インタビュー
宮崎大祐監督監督『大和(カリフォルニア)』

宮崎 大祐 (監督)
映画『大和(カリフォルニア)』について【4/7】

2018年4月7日(土)より新宿K’s cinema ほか全国順次ロードショー

公式サイト 公式twitter 公式Facebook (取材:深谷直子)

『大和(カリフォルニア)』場面4
――あそこから幻想的になり、アジア映画という感じになっていますよね。アピチャッポンとか……、森だし (笑)。

宮崎 ああ、そうですね。多分前作とまた違うのは、自分がアジアの一部だと意識するようになったことですね。この映画のテーマでもあるんですけど、アジアなのか?アメリカなのか?っていうのが非常にあると思って。自分が日本の監督であると同時にアジアの監督であるという自負、自覚はここ数年ですごく強く出てきた気はします、言われてみたら確かに。

――そういう自覚は映画祭などに参加されることで養われたんでしょうか?

宮崎 映画祭もありますし、6月に公開になる『5TO9』(15)というアジアのオムニバス映画に参加したことの影響もありますね。日本の縦の関係で世代ごとにどうっていうつながりとは違う、アジアの横の関係、同じぐらいの世代でみんな同じような環境で、ちょっと苦労しながら映画を作っている、そういう知り合いが増えたことが大きいです。この映画の主人公のサクラ同様、何となくアメリカというものが見えているんだけど、今いるこの場所に埋没している感じ、あるいはフランスなるものも見えるけど、ここってどこなんだろう?という寄る辺がない感覚が、ここもアジアの一部であって、ちょっと外に出ればもうアジアがあるって考えるとすごく軽減された気がしますね。アジアの一部だという自覚はだいぶ重要なキーワードです。

――監督はベルリン国際映画祭のタレント部門にも選ばれていらっしゃいますよね。そういうところでもいろんな国の監督と交流されているのだろうなと。

宮崎 そうですね。ベルリンがすごく象徴的だったのは、僕が行ったタレント部門というのは若手監督育成部門なんですけど、大陸ごとにグループに分けられるんですよ。僕は「はい、アジアの人」って分けられて、ほぼアジアの人たちとのみ食事から何から一緒に毎日過ごしていたので、そこで恥ずかしながら「ああ、僕もアジアの一部なんだ」と実感するに至ったというか。やっぱり日本人ってどう考えても頭では西側だと思っているはずで、タイとかインドネシアとの距離感よりアメリカとかのほうが近い気がしていて、僕もそうだったんですけど、外に出てみたら、我々が恋い焦がれるアメリカ、フランス、ドイツからすると日本はどう考えてもアジアの一部なんだ、っていう現実が非常に強くあって。それでスイッチが切り替わった気がしたし、逆に日本でわりと厳しい制作環境にいて鬱々としているぐらいだったら、ポンとマレーシアの島とかに行ってサクッと映画とか撮ったほうがいいんじゃないかなと。

――すごい自由な(笑)。そういう感覚がこの映画には活きている気がします。自分の中の枷を外して自由になるというお話なので。

『大和(カリフォルニア)』場面5宮崎 でも早晩日本もそうなっていくはずで。大和こそまさにそういう、ある種多文化主義的なことの中心に今いるんですけど……、まあこの映画ではそこまで描写していないですけど、大和にはいちょう団地っていう10ヵ国以上の国籍の人が住んでいる、ほとんど外国人ばかりの難民用みたいな団地もあったりしますし。

――難民用というのは?

宮崎 もともと遡ればベトナム戦争でのボートピープルが長崎経由で大和の定住促進センターにまとめられ、それを団地が受け入れたというのがあるんですけど。そういうふうに大和はすごく小さい街でありながら、わりと外国の方が多い街で、当然いまだに軋轢だとか問題はありますけど、とはいえ日本は恐らく今後そうならざるを得ないと僕は思っていて。そうなって然るべきだし、そこに希望を見出していくって考えたときに、その第1歩となる映画にならないかなって考えていて。

――ああ、そういう大きな想いも映画に込められていて。

宮崎 そうですね。やっぱり日本人って何?っていう問題って日本にいる限りすぐに顔を出してくるので、ここ数年ぐらいレイシストデモとかカウンターデモとか、そういうのも多かったりして。世界の保守化の流れはわかるんですが、なぜそこまで問われなければならないのか?自分の3代前までわかっても、4代前なんてわからないでしょ?って。そういう人たちが波打際の漂流物のように積み重なってできたのが恐らくこの日本なる国だと僕は思っていて。日本はほかと離れているから歴史が保存されていて特別、みたいなのはどう考えても妄言だと思っていますし、保守化が進んだところで枯れる一方なのは自明なので、知らないものを受け入れることでポジティヴな何かが生まれるはずって思います。

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大和(カリフォルニア) ( 2016/日本・アメリカ/カラー/119分/アメリカン・ビスタ/5.1ch )
監督・脚本:宮崎大祐(『夜が終わる場所』監督、『孤独な惑星』脚本)
出演:韓英恵,遠藤新菜,片岡礼子,内村遥,西地修哉,加藤真弓,指出瑞貴,
山田帆風,田中里奈,塩野谷正幸,GEZAN,宍戸幸司(割礼),NORIKIYO
撮影:芦澤明子 音響:黄永昌 サウンドデザイン:森永泰弘 プロデューサー:伊達浩太朗
音楽:NORIKIYO Cherry Brown GEZAN 割礼 のっぽのグーニー 配給:boid © DEEP END PICTURES INC.
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2018年4月7日(土)より新宿K’s cinema ほか全国順次ロードショー

2018/04/07/19:04 | トラックバック (0)
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