インタビュー
高瀬將嗣監督『カスリコ』

高瀬 將嗣 (監督) 映画『カスリコ』について【2/4】

2019年6月22日(土)よりユーロスペースほか全国順次公開

公式サイト 公式twitter 公式Facebook (取材:深谷直子)

高瀬將嗣監督画像2
――勝負の世界の緊迫感があって面白かったです。手本引きのルールがわからなくても惹き込まれていきました。

高瀬 そこもポイントのひとつなんですね。ルールは単純ながらこれがすごく難しいんです。親が出す伏せた6枚の札のうちの1枚の番号を子が当てるというそれだけのやりとりなんですけど、札の張り方にも、お金の置き方にも色々な所作があって、なおかつ配当がことごとく違うわけですよ。例えば2倍、3倍といった整数なら比較的楽なんですけど、1.4倍とか0.6倍とか、端数が難しいんですよね。そうしたお金のやりとり、出し入れがもたつくとお芝居として成立しないから、「合力」という賭場の世話役を演じた高瀬道場のメンバーが、10日間ぐらい稽古場に籠り自主トレをして臨みました。俳優部のみなさんもリハーサルで、札の括り方から置き方まで何べんも練習してくれて、遊び慣れている雰囲気が出ていましたね。

――石橋保さんを主演に選ばれたのはどうしてですか?

高瀬 保さんとはVシネマでアクション殺陣師として何度かご一緒していました。Vシネマというのは連作で2話撮り・3話撮りというのが多いので、そうすると台本を持ちながら現場でその都度対応する俳優さんって少なくないんですよ。でも保さんは現場に台本を一切持ってこなかった。台詞が全部入っているんです。もちろん立ち回りもうまかったんですが、お芝居もしっかりしていて、「いつか自分の監督作にも出てほしいなあ」と思っていました。今回の主役探しで、私が保さんも候補に入れて原作者である國吉さんにご覧に入れたら、「彼がいい」とピンポイントで推薦してくれたので、そこから先は順調に決まりました。浮き沈みのある役なんですが、ステレオタイプな芝居でデフォルメするようなことが一切ないんですよ。また、引きの芝居と寄りの芝居の演じ分けができて、アップのときはチラリと目だけで自分の情緒を描ける。男優さんは歳を重ねるにつれてよくなるケースが少なくありませんから、これからの保さんに注目したいですね。

――吾一を支える荒木役を演じた宅麻伸さんのよさは?

高瀬 彼も歳をとるごとに魅力が増していますね。私とは同い年ですがエラい違い(笑)。普段は非常に軽妙洒脱な方なんですけど、今回の荒木五郎は重たければ重たいほど主人公を支える説得力が増すわけです。重厚な適役でした。

――少し年齢が下の、カスリコ仲間を演じた山根和馬さんもよかったです。

高瀬 山根さんは、前作で高校生アクション(『昭和高校最強伝 國士参上!!』・16)を撮ったときの主演の一人でした。やたらケンカの強い番長といった役どころでしたが、その山根くんに、まわりに翻弄されつつも上昇志向のある若い衆をやってもらったらどうかな?と考えてお願いしました。彼のキャリアの中で、得意なアクションもダンスもない役は初めてだと思いますが、とてもチャーミングに演じてくれました。もう一人のカスリコ仲間の鎌倉太郎さんは、普段の舞台ではコメディアンかと見まごうような可笑しいお芝居をする方なんですが、今回は非常に屈折した役をきっちり演じてくれたので、さすが無名塾出身だなあと懐の深さに納得しました。

――意外性のあるキャストでは、西山浩司さんもお久しぶりでしたが、いい演技を見せてもらいました。
『カスリコ』場面画像2 『カスリコ』場面画像3

高瀬 西山くんにも、本作では逆狙いの演出を試みました。イモ欽トリオのワルオくんとか、「太陽にほえろ!」のDJ刑事というアクティブな刑事を演じた西山くんですが、今回はそうではない、難しい役どころをしっかりと表現してくれました。追い詰められてニッチもサッチもいかなくなって、カスリコに借金の保証人になってくれるよう頼む。切羽詰まる感じが見事でした。

――名優ぞろいですよね。ひとりひとりキャラクターが立っていて、群像劇のようでした。

高瀬 もともと群像劇、群衆劇が私の好みなんですよ。単独主演でグイグイと、という話よりも大勢がワサワサしているもの、それこそ「仁義なき戦い」のような、「忠臣蔵」のような、色目の変わったものでは「社長シリーズ」が大好きなんです。森繁久弥単独主演みたいな感じですけど、全員キャラが立っていてグループショットなんかは最高に面白い。今回も、賭場のシーンでは主要キャストがみんな出ているわけですから、それを意識して撮りましたね。

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カスリコ (2018年/日本/モノクロ/ビスタサイズ/5.1ch/114分)
出演:石橋 保,宅麻 伸,中村育二,山根和馬,鎌倉太郎,金児憲史,高橋かおり,高橋長英,
小市慢太郎,西山浩司,高杉 亘,伊嵜充則,及川いぞう,西村雄正,大家由祐子,池上幸平,服部妙子
脚本:國吉卓爾(『カスリコ』第26回新人シナリオコンクール 特別賞 大伴昌司賞準佳作)
監督:高瀨將嗣 音楽:辻 陽 制作:臼井正明 撮影:今泉尚亮 美術監督:若松孝市 照明:守利賢一
録音:藤丸和徳,清水雄一郎 装飾:井隈啓太 記録:柳沼由加里 配役:空閑由美子 助監督:山本亮
制作担当:古森正泰 制作協力:シネムーブ 製作:珠出版 配給:シネムーブ/太秦 宣伝:太秦
© 2018 珠出版
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2019年6月22日(土)ユーロスペースほか全国順次公開

2019/06/22/22:22 | トラックバック (0)
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