないかもしれないけど、教えることに向いていると思う。そっちを手伝ってみろ」って言ってくれたんです。それから学生なのに先輩とかのミットを持ち始めました。だから監督に感謝です。普通「続けろ」なんて言わないですよね。

――人を見る目がありますね。それ以来ずっと続けていたんですか?
松浦慎一郎1

松浦 大学卒業後はやめていました。福岡でサラリーマン生活をしたあと上京して役者を始めたんですが全然食べられなくて、ボクシングジムでバイトの募集とかしていないかな?と思って五反田のワタナベボクシングジムに見学に行ったんです。そこにはホン・ドンシク(洪東植)さんという韓国人の名トレーナーがいるんですけど、僕がフロアに通してもらって誰もいないので身体を動かしながら待っていたら、奥にいたホンさんに「こっちに来て」って言われて。「普段何やってる?」と訊かれて「役者をやってます」と言ったら「役者? 何でやってる? お金困ってる?」って。「まあ困ってると言えば困ってます」と答えたら「じゃあ私のアシスタントやればいい」って言ってその場で会長に推薦してくれて、ホンさんのアシスタントとしてトレーナーをやることになりました。僕は大学の監督のこともあるから「ああ、もしかして見抜いてくれたのかな?」って感激していて。でもあとで知ったんですけど、韓国から日本に移って日本語の勉強中だったホンさんは、「役者」と「ヤクザ」の違いがわからなかったんです。僕がヤクザやってると思って「そんなのやめろ。あなた若いでしょ」って更生の意味で勧誘したらしいです。衝撃の事実(笑)。

――すごい勘違い(笑)。でもそのおかげで今の松浦さんがいると言えますよね。いい出会いに恵まれていますね。一方で詐欺事件の苦い体験もされて、それを元にこの映画ができたわけですが、春本(雄二郎)監督とはどんなやり取りがあったんですか?

松浦 春本さんがミヒャエル・ハネケの『ピアニスト』(01)という作品を好きだと聞いて、僕も好きなので話がしたいなと思って、この映画にも出ているおのさなえさんに紹介してもらって「一度お茶しませんか?」とメッセージを送ったのが出会いです。そのあと春本さんが助監督をしているドラマに呼んでくださって、その打ち上げで飲んでいるときに「一緒に作品を撮りたい」と。で、「撮るなら等身大のテーマで、今持っている最大の武器で僕らは勝負しなければならない。松浦さんの実体験で心に残っていることはないですか?」って。それで「少し前に友達を詐欺被害に遭わせてしまって、今は借金の返済に追われています」と。

――そのときまだ渦中にいたんですね。

松浦 事件はちょっと落ち着いていたんですけど、僕は借金の返済中で。劇中ではバイトをしてお金を作っていたことになっていますけど、実際はクレジットカードのキャッシングで限度額ギリギリまで借り入れて、友達に「これ」って差し出して。実際にも友達は受け取らなかったんですけど、そのお金を元にして僕が犯人探しをしました。で、僕はクレジットカードの金利をナメていて。返済しても元金が全然減らなくて、苦しくなって別のクレジットカードにも手を付けて、というのをやっていたら100万円以上になっていて……。

――うわ~、恐ろしいですね。

松浦 そのときはいろんな作品の撮影も重なっていたので、バイトしたくてもできない状況で。ジムの契約はリアルでは切っていました。「ジムで働いていたら返せない」って。そこからですよ、個人契約に変えたのは。で、そういうこともあって『百円の恋』(14)に出演しつつボクシング指導もするという話が来て。ある意味お金に切羽詰まって、どうしたらいいか考えた末に「これは自分ひとりでもできるんじゃないか?」ってやったのがプラスに働きました。

――そうなんですか。事件に遭ったことも結果的には今の仕事につながっていると。

松浦 プレッシャーはありましたけどね。あとはお金もなかったので。撮影中はバイトができなくて収入がないから、なおキャッシングで借金して。ははは。

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かぞくへ ( DCP/シネスコ/5.1ch/カラー/2016/日本/117分 )
出演:松浦慎一郎,梅田誠弘,遠藤祐美,三溝浩二,おのさなえ,下垣まみ,瀧マキ,森本のぶ
監督・脚本・編集:春本雄二郎
撮影:野口健司 照明:中西克之 録音・整音:小黒健太郎 制作:福田智穂 助監督:浅見佳史
音楽:高木聡 プロデューサー:深谷好隆,春本雄二郎,南 陽 海外セールス:植山英美(ARTicleFilms)
配給:『かぞくへ』製作委員会 配給協力:コトプロダクション ©『かぞくへ』製作委員会
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2018年3月16日(金)まで20:55~ユーロスペースにて上映中、
3月17日(土)18:00よりユーロライブにて一夜限りの追加上映決定。
(チケット受付は3階ユーロスペースにて)、横浜シネマリンでも上映中。

2018/03/15/22:01 | トラックバック (0)
深谷直子 ,インタビュー
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