#　137　／2002.6.24

第132回

「紫陽花の上のカタツムリ」編（9）

6月24日発

大分の外れ臼杵は雨がしとしとしとしと降り続けた。

古い町並みが残るこの小さな町は、まるで時代からとり残されたように静かに雨に濡れている。
スタッフから離れ別行動をする事にしたオレは、傘をさし坂の多い道をぷらぷらと歩いた。

昼時になり腹が減ったので目に付いた小さな庵に立ち寄り精進料理を頂く。
ふぐだ、関さばだと卑しく地元の旨いもん食い散らかしてきた数日を深く反省しつつ、じゅん菜と三ッ葉の冷製の吸い物など啜り松花堂弁当を食べる。

…旨いじゃん！
…滋味深い味わい
…禅じゃん

…三分で食べた。
…物足りない
…今夜は…豊後牛だっ！

　*　*　*

確実に臼杵LOVEに目覚めつつあるオレがいる。
ここで撮りたいという気分ががんがん盛り上がってきている。地元で出会う人たちの温かさに触れるにつけ、地方ロケは地元の人々に愛されてナンボだと本当思う。明日またひと廻りしようと思う。

軒をつたう雨だれを茶屋にぼんやり座り見ていると、何だかすごくゆったりとした気分になるのだ。もう四泊もしてるのだが全然そんな気がしないのが不思議だ。

今夜は懐石を食す。
嫌味のようで申し訳ないが「美味しかった」。
ロケ弁の1000倍くらい。