荒井 美早 (脚本家) 映画『空の瞳とカタツムリ』について【3/3】

2019年2月23日(土)池袋シネマ・ロサほか全国順次公開

公式サイト 公式twitter 公式Facebook (取材:わたなべりんたろう)

『空の瞳とカタツムリ』場面画像3
――シンクロニシティってありますよね。意識していなくても事象が繋がってしまうという。カタツムリはエロスの象徴としても捉えられています。英語では“Snail”ですが、海外では歌詞にも出てきます。こちらは歌詞で覚えた英単語の1つです。スマッシング・パンプキンズに“Snail”という曲があったり、“Nail”と“Snail”を掛けてみた他のアーティストの曲もあったと思います。やはりウェッティなイメージがあるのでしょうか。

美早 “Snail”と“Girl”を検索するといろいろ出て来ます。粘液などが性的なイメージを喚起させるのかも。

――そうなんですね。女性はBLが好き方もいますが、BLで無味無臭みたいな人しか出てこないのを見ると、男の立場からはそんなきれいなものではないんいなあと思ってしまいます。

美早 それは男性が女性同士のセックスにおいて性交渉が見たいのではなく、綺麗な裸が見たいというのと同じですよね。

――そうですね。いわゆるストレートな女性の中には女性同士で性器を触れ合う、ということに違和感を覚える人もいるようですが。

美早 わたしは男女でも女性同士でも、やはり精神的なもので物足りないと思ったらセックスしかないのではないかと思っています。

――その感覚は日本人には直ちにあてはまるのかは、こちらは分からないです。セックスがコミュニケーションとして描かれるのは映画でも漫画でも題材の1つですが、レズビアンのセックスを描いたものとしては『アデル、ブルーは熱い色』がありますよね。あの映画は2人の関係が壊れて行く過程が描かれていて良かったのですが、今作『空の瞳とカタツムリ』は物語に先があるような気がしています。その点についてはいかがですか?

美早 当初はハッピーエンドだったのですが、初期段階でそうではなくなってしまいました。『キャロル』でも『アデル、ブルーは熱い色』でもない終わり方がいいかなと。終わり方に関しては「女性同士だからこう」、「男女だからこう」ということはないです。

『空の瞳とカタツムリ』場面画像4
――出会って傷付け合って別れるという普通のフォーマットの映画ですよね。今作も然りで普通の映画は3幕構成になっていますが、自分はいつも4幕目があったらいいのに、と思っています。『チェンジリング』や『ミスティック・リバー』のように、それを実践しているのがイーストウッドですが、この映画も4幕があったのでしょうか。普通の映画に収めようとしてその部分は切ってしまったのかなとも思いました。時間の問題もあるし、観客はそこまで観たがっていないということも考慮したのかとも。

美早 そこは難しいところですよね。ただ、実家に戻った夢鹿が十百子の元に戻って来る シーンは強いて言えば4幕なのかなという気もします。

――『君と歩く世界』で監督のジャック・オーディアールにインタビューをしたことがあるのですが、結末はアンハッピーエンドにするつもりが撮影途中でもっと幸せなニュアンスを出した方がいいのではないかと思って結末を変更したとのことでした。彼のやり方は、まずは自分が好きに書いてから、次に撮影用に第三者を入れて書いて、現場で書いてと実質的に脚本は3回書くと言っていました。ところで、今作で言い回し、ニュアンスなど、セリフはこだわったところはありますか?

美早 父の影響かと思うのですが、読み物としてのシナリオにこだわらざるを得ないところもあります。だから、脚本単体として読み物としても楽しめるものをという気持ちはあります。

――普通の人はシナリオを読まない、読む機会があまりないですから、読む機会が会った時に読み物としても楽しめるのはとても良いことだと思います。では、公開されて観るお客さんに向かって最後に一言お願いします。

美早 今作は合う人と合わない人がいるとは感じていますが、こういう映画が一本ぐらいあっていいのではないかと思ってます。特に20代から30代の女性の方に観て欲しいです。

縄田かのんさん&中神円さんインタビュー

( 取材:わたなべりんたろう 取材場所:太秦 協力:熊野雅恵)

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空の瞳とカタツムリ (2018年/日本/カラー/DCP/5.1ch/120分)
出演:縄田かのん,中神円,三浦貴大,藤原隆介,利重剛,内田春菊,クノ真季子,柄本明
監督:斎藤久志 脚本:荒井美早 企画:荒井晴彦 タイトル:相米慎二
プロデューサー:成田尚哉 製作:橋本直樹,松枝佳紀 撮影:石井勲 音楽:阿藤芳史 照明:大坂章夫
録音:島津未来介 美術:福澤裕二 編集:細野優理子 衣装:江頭三枝 ヘアメイク:宮本真奈美
整音:竹田直樹 音響効果:井上奈津子 助監督:岸塚祐季 制作担当:三浦義信
製作:ウィルコ/アクターズ・ヴィジョン 配給:太秦 © そらひとフィルムパートナーズ
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2019年2月23日(土)池袋シネマ・ロサほか全国順次公開

2019/02/24/20:03 | トラックバック (0)
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