伊藤峻太(監督) & ウダタカキ(俳優)監督『ユートピア』

伊藤 峻太(監督)ウダタカキ(俳優)
映画『ユートピア』について【8/8】

2018年4月28日(土)より 下北沢トリウッドにてロードショー!

公式サイト 公式twitter 公式Facebook youtubeリンク (取材:深谷直子)

『ユートピア』場面9
――ファンタジーだから幅広い層が楽しめる。子供にも観てほしいですよね。

伊藤 子供にはトラウマを与えるぐらいのものを観せたいなと思って。僕は『ユニコ 魔法の島へ』(83)という映画が小さいころから大好きなんですが、すごく怖いんですよ。それこそ笛を吹く魔法使いが生き人形を作り、それで城を建てるという。笛のメロディも怖いし、そういう怖さって子供にはすごく響く。ふわふわ可愛くて安全なものではなく、そういうものを子供に観せたいなというのがありました。でもこの映画を考え始めたのは19歳のときで、完成したときは30歳になっていて、今自分が観て感情移入できるのは、まみよりもオールデとかオカルト研究家の岡さんなんです。岡さんは自分が好きなことをするために、お金を稼ぐ手段と好きなことを分けて生活している。歳をとってそういうところに共感できるようになっていました。

ウダ 僕は撮影中はそんなことは考えていなかったけど、公開が決まってからこの作品をどう説明するかを結構考えたので、監督は何を目指して誰に向けて作ったのか?っていうところも考えて。これは劇場公開を目指して作ったものとしては処女作で、僕は映画を撮ったことがないからわからないけど、処女作ってものすごくいろんなものが渦巻いていて、僕がいうのはおこがましいんだけど、伊藤さんの中での言いたいことが最初だからこれだけ出てきたし、「この情熱を見てくれ」ということだと思うんですよ。あとはそれをここまで10年間諦めずに妥協せずにやったっていうこと。それが言語にも現れているし、VFXに現れているし。

伊藤 そうですね。10年の念が詰まっている作品なので、普通にサラッとは観れないと思うんですよね。グワーッと何かが出てきているので、それを観てほしいというか、多分観にきたら絶対に出ているはずなので。20代を全部捧げてしまった。

ウダ 伊藤さんが成長する中で感じていた青春の話と、大人になってからいろいろ考えてきたこと全部が合わさって出し切った作品で、次がすごく観たい。それがアニメなのか実写なのか、どういう形式のものを考えているのかは聞いていないけど、その引き出しも全部見せてくれたなって。脚本書いて監督をして、アニメーションができてCGができて編集して音楽も作れるというのは、本当にすごい才能のある人なんだなと思います。

伊藤 なんか高校生のとき、「自分」って別になくてもいいと思っていた。自分が幸せにならなくても、作品を作るということに価値があって、作品もテクニックで作れると思っていたんです。起承転結と伏線と、そういうもので面白いものが作れると信じてやって、そのときは何も疑わずにバーンと作れた。それが『虹色★ロケット』でした。もちろんそこには自分が絶対溶け込んでいて、隠せないんですけど、でも自分は自分というものを見つめたことがなくて、面白い話を思い付けばいいんだと思っていたんです。でも『ユートピア』を始めて行き詰まったときに、「あ、自分を理解しないとシナリオって書けないんだ」って思って。「自分ってどんな人間なんだろう?」とか、「何が好きで何が嫌なんだろう?」とか、そういうことを1個1個自分で把握できていないとものとして出せないんだと気づいたときに、苦しい作業になっちゃって。伏線とか張ればなんとかまとまるというものではなくて、自分をもっと理解して出すという、今まで無視しようとしていたことを見なきゃいけないんだと。まあまだ現実を見れていないんですけど。

『ユートピア』場面10
――そういう作品ですよね。映画を作ろうとして作ったものではなくて、自分の血肉とかが込もってる。

伊藤 だから全登場人物が僕なんです。もちろんまみもそうだし、ベアが多分僕が理想とする人物で、生きる場所を自分で決めて動く人という。そのまわりで悩んでいる人たちも全部自分なので。『虹色★ロケット』は劇中でミナミを演じた平山みな美とふたりで脚本を書いたので、意見がちゃんとぶつかっていた。でも『ユートピア』は僕がひとりで書いていて、全部自分の人物像なので、シナリオ上ぶつからない時期がかなりあって。それでもやっぱり人間って矛盾している生き物なので、自分の中でもこう思っているけどこうじゃないか?みたいなのがあって。そこをちゃんとぶつけて話を作ることの難しさを感じましたね。

――脚本作りの7年というのは本当に大変な想いをされていたんですね。完成の喜びってひとしおでしょうね。

伊藤 何をやっていても頭のかたすみにあるんで。就職活動もしなかったし。『ユートピア』が仕上がってから僕の人生が始まると思っていて、まさかこんなにかかるとは思っていなかった(苦笑)。

ウダ この先はどうするんですか?

伊藤 こんなに時間をかけちゃって、『ユートピア』が終わったら抜け殻みたいになるんじゃないか?って思っていた時期もあったんですけど、撮影、編集、VFXで思うようにいかなかった部分もあって余計に燃えちゃってて、早く次が作りたくてしょうがないんです。

ウダ イエーイ(笑)! それは実写ですか?

伊藤 実写ですね。アニメとか漫画とかでもやりたいなと思っているものはあって、全部で7個か8個ぐらいの企画があって。でも次はやっぱり実写でやりたいです。

ウダ これからその7本の企画が動いていくかどうかわからないけど、まずは『ユートピア』をある程度の方に観ていただきたいですね、伊藤監督のこの10年間の情熱を。よろしくお願いします!

( 2018年4月15日 下北沢トリウッドで 取材:深谷直子 )

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キャスト・監督による舞台挨拶開催 (各回上映後)
4/28(土)12:30 松永祐佳さん、ウダタカキさん、地曵豪さん、森郁月さん、まなせゆうなさん、伊藤峻太監督
4/28(土)20:00 ミキ クラークさん、松永祐佳さん、高木万平さん、地曵豪さん、伊藤峻太監督
4/29(日)12:30 松永祐佳さん、高木万平さん、伊藤峻太監督、椎名遼さん(本作撮影)
4/29(日)20:00、5/5(土)12:30 松永祐佳さん、伊藤峻太監督
トークイベント開催 (各回上映後)
5/3(木祝)12:30 ミキ クラークさん、森郁月さん、伊藤峻太監督
5/6(日)12:30 杉井ギサブローさん(アニメーション映画監督)×伊藤峻太監督
ユートピア ( 2018/104 分/日本 )
出演:松永祐佳,ミキ・クラーク,高木万平,森郁月,吉田晋一,地曵豪,ウダ・タカキ,まなせゆうな,椿鮒子,吉田佳代,レナ・コックス,デニス 他
監督・脚本・VFX・編集:伊藤峻太
撮影監督・音楽:椎名遼 助監督:市原博文 制作:湯浅志保子 サウンドデザイン:小牧将人
ラインプロデューサー:山本達也 特殊メイク:小林誠実 VFX 特別協力:村上優悦 宣伝美術:平山みな美 プロデューサー:大槻貴宏
製作:「ユートピア」製作委員会(トリウッド、AXsiZ、芸術家族ラチメリア・カルムナエ)
配給:トリウッド © UTOPIA TALC 2018
公式サイト 公式twitter 公式Facebook youtubeリンク

2018年4月28日(土)より 下北沢トリウッドにてロードショー!

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2018/04/27/10:28 | トラックバック (0)
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