インタビュー
五十嵐匠監督『二宮金次郎』

五十嵐 匠 (監督) 映画『二宮金次郎』について【2/5】

2019年6月1日(土)より東京都写真美術館ホールにて公開ほか全国順次公開

公式サイト 公式twitter 公式Facebook (取材:深谷直子)

――そのように企画を立てて、その後どうやってこの映画を作っていったのでしょうか?

五十嵐 ほとんどの製作資金は自分が集めました。途中からプロデューサーとして永井正夫さんが入ってくださいましたが、映画を作るよりも金集めがまず大変でした。

――いつから動き始めたんですか?

五十嵐 4年前です。映画のクレジットに名前は載せていないけど、実質的に僕もプロデューサーなんです。今回はまるで3本映画を作ったような苦労でした。お金を集めるところで1本映画を作るぐらいの苦悩を味わい、クランクインして仕上げるまでで2本目の苦労、3本目が今、観客に届けるまで。大変です、今までは監督だけで、こんなことはやったことがない(苦笑)。でも素晴らしい映画人たちが集まってくれました。永井正夫さんは篠田正浩監督とずっと一緒にやっていたプロデューサーです。撮影の釘宮慎治さんは『蝉しぐれ』(05)などのカメラマンで、照明の山川英明さんは今村昌平監督の作品をやっていた方で、そういう一流の映画人たちが集まってくれて、ある程度お任せすることができました。

――キャストにも実力ある俳優さんが揃いましたね。二宮金次郎役に合田雅吏さんを選ばれたのはどうしてですか?

『二宮金次郎』場面画像1 『二宮金次郎』場面画像2 『二宮金次郎』場面画像3 五十嵐 金次郎は百姓上がりの武士という難しい役柄なんだけど、合田さんには品があって、泥にまみれても凛としていられるだろうと。また、小田原出身だというのが大きかったですね。役者生命を賭けてやってもらえないかなと思った。実際燃えていました。クランクインは新勝寺の断食のシーンで、21日間断食するので7キロぐらい体重を落としているんですが、百姓だからただのやせっぽちじゃダメで、骨格がないとおかしい。落とし方が難しいんですが、しっかり作ってきて、そのシーンを撮影したあと4キロ太ってくれました。

――金次郎の妻のなみ役の田中美里さんもよかったですね

五十嵐 田中さんには『みすゞ』で主役をやってもらって、そのとき20代だったんですが、その後もいろいろご一緒したいなと思っていました。今回やって、相当芝居が変わって技術的にもすごい人になったなというのを感じました。田中さんも多分なみ役のために太ってきてくれていて、演技からも母性がにじみ出ていました。泥をご自分の顔に塗りつけるシーンは田中さんの案なんです。リハーサルのときに彼女から出てきたもので、合田くんのほうも、そんなことをされるとは思っていなかったから、ちょっと「なんだろう?」という感じの面白い芝居になっている。あのシーンは豪雨のシーンだからアフレコしているんだけど、あそこだけ大事だから声も全部シンクロ(同時録音)にしました。リアルなんです。

――五平役の柳沢慎吾さんにも驚きました。軽妙なだけではなく渋さがあって、時代劇に見事にハマっていました。

五十嵐 僕は川島雄三監督の作品が大好きなんですが、コメディであってもフランキー堺さんだとかが演じる役には切なさとか悲しみが出るじゃないですか。柳沢さんは、川島監督の作品のキャラクター的な、悲しみを背負った役ができるんじゃないかな?と前から思っていました。天涯孤独で誰からも声をかけてもらえず、名前も呼んでもらったことがなく、貧乏でカルシウムが摂れないから背中が曲がっていて、でもお腹の中にはすごく純粋なものを持っている。ドストエフスキーの『白痴』という小説は主人公の「無垢さと善良さ」を描く作品なんだけど、五平の「なんで泣いているのかわからない」という台詞はそれなんです。純な、黒澤明監督の『デルス・ウザーラ』(75)のデルスのような。ああいうタイプなんです。五平は実在の人物ですが、どんな人だったかはわからないからこちらで考えました。金次郎はすごい人だと思うけど、自分としてはこの映画では五平と豊田が好きです。

――豊田も本当に人間臭くて共感できました。悪役として登場し、劇的に変化する、複雑で面白い役ですね。

五十嵐 成田浬さんは中剃りを本当に剃りました。カツラじゃないんです。だからプライベートでは帽子なしでは外を歩けなくなっちゃったけど(笑)、それぐらい気概を持ってくれたんでしょうね。

1 2 345

二宮金次郎 (2019 / 日本 / カラー / 113分 / アメリカンビスタ( 1:1.85)/ 5.1ch)
出演:合田雅吏,田中美里,成田浬,榎木孝明(特別出演),柳沢慎吾,田中泯,犬山ヴィーノ,長谷川稀世,
竹内まなぶ (カミナリ ),石田たくみ (カミナリ )
監督: 五十嵐匠 脚本: 柏田道夫 原作: 「二宮金次郎の一生」(三戸岡道夫 栄光出版社刊)
音楽: 寺嶋民哉 プロデューサー:永井正夫 撮影:釘宮慎治 照明:山川英明 美術:中澤克己
録音:瀬川徹夫 編集:宮島竜治 衣装:大塚満 メイク:宮本真由美 助監督:羽石龍太郎
製作: 映画「二宮金次郎」製作委員会 協力:全国報徳研究市町村協議会 製作プロダクション:株式会社ストームピクチャーズ 配給:株式会社映画二宮金次郎製作委員会 © 映画「二宮金次郎」製作委員会
公式サイト 公式twitter 公式Facebook

2019年6月1日(土)より東京都写真美術館ホールにて公開
ほか全国順次公開

2019/05/30/21:12 | トラックバック (0)
インタビュー
  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Googleブックマークに追加
  • web拍手 by FC2

主なキャスト / スタッフ

記事内容で関連がありそうな記事
キャスト&スタッフで関連がありそうな記事

TRACKBACK URL:

メルマガ購読・解除
INTRO 試写会プレゼント速報
掲載前の情報を配信。最初の応募者は必ず当選!メルメガをチェックして試写状をGETせよ!
アクセスランキング
新着記事
 
 
 
 
Copyright © 2004-2019 INTRO