#　40　／2001.8.5

第35回

サマーストラグル 2001 (8)

猛暑の7.31初号を終え試写室のロビーでスタッフに挨拶していると、田口トモロヲ氏美人Mg.（編注：マネージャー）の太田さんがオレを見つけるなり号泣して抱きついてきた。一瞬、出来に激怒してるのかと焦り捲る。

「か、か‥監督…うぐっ、うぐぐ…」

言葉にならない。取り敢えず少しは気に入って貰えた…。あっ、田口さんも笑ってるよぉ、しかもすっかり元どおり小さくなってるよぉ…。強気なオレもさすがにグッと来る…、良かった、怒られなかった。

仙頭Pr.（編注：プロデューサー）が強くオレの手を握る。
「ありがとう！必ずヒットさせるっ！」

「はいっ！宣伝がんがん頼みます！」

…この人も上がるまで不安だったろうな…、だって初めてだもんなオレ。よくここまで辿り着いたよな…、周りは役に立たないしさ、ナンカ言うと拒否されるしさ、映画村の住人にはなれなかったな…、せめて客人として扱って欲しかったな…。

この数か月の異種格闘技戦の戦い絵巻を、ピーススーパーライトの煙の向こうに見つめていたら、担Pr.（編注：担当プロデューサー）福山が涙目で擦り寄ってきた。感想を言ってくるのかと思ったら…、
「監督！ワールドプレミアの件ですが…」

はぁ？ワールドナンチャラ って…、なんだソレ?

後から肩を叩く男…、
「海外渉外担当Pr.林ですっ！」
英語訛りの日本語でハヤシはにやりと笑った。新たなる闘いの予感がする…。