インタビュー
杉田協士監督『ひかりの歌』

杉田 協士 (監督) 映画『ひかりの歌』について【5/7】

2019年1月12日(土)よりユーロスペースほか全国順次公開

公式サイト 公式twitter 公式Facebook (取材:深谷直子)

――札幌に行くことで映画のスケールも広がりました。季節も夏から冬へと移り変わっていきますが、同じ年に撮っているんですか?

杉田 1章、3章、2章、4章の順番で、夏、冬、夏、冬と2年かけています。映画のリズムはどんどん変わっていると思います。1本撮るごとに何かが更新されていきました。私だけじゃなくて撮影の飯岡さんも。だから1章と4章の差が結構あります。

――確かに。でも私1章の初々しさがとても好きです。純粋できれいな世界だと思います。4章もすごくいいです。「100円の傘を通してこの町の看板すべてぼんやり光る」という短歌はなんとなく寂しげな感じがするのですが、とてもやさしいストーリーが生まれてきましたね。

杉田 そうですね、自分でもどうしてこういう話にしたのか。最初に短歌を読んだときは、こういう話は浮かばなくて、やっぱり孤独さを感じて……。夫がいない年月に一人で傘を差して光を見ていたような時間もあの物語に含めていて、映画の中で傘を差しているのはそういう場面ではないんですけど、根底にはその時間があったのかもしれないです。あと、プラネタリウムのドームも、ある意味で傘の役割を果たしています。傘がそのまま空になっているような。

――少しずつ時間を取り戻していく並木愛枝さんが演じる幸子と松本勝さん演じる夫のかっちゃんの佇まいがすごくよかったですね。

杉田 愛枝さんと勝さんが決まって、あの二人が導いてくれた気がします。他の俳優だったらこういう物語にはならなかったと思います。不思議なんです、全部タイミングなんです。

――かっちゃんが次々にかっこいいところを見せていくのが面白かったですね(笑)。英語が話せて歌が歌えて。これも松本さんご本人の特技を生かしているんですか?

杉田協士監督3杉田 勝さんは若いころにニューヨークに住んでいた時期があって、アポロシアターのアマチュア・ナイトで1位を獲っているようなシンガーだったんです。そのあと、喉を痛めて30歳ぐらいから俳優に転身したそうです。迷いはしたんですが、勝さんの歌を一度聴いてみたくて、相談したら「ええよ」と言ってくれたんです。勝さんならブルースだと思って、スカンクさんと相談して曲を作りました。あのシーンは、リャオ・プェイティンさんというマレーシアの劇作家の方がたまたま来日していて、映画に出演してくれることになったこともあって思いつきました。プェイティンさんとは、その前の年に「アジア女性舞台芸術会議」という団体の活動で一緒にベトナムへ行って、いろんなアーティストを取材して旅をした間柄でした。ちょうどこの映画の撮影の時期にプェイティンさんがその会議に参加するために日本に滞在していたので、その合間に出てくれたという流れです。一緒に旅をしているときのプェイティンさんが、いつもああいうふうにスッとお店に入っていく人で、観光客向けの店よりは、地元のお店が好きなんです。それで、かならず体に負担の少ない温かい料理を注文することもあって、映画の脚本もそのような流れにしました。

――プェイティンさんは東京国際映画祭にもいらしていましたよね。明るくて気さくな感じの方でした。

杉田 そうです、舞台挨拶にまで立ってくれて。映画を観て「最初はもっとテンポが早くていいと思ったけど、それがこの映画の良さだ」と笑いながら言っていました。

――(笑)。とても丁寧な画づくりが印象的ですが、撮影の飯岡幸子さんはご自分でもドキュメンタリー映画を撮っているという方ですね。

杉田 飯岡さんは、「こういう場所で撮りたい」とか「この俳優さんでこういう場面を撮りたい」とか、「いいな」と思う私の感覚を察してくれる人です。その場所に飯岡さんを連れていくと、その中に自然に“居れて”しまう。出会う人はみんな飯岡さんのことを警戒しないんです。そうなる理由のひとつは、カメラを構えるのが飯岡さんの仕事ですが、多分カメラなんてなんでもいいと思っている人でもあるからだと思います。まず、カメラは「今ここにあるものを残してみよう」という気持ちから作られたものだと思いますが、それって被写体の方が大事ということですよね。いつでも、カメラは後からやって来るものとしてあって、飯岡さんとやっているとずっとそういう感覚でいられます。でも感覚が近いと言いながらも、飯岡さんがカメラを構える位置が、すごく新鮮だったりするんです。だからいつもわくわくするんです。

――カメラの位置や構図は飯岡さんにお任せしているんですか?

杉田 カメラをどこに置くかを私の方から言うことはあまりないです。と言いながら、それもこの『ひかりの歌』の章によっては変化しています。カット割りに関しては、今回の撮影中に、私から提案したり相談したりするようになりました。4章は特に相談を重ねながらやっています。長い車内のシーンは、私と飯岡さんの映画作りのなかで、はじめて2カメ撮影を提案した場面です。

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ひかりの歌 ( 2017年/日本/カラー/スタンダード/153分 )
出演:北村美岬,伊東茄那,笠島智,並木愛枝,廣末哲万,日高啓介,金子岳憲,松本勝,リャオ・プェイティン,
西田夏奈子,渡辺拓真,深井順子,佐藤克明,橋口義大,柚木政則,柚木澄江,中静将也,白木浩介,島村吉典,
鎌滝和孝,鎌滝富士子,内門侑也,木村朋哉,菊池有希子,小島歩美,岡本陽介
監督・脚本:杉田協士 原作短歌:加賀田優子,後藤グミ,宇津つよし,沖川泰平 撮影:飯岡幸子
音響:黄永昌 編集:大川景子,小堀由起子 音楽:スカンク/SKANK カラリスト:田巻源太
写真:鈴木理絵 題字:岸野統隆 配給協力・宣伝:髭野純 宣伝:平井万里子 宣伝デザイン:篠田直樹
配給: GenuineLightPictures 製作:光の短歌映画プロジェクト © 光の短歌映画プロジェクト
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2019年1月12日(土)よりユーロスペースほか全国順次公開

2019/01/15/18:05 | トラックバック (0)
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