インタビュー

荒井 美早 (脚本家) 映画『空の瞳とカタツムリ』について【2/3】

2019年2月23日(土)池袋シネマ・ロサほか全国順次公開

公式サイト 公式twitter 公式Facebook (取材:わたなべりんたろう)

『空の瞳とカタツムリ』場面画像
――役者さんについてはどう思われました?

美早 役者さんたちの演技は本当に素晴らしかったです。役者さんに恵まれた映画です。

――中神さんは映画での演技は未経験でしたが映画の中では震えるような感じでやっていましたね。でも挑むような表情もあって、そこが良かったです。

美早 十百子役を選ぶオーディションに同席していたのですが、中神さんの順番は一番最後で一番良かったです。特に縄田さんとの掛け合いがとても良く、プロデューサーと監督に「中神さんがいい」「中神さん以外ありえない」と言い続けました(笑)。

――縄田さんと中神さんの相性というか化学反応についても聞かせてください。

美早 オーディションに来てくださった他の役者さんたちは2人の関係性に強弱を付けようとしていたけど、中神さんだけは違いました。「対等にぶつかってきた」と縄田さんが先の映画芸術で言っていましたが、私も同じような印象を受けました。実際にオーディションを見ていて感じたのですが、他の人たちの演技は潔癖症であることを負い目に感じているようなものが多かったです。その中で中神さんは野良猫みたいな、ご飯をあげてもひっかいてくるような、目がギラギラしているのがいいなと思いました。

――大友鏡一を演じた藤原隆介さんはいかがでしたか? こちらにとっては中神さんと共に今作で発見した方でした。

美早 素晴らしかったですね。撮影当時十代だったとは信じがたいです。度胸があるし、愛されキャラだし。出ていただいて感謝しています。これからどんどん活躍する方だと思います。

――同感です。今作は大島弓子や高野文子といった少女漫画の世界であるという話も聞きましたが、自分はファンタジーの要素はあまり感じませんでした。海辺に小旅行のようなものに行くシーン以降はファンタジーというかフィクショナルな面も感じましたが、総体的に生々しさの方が勝ったという感じです。敢えて言うと、こちらがというのではなくて女性が恋愛的にも精神的にもギシギシ格闘している映画というのは、男性はあまり観たいタイプの映画ではないのかもなとも思いました。例えば、アダルトビデオのレズビアンのシーンでも男性は女性同士の性交渉よりもきれいな裸が見たいという願望の方が強い。その点についてはいかがでしょうか?

美早 少女漫画に血を通わせるには生々しくなるしかなかったんですね。でも斎藤監督は大島弓子さんがとても好きなのでロマンチックさは残っていると思います。

――今作の感想は女性に聞いてみたいですね。(そばにいた今作の女性の宣伝スタッフの方に)いかがでしたか?

『空の瞳とカタツムリ』場面画像2スタッフの方 少女漫画と聞いて腑に落ちました。

――そうなんですね。この映画の女性の主人公二人のセックスはいわゆるレズビアンのセックスではないですよね?

美早 セックスという形を取るしかなかった会話です。男女もそうかもしれないですが、大人が会話以上に分かり合おうとしたらセックスしかないですよね。

――その感覚は日本人にあうのでしょうか。日本人はわざわざ行動で示さなくても「あうんの呼吸」で分かり合うという感じがありますが。

美早 あうんの呼吸で男女がやっていることを女性同士でやるとこういう形になる、ということなのではないでしょうか。

――なるほど、そうなんですね。今作は女性二人のコミュニケーションだったりの対相手の感情のピークがよく描かれていますよね。

美早 例えば、田辺聖子さんの作品のように「精神的なレズビアン」、いわゆる「エス(シスターの頭文字)」は今も女子校では普通にあったりしますし、特別なことではないと感じています。

――そのことは複数の友人の女性から聞いたことがあります。周りにレズビアンの方がいたとかご自身が経験したということはあったのでしょうか?

美早 ないです。そもそも、肉体的なものと精神的なものの差はあるのでしょうか……?

――それに対して自分の経験から答えると、若い時は体のセックスがしたい訳ですよね。きれいな顔とか体がいいとか。でも、だんだん変わっていきますよね。好きな人とのセックスとそうではないセックスは全然違うので、そういうことにはあまり興味がなくなっていきます。

美早 そういうことだと思います。その意味で言うと、男女はあまり関係ないのかもしれないですね。好きな人は女だったということです。

――トット・ヘインズの『キャロル』がそうですよね。こちらは大好きな作品です。恋愛の感情の機微がとてもよく描かれていて強く共感しました。

美早 『キャロル』の原作者のパトリシア・ハイスミスはカタツムリの飼育が趣味だったそうです。最近知って、意外な共通点だなと思いました。

1 2 3縄田かのんさん&中神円さんインタビュー

空の瞳とカタツムリ (2018年/日本/カラー/DCP/5.1ch/120分)
出演:縄田かのん,中神円,三浦貴大,藤原隆介,利重剛,内田春菊,クノ真季子,柄本明
監督:斎藤久志 脚本:荒井美早 企画:荒井晴彦 タイトル:相米慎二
プロデューサー:成田尚哉 製作:橋本直樹,松枝佳紀 撮影:石井勲 音楽:阿藤芳史 照明:大坂章夫
録音:島津未来介 美術:福澤裕二 編集:細野優理子 衣装:江頭三枝 ヘアメイク:宮本真奈美
整音:竹田直樹 音響効果:井上奈津子 助監督:岸塚祐季 制作担当:三浦義信
製作:ウィルコ/アクターズ・ヴィジョン 配給:太秦 © そらひとフィルムパートナーズ
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2019年2月23日(土)池袋シネマ・ロサほか全国順次公開

2019/02/24/20:02 | トラックバック (0)
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