インタビュー
矢崎仁司監督/『スティルライフオブメモリーズ』

矢崎 仁司 (監督)
映画『スティルライフオブメモリーズ』について【1/5】

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2018年7月21日(土)新宿K’s cinemaほか全国順次公開! ※K’s cinema毎週水曜16:40の回は女性限定上映回

フランスの画家・写真家、アンリ・マッケローニが78年に発表した女性性器写真集と、彼がモデルの女性と過ごした2年間という時間、その関係性に触発されて作られた映画『スティルライフオブメモリーズ』が、7月21日より公開される。本国では女性解放運動家から激しい抗議を受け、日本への輸入は現在に至るまで禁止されている不遇の写真集に、『三月のライオン』『無伴奏』などで性のタブーに挑み続ける矢崎仁司監督が果敢に迫り、「性器とは何か?」という目を背けている問題に直面することになった3人の男女がどんなふうに歩き出すのかを、眩い陽光の下、ドキュメンタリーのように生き生きと描き出す。写真家でもある安藤政信、体当たり演技に挑んだ永夏子と松田リマ、3人の俳優たちの渾身のアンサンブルによって生まれた問題作は、公開時には修正が入るかもしれないが、その魂は残る。芸術、自然、欲望、生命……、性器から始まり人生のすべてにつながっていくような不思議な旅を、多くの人に体験してほしい。矢崎仁司監督にお話をうかがった。 (取材:深谷直子)
矢崎 仁司 山梨県生まれ。監督デビュー作『風たちの午後』(1980年)は 16mm作品として異例のヒットを飛ばし、ヨコハマ映画祭自主製作映画賞に輝き、エジンバラ国際映画祭、モントリオール世界映画祭などいくつもの海外の映画祭に招待され、注目を集めた。続く第2作『三月のライオン』(1991年)はベルリン国際映画祭、ロッテルダム国際映画祭など数々の国際映画祭に招かれ、ベルギー王室主催ルイス・ブニュエルの「黄金時代」賞を獲得。『花を摘む少女 虫を殺す少女』(2000年)の後、商業映画に転じ、2006年に『ストロベリーショートケイクス』を発表。ロッテルダム国際映画祭、バルセロナ・アジア映画祭、シカゴ国際映画祭、ワルシャワ国際映画祭などの国際映画祭で上映され、バルセロナ・アジア映画祭で国際審査員特別賞に、KINOTAYO現代日本映画祭で観客賞に輝く。その後『スイートリトルライズ』(2010年)、『不倫純愛』(2011年)、『太陽の坐る場所』(2014年)といった日本の著名な小説家の作品をスター俳優の出演により映画化、その集大成としての『無伴奏』(2016年)はヨーテボリ国際映画祭、全州国際映画祭など幾多の国際映画祭に招聘され、サハリン映画祭で審査員特別賞を獲得した。2010年代はこうしたコマーシャルな映画の傍ら、ロウバジェットの『1+1=1 1』(2012年)、『×××』(2015年)を若手脚本家、若手俳優とともに撮り、商業映画とインディペンデント映画を往還している。
STORY 東京のフォトギャラリーで、新進気鋭の若手写真家、春馬の写真展が開催されている。山梨県立写真美術館のキュレーター、怜は、たまたま入ったギャラリーで春馬の写真に心奪われる。翌日、怜は春馬に連絡をとり、撮影を依頼する。怜が撮ってほしいと切り出したのは……。
矢崎仁司監督1 『スティルライフオブメモリーズ』
――『スティルライフオブメモリーズ』は矢崎監督の集大成とも言える作品になりましたね。プロデューサーの伊藤彰彦さん(『映画の奈落 北陸代理戦争事件』『無冠の男』の著者)がアンリ・マッケローニの写真集『とある女性の性器写真集成百枚 ただし、二千枚より厳選したる』に感銘を受け、矢崎監督に映画化のお話を持ちかけたということですが、詳しいいきさつを教えていただけますか?

伊藤プロデューサー 84年に四方田犬彦さんの『週刊本 映像要理』という本で、初めてアンリ・マッケローニが日本に紹介されました。この本は写真論でもあり、「男はなぜ女性器に囚われているのか?」という男性論、ジェンダー論でもあるすごく面白いエッセイでしたが、肝心の写真は載っていませんでした。それから10年経った93年に、アートスペース美蕾樹(ミラージュ)という画廊が展覧会を開催し、ほんの束の間の2ヶ月ぐらいオリジナル・プリントがお目見えして、松浦理英子さんはじめいろいろな知識人が賞賛しました。でも写真集はそれ以降も輸入禁止で見られない、いわば幻の写真集だったんです。そんなマッケローニの写真に、僕は「どうして写真家がひとりのモデルをこうも愛を持って2年間も撮れるのか?」と感銘を受け、映画にしたいと思いました。矢崎監督の作品もずっと拝見していて、『ストロベリーショートケイクス』(06)を観たときに、マッケローニの写真集で感じた、セックスを描きながらどこかしら死の匂いがして、生と死の間(あわひ)みたいなものがふっと見える感じが重なり、「マッケローニをやるなら矢崎監督しかいない」と。2014年にお願いし、そこから4年間矢崎監督もあれこれいろんなことを迷われながら挑んでくださいました。

――矢崎監督はお話を受けてどう感じましたか?

矢崎 僕は来た仕事は断らないので。ただ、漫画や小説を映画にしたことはありますが、こういう原作、四方田さんは「エッセイ」と呼んでいますが僕にとっては論文みたいなもので、「これを原作にするのか」とちょっとビックリはしました。

――そうですね、こうした硬い書物からドラマを作るというのは難しいと思うんですが、どのように脚本化していったのでしょうか?

矢崎 僕がいちばん惹かれたのはマッケローニと愛人との2年間という時間なんです。それをすごく見てみたいなあと思いました。『映像要理』もすごく面白かったので、なんとか物語になるかと伊藤さんとだいぶ話し合いました。これをやるなら写真家の作品がほしいという中で、なぜかふと中村早という写真家を思い浮かべて伊藤さんに紹介したら、すぐに個展を見にいってくれて、とても気に入ってその場で中村さんにお願いすることが決まりました。それからシナリオハンティングが始まり、なぜか最初に行ったのが湖。そんなふうに動き出しました。

――中村早さんは主に静物写真を撮られる方なのでしょうか?

矢崎 僕が最初に見たのは男性のヌードでした。それから花シリーズに移っていかれて。すごく素敵な写真を撮る方です。

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スティルライフオブメモリーズ ( 2018/日本/カラー/5.1ch/107分/※R-18作品 )
出演:安藤政信,永夏子,松田リマ,伊藤清美,ヴィヴィアン佐藤,有馬美里,和田光沙,四方田犬彦
監督:矢崎仁司
製作:プレジュール+フィルムバンデット プロデューサー:伊藤彰彦・新野安行
原作:四方田犬彦『映像要理』(朝日出版社刊)
脚本:朝西真砂+伊藤彰彦 写真:中村早 撮影:石井勲 照明:大坂章夫 音響:吉方淳二 美術:田中真紗美
衣裳:石原徳子 ヘアメイク:宮本真奈美 編集:目見田健 助監督:石井晋一
キャスティング:斎藤緑 企画協力:生越燁⼦
配給:「スティルライフオブメモリーズ」製作委員会 © 2018Plasir/Film Bandit
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2018年7月21日(土)新宿K’s cinemaほか全国順次公開!
※K’s cinema毎週水曜16:40の回は女性限定上映回

2018/07/18/20:11 | トラックバック (0)
深谷直子 ,インタビュー
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