東北新社SPS部入社。横浜博、名古屋デザイン博などイベント展示映像の制作に関わる。90年よりCM本部に移籍。以降、CMディレクターとして企画・演出。96年より東北新社退社後、フリーランスに。
現在、今秋公開予定映画『MASK DE 41』(マスク・ド・フォーワン)ポスプロ中。
# 19 /2001.4.24
4月某日、撮影終了後、製作発表記者会見なるものを初体験した。
100名を越す記者たちがフラッシュ、バンバンたいている。オレはもうすでに引いてた。何だ!?これ?まるで映画の記者会見みてえじゃねえか。は、恥ずかしい。オレは、レイ・ミスラリオ Jr.のマスクを被り、4th AD のナガヤに言う。
「ひも、しばって、強くね。」
「ハ、ハイ。」
自主制作上がりのナガヤは、この晴れがましさにすっかり呑まれている。横を見るとこの大事な会見に30分も遅刻した仙頭Prが、オレのマスクを見て、ニヤニヤしている。
「狙い?まっ、中身が良けりゃ、何でもいーけど。」
「は、はい。軽く狙ってます。はずしたら、すいません!」
マスクが少しサイズ合わなくて、煙草がうまく吸えない。煙を吐き出すと逆流してくる。
出席者は、オレ、仙頭Pr、田口トモロヲ、松尾スズキ、FMWからハヤブサ、元川恵美、ミスター雁之介。
いきなり仙頭Pr、記者たちを見渡し、叫ぶ。
「はっきり、この作品で、カンヌ映画祭グランプリ、狙ってますっ!!」
「えっ?」
出席者一同、凍っている。だって、これ、ホームドラマでコメディで、プロレスだよ。カンヌって‥。
「来年、ニースでプロレス興業も合わせてしてみたいと思ってます!!
「えっ?」
聞いてないし。絶対ムリだし。カンヌは熱海みたいだし。
「えー、ゆくゆくは、この作品でハリウッドでのリメイクを考えてます。事実すでに私のところにいくつか話も来ております。」
「えっ?」
来てねーって。今日、100フィートくらいしかまだ回してないんだから
「以上!!」
オレたち5人を残し、仙頭氏は成田へ向かった。
何なんだ、このテンション。
記者が田口トモロヲに質問を飛ばして、ていねいに答えている。そう、これでいーんだ。らしいじゃねーか。
ところが、松尾スズキに質問が回ると、急に会見場が修羅場に化した。すっかり蛯脇というプロモーターに成りきっている松尾スズキは、マイクをつかむなり荒れ狂って、記者のひとりをグーでぶっている。
「松尾さんっ!!」
オレと田口トモロヲは後ろから松尾スズキをはがい締めにして、会場から外に出す。
「1000万、欲しけりゃ、後楽園来てみろォ!!サブジィロォォオ!!」
宣伝担当の柴田氏が、ヒステリックな声で叫ぶ。
「救急車ーーーーーっつ!!」
こうして、オレの初映画製作記者会見は、終わった。
明日は晴れるのだろーか?
だめかな‥‥。
【編注:この「製作記者会見」の雰囲気は、映像ポップマガジン「ピクトアップ」#11にて読むことが出来ます。アータウンストアにて購入もできますよー】