#　101　／2002.3.7

第96回

「春告鳥」編（1）

朝から屋上にいる。
公演前でフツーに眠い小林賢太郎氏はペンギン語のレッスンに余念が無い。オレは迷路のよーな控え室までの道を歩きながら肺が痛いし吐き気がするしで、この小雨混じりでさらにやる気が失せていく。

フツー撤収でしょ、この空じゃ…と思っても予算が無いからやれないか？とさっきからしつこく聞かれる。

だからできないって！ディレクター100人に聞きました！この空で回す人？…シーン…ねっ。いないってひとりも。
諦めよーよ。いー加減…。

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三月になり暖かい日と寒い日が交互に訪れる。今日は暖かい。

スタジオが終わりぶらぶらと六本木に向け歩いていたら洒落た家具屋があり、覗いたら以前より目を付けていた椅子が売っていた。

今の椅子は近所の古道具屋で手に入れたもので気に入っているのだが、何せ長時間座るのに向いてない。店員の勧めるままにあれこれいじっているとやはり具合がいい。さすがドイツの製品。こーいうの開発するとさすがだ。

買い控えしない宣言したことだしここはひとつ…とカードを取り出して値段を聞いてかなりドン引く。えっ、なんで椅子がこんなにするの？！

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つらかった…ペンギン…

精神安定剤を編集室で二錠飲んだのは初めてだ…
昨夜はダビング中に一錠…
飲まないと誰か殴りそうで自分がコントロールできないの。堪え性ねーよなー。

しっかし全く相性の悪い人っているんだなぁ…そいつが口開くたび殺意芽生えたもんなぁ…

はぁ…オレは何とか仕事は全うし、ふらふらと築地を歩き東銀座の露地裏のいきつけの鮨屋へ逃げ込む。

「あのー、おまかせで…」

あぁ…旨いよぉ…コハダ…丁寧な仕事…アワビ…あぁ…ヅケ、サヨリ、ヒラメ、タコ、シャコ、トロ、アナゴ、アオヤギ、ウニ、ギョク、…グイグイ攻め込んでくる親方の江戸前鮨…あぁ、脳が溶けていく…。