インタビュー
ジョン・ウィリアムズ監督『審判』

ジョン・ウィリアムズ(監督)
映画『審判』について【2/5】

2018年6月30日(土)より渋谷・ ユーロスペースにて公開

公式サイト 公式twitter 公式Facebook youtubeリンク (取材:深谷直子)

『審判』田邉 淳一、にわつとむ、工藤雄作 『審判』工藤雄作、田邉 淳一
――難解な小説ですが、映像化したくなる魅力的な世界ですよね。

ウィリアムズ コンセプトはわりとシンプルですよね。ある日突然逮捕されるんだけど、なぜ逮捕されているのか?夢なのか?現実なのか?ということがわからない。そういう悪夢のような世界を描く小説はそれまで読んだことがなかったんです。すごく惹かれて「いつか映画化しよう」と考えたことはあったんですが、それとは別に、日本に来たばかりのころ、東京に着いて2週間ぐらい経ったときに、自分でもカフカの世界観を持つ脚本を書いていました。日本との出会いというのはまったく理解できない異文化との出会いでした。文字も読めなかったし、社会のルールもわからないし、一体自分はどこにたどり着いたのか?と。僕は田舎育ちなので、こんなに人が多く、お互いのことを無視して生きているような非人間的な東京の街に馴染めなくて、着いて2日目ぐらいにサンシャイン60の展望台に上って東京の光の海を見ていたら、別の惑星に来てしまったような気がしました。そこで大都市で迷っている男の話を書いたんです。そのことはずっと忘れていたんだけど、初めて書いた脚本はカフカ的なものでした。安部公房の小説もその間に読んでいて、勅使河原宏が映画化した『砂の女』(64)や『おとし穴』(62)も観ていたので、なんとなくその影響もあったかもしれませんが。

――今回ついに『審判』の映画化が実現したわけですが、映画の前にまず演劇でやられたとのことですね。

ウィリアムズ そうです。最初は震災直後に脚本を書きました。それは小説を単にアレンジしたバージョンで、どうしてそれを書いたのか自分でもわからないんですが。多分震災後ちょっと不安になっていて、心に引っかかっていた『審判』を思い出して書いたのかな?と。で、映画化しようとしたんですが、難しいから一度舞台で試してみることにしました。映画でも主人公を演じたにわつとむさんとは「いつか一緒に舞台をやりましょう」という話をしていたので、まず彼に声をかけ、お互い役者を探して、大学で上演しました。その評判がよかったので「ああ、別に映画で苦労しなくても演劇でもいいな」とちょっとだけ思ったんですが(笑)、すぐに「やっぱり映画として作りたいな」と思い直しました。舞台でやったバージョンは、半分カフカの小説、半分僕たちが足したものといった感じにアレンジしすぎてかなりわかりにくかったんですが、小説を読み直したら構成がいいなとあらためて思い、もっと小説どおりに脚本を書くべきだと思って、舞台の脚本を完全にバラして新しい脚本を書きました。だから舞台の脚本と映画の脚本と2つのバージョンの『審判』があって全然違います。舞台に出ていた俳優のほとんどが映画に出ていますが、ほとんどみんな役が違っています。

――俳優さんたちとはワークショップを行ったそうですね。

ウィリアムズ 役者たちと実験をしてみたかったんです。今までの映画製作の中で、演技のことがすごく気になっていて。役者たちはどうやってキャラクター作りをするんだろう?とか、自分を忘れて役に没入するとはどういうことか?とか、そういうことをラボラトリーのような場で科学的に実験したかった。役者たちも演技とは何か?ということを純粋に知りたい人たちが応募してきて、彼らに毎週大学に集まってもらい、ゲームをやりながら少しずつ台本を作っていきました。

――ワークショップに応募してきたのは大学の学生ではなく普通の俳優さんですか?

『審判』工藤雄作、田邉 淳一ウィリアムズ 普通の俳優と2、3人の学生でした。少しずつ口コミで増えていって。今はやっていないのですが、この映画の公開が終わったらまた別の形でワークショップをやりたいと思います。特に目的もなく役者と一緒に演技を探求できるスペースがすごく面白いんですね。「何かを発表しなければいけない」というプレッシャーがなく、その中で色々自由に遊べる。

――今までの監督の作品と比べると規模の小さい作品ですが、そうやって実験的に始まった試みなんですね。

ウィリアムズ はい。最近の映画で成功しているのは大きい映画ばかりですよね、ハリウッドのマーベル・コミックの映画とか。小さい映画の存在意義が気になっていて、低予算で作るのであれば、普通に作るのか、もっと実験映画的なものを作るのがいいか、そのラインもこの映画で調べようとしているんです。普通はこんなことは多分できないと思いますが、同じように実験したいと思っている役者が集まってくれたし、上智大学の応援もあって、半分研究のようなプロジェクトとしてできるんです。そのあたりのラインを探すのは結構面白いと思います。林海象監督や園子温監督も商業的な作品を作りながら実験的な作品も撮っていますが、「今の時代に意味のある映画を作るとはどういうことだろう?」と、同じようなことを模索してやっているのではないかと思います。

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審判 ( 2018 年/日本/アメリカンビスタ/5.1ch/118 分 )
出演:にわ つとむ,常石梨乃,田邉淳一,工藤雄作,川上史津子,早川知子,関根愛,村田一朗,大宮イチ,
坂東彌十郎(特別出演),高橋長英,品川徹
監督・脚本:ジョン・ウィリアムズ
原作:フランツ・カフカ「審判」 音楽:スワベック・コバレフスキ
プロデューサー:高木祥衣,古川実咲子,塩崎祥平 撮影:早野 嘉伸 照明:大久保礼司
録音:小川武 美術:中村三五 編集:稲川実希 音響効果:堀内みゆき 監督補:高田真幸
助監督:岩崎祐 ヘアメイク:西尾潤子,松本幸子 衣装:斎藤安津菜 制作担当:竹上俊一
後援 上智大学ヨーロッパ研究所 公益財団法人日独協会  製作・配給・宣伝 百米映画社
© 100 Meter Films 2018
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2018年6月30日(土)より渋谷・ ユーロスペースにて公開

2018/06/27/19:12 | トラックバック (0)
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