東北新社SPS部入社。横浜博、名古屋デザイン博などイベント展示映像の制作に関わる。90年よりCM本部に移籍。以降、CMディレクターとして企画・演出。96年より東北新社退社後、フリーランスに。
現在、今秋公開予定映画『MASK DE 41』(マスク・ド・フォーワン)ポスプロ中。
# 12 /2001.3.10
オレの野望がスタートしてから、どれ位になるのだろう。月日のたつスピードは速く、気がつくと、2001年のオレは38歳になる。オレは、T-2000の蝶野と同い年だ。全日の川田もいっしょだ。武藤、三沢は1コ上だ。みんな、腰にベルトを巻いたのに、オレは相変わらず丸腰のまま、今に至っている。ベルトが欲しいか?と聞かれれば欲しいのかも知れない。でも、“アントラー”のフィギュアは、もっと欲しい。
Tという俳優がいる。
はじめは、パンクロッカーだった。エロマンガ家だったこともある。バラエティもかじってみた。テレビドラマもやってみた。
居場所を探して、映画俳優で生きることにした。演技は上手い。しかし不器用だ。オレと2年前、ある仕事を通して出会った。
オレの心はちょっと震えた。
Tという俳優がいる。
今年43才になる。去年の夏、彼はアニマル浜口道場に入門した。レスラーを目指す若いやつらに混じってバーベルを上げはじめた。
2001年2月、Tは、FMW川越道場にいる。リングに上がって何百本と受け身を取った。ロープに振られ脇腹をはらした。
背中は赤くするむけ、Tシャツに血がにじんだ。
2000年5月某日、下北沢のはずれのカフェで朝方、オレはTに頼んだ。
「20kg、でかくなってくれませんか?」
「いいよ。」
Tは、ワインで酔っていたが、しっかりとした口調で言った。
俳優T、それは田口トモロヲである。
タッグマッチは、まだ、はじまったばかりだ。