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特集『溝口健二と成瀬巳喜男』

近松物語お遊さま鶴八鶴次郎

日本映画が誇るふたりの巨匠、溝口健二(1898-1956)と成瀬巳喜男(1905-1969)。 成瀬の生誕100年(2005年)と溝口の没後50年(2006年)を記念した巡回上映が、コミュニティシネマ支援センターと日本各地の上映団体によって行われてきました。
本特集はその上映活動の一環として、彼らのトーキー以降の作品をほぼ製作年代順に平行して上映する試みです。
世界映画史に屹立するふたりの作品が、互いの反射の中に置かれることで、また新たな発見をもたらすことになるでしょう。

溝口健二溝口健二
1898(明治31)年東京本郷湯島生まれ、浅草育ち。20年、日活向島撮影所に入社。田中栄三の助監督を経て、23年、初監督。5作目の『敗残の歌は悲し』(23)で好評を得、探偵映画『813』(23)、表現主義映画『血と霊』(23)、無字幕映画『霧の港』(23)など様々なジャンルに挑戦するが、関東大震災を境に京都に移る。25年、愛人に背中を斬られ新聞沙汰となるも、翌年復帰。『紙人形春の囁き』(26)『狂恋の女師匠』(26)で第一線の監督となる。33年の『滝の白糸』で注目され、36年、脚本の依田義賢と組み、女性の受難を酷薄に描く傑作『浪華悲歌』『祇園の姉妹』を撮り、名声を確立する。戦後は、『西鶴一代女』(52)がヴェネチア国際映画祭国際賞、『雨月物語』(53)と『山椒大夫』(54)が、同映画祭銀獅子賞に輝く。『赤線地帯』(56)を完成した後、1956(昭和31)年8月24日、白血病にて逝去。享年58。

成瀬巳喜男 成瀬巳喜男
1905(明治38)年東京四谷坂町生まれ。20年、工手学校卒後、松竹蒲田に小道具係として入社。22年、池田義信の助監督となる。24年、撮影所長城戸四郎脚本の短篇喜劇『チャンバラ夫婦』で初監督。『蝕める春』(32)で名声を高める。『限りなき舗道』(34)を最後にP.C.L.に移籍。35年『妻よ薔薇のように』で、日本トーキー最高作の評価を得る。37年、千葉早智子と結婚。その後も『歌行燈』(42)、『芝居道』(44)など充実した作品を撮り続ける。戦後は東宝争議などの混乱期を経て、52年、最初の林芙美子もの『めし』で高い評価を得る。55年の『浮雲』は小津も絶賛する最高傑作の誉れも高い。60年、『女が階段を上がる時』『娘・妻・母』がヒット。65年、サスペンス映画『女の中にいる他人』で新境地を開く。67年、体調不良の中、『乱れ雲』を完成。1969(昭和42)年7月2日、直腸癌にて逝去。享年63。

料金
一般=1回券1000円/2回券1800円
アテネ・フランセ文化センター会員=1回券800円/2回券1500円
※アテネ・フランセ文化センター会員入会をご希望の方は登録が必要になります。
登録料:一般1500円 アテネ・フランセ学生1000円
■各回入れ替え制
アテネ・フランセ文化センター

2008年1月22日(火)~2月16日(土)(日曜・月曜休館)

スケジュール
特別講演
1/22(火)17:30~ 大久保清朗(映画研究者) 1/24(木)17:30~ 四方田犬彦(文芸批評家)
1/26(土)16:30~ 葛生賢(映画批評家) 1/30(水)16:30~ 山根貞男(映画批評家)
2/1(金)17:30~ 金井美恵子(作家) 2/5(火)17:30~ 紅野謙介(国文学者)
2/7(木)17:30~ 西山洋市(映画作家) 2/9(土)16:30~ クリス・フジワラ(映画批評家)
2/13(水)17:30~ 坂尻昌平(映画批評家) 2/16(土)16:30~ 木村建哉(映画研究者)
1月22日(火) 16:10~「乙女ごゝろ三人姉妹」1935(75分)監督/成瀬巳喜男
17:30~講演:大久保清朗(映画研究者)
19:00~「マリアのお雪」1935(80分)監督/溝口健二
1月23日(水) 17:10~「マリアのお雪」1935(80分)監督/溝口健二
19:00~「乙女ごゝろ三人姉妹」1935(75分)監督/成瀬巳喜男
1月24日(木) 16:10~「女人哀愁」1937(74分)監督/成瀬巳喜男
17:30~講演:四方田犬彦(文芸批評家)
19:00~「浪華悲歌」1936(71分)監督/溝口健二
1月25日(金) 17:20~「浪華悲歌」1936(71分)監督/溝口健二
19:00~「女人哀愁」1937(74分)監督/成瀬巳喜男
1月26日(土) 15:10~「まごころ」1939(67分)監督/成瀬巳喜男
16:30~講演:葛生賢(映画批評家)
18:00~「祇園の姉妹」1936(69分)監督/溝口健二
1月29日(火) 17:50~「祇園の姉妹」1936(69分)監督/溝口健二
19:30~「まごころ」1939(67分)監督/成瀬巳喜男
1月30日(水) 14:50~「鶴八鶴次郎」1938(89分)監督/成瀬巳喜男
16:30~講演:山根貞男(映画批評家)
18:00~「残菊物語」1939(143分)監督/溝口健二
1月31日(木) 16:00~「残菊物語」1939(143分)監督/溝口健二
19:00~「鶴八鶴次郎」1938(89分)監督/成瀬巳喜男
2月1日(金) 16:00~「三十三間堂通し矢物語」1945(77分)監督/成瀬巳喜男
17:30~講演:金井美恵子(作家)
19:00~「歌麿をめぐる五人の女」1946(74分)監督/溝口健二
2月2日(土) 16:10~「歌麿をめぐる五人の女」1946(74分)監督/溝口健二
18:00~「三十三間堂通し矢物語」1945(77分)監督/成瀬巳喜男
2月5日(火) 15:50~「山の音」1954(95分)監督/成瀬巳喜男
17:30~講演:紅野謙介(国文学者)
19:00~「お遊さま」1951(95分)監督/溝口健二
2月6日(水) 16:50~「お遊さま」1951(95分)監督/溝口健二
19:00~「山の音」1954(95分)監督/成瀬巳喜男
2月7日(木) 15:20~「流れる」1956(116分)監督/成瀬巳喜男
17:30~講演:西山洋市(映画作家)
19:00~「祇園囃子」1953(85分)監督/溝口健二
2月8日(金) 16:30~「祇園囃子」1953(85分)監督/溝口健二
18:30~「流れる」1956(116分)監督/成瀬巳喜男
2月9日(土) 14:20~「娘・妻・母」1960(123分)監督/成瀬巳喜男
16:30~講演:クリス・フジワラ(映画批評家)
18:00~「噂の女」1954(84分)監督/溝口健二
2月12日(火) 16:30~「噂の女」1954(84分)監督/溝口健二
18:30~「娘・妻・母」1960(123分)監督/成瀬巳喜男
2月13日(水) 15:40~「乱れる」1964(98分)監督/成瀬巳喜男
17:30~講演:坂尻昌平(映画批評家)
19:00~「近松物語」1954(102分)監督/溝口健二
2月14日(木) 16:50~「近松物語」1954(102分)監督/溝口健二
19:00~「乱れる」1964(98分)監督/成瀬巳喜男
2月15日(金) 16:40~「乱れ雲」1967(108分)監督/成瀬巳喜男
19:00~「赤線地帯」1956(86分)監督/溝口健二
2月16日(土) 14:50~「赤線地帯」1956(86分)監督/溝口健二
16:30~講演:木村建哉(映画研究者)
18:00~「乱れ雲」1967(108分)監督/成瀬巳喜男
上映タイトル一覧
1月22日(火)/23日(水)
溝口作品
マリアのお雪

マリアのお雪 ( 1935/80分 )

監督:溝口健二 原作:川口松太郎(『乗合馬車』) 脚本:高島達之助 撮影:三木稔 装置:西七郎,斉藤権四郎,西山豊 出演:山田五十鈴,原駒子,夏川大二郎,中野英治

川口松太郎の舞台劇『乗合馬車』が原作。後に溝口が絶賛したフォードの『駅馬車』(39)に先立ちモーパッサンの『脂肪の塊』を西南戦争の時代に翻案した作品。陰影の濃い画面の中、官軍朝倉(夏川大二郎)を巡り、凛とした二人の酌婦おきん(原駒子)とお雪(山田五十鈴)が懊悩する。

( 1月22日(火)19:00~/23日(水)17:10~ )

1月22日(火)/23日(水)
成瀬作品
乙女ごゝろ三人姉妹

乙女ごゝろ三人姉妹 ( 1935/75分 )

監督:成瀬巳喜男 原作:川端康成(『浅草の姉妹』) 脚本:成瀬巳喜男 撮影:鈴木博 音楽:紙恭輔 装置:久保一雄 出演:堤真佐子,細川ちか子,梅園龍子,林千蔵

東宝の前身P.C.L.移籍第一作で成瀬のトーキー第一作。原作の川端康成『浅草の姉妹』を成瀬自ら脚色。浅草六区を舞台に三味線の門付女お染め(堤真佐子)を中心に、家出した姉(細川ちか子)、レヴュー・ガールの三女(梅園龍子)らが、男と金に翻弄される様を描く。浅草ロケの詩情が漂う。

( 1月22日(火)16:10~/23日(水)19:00~ )

1月24日(木)/25日(金)
溝口作品
浪華悲歌

浪華悲歌 ( 1936/89分 )

監督:溝口健二 原作:溝口健二 脚本:依田義賢 撮影:三木稔 装置:久光五郎,木川義人,岸中勇次郎 出演:山田五十鈴,梅村蓉子,大倉千代子,大久保清子

戦前の溝口がリアリズムを確立した現代劇の傑作。依田義賢が初めて脚色に参加。大阪の製薬会社に勤める村井アヤ子(山田五十鈴)は、公金を横領した父を救うために社長の妾になるが、夫人に発覚する……。社長の志賀廼家弁慶と夫人の梅村蓉子、株屋の進藤英太郎と山田の大阪弁の掛け合いも魅力。

( 1月24日(木)19:00~/25日(金)17:20~ )

1月24日(木)/25日(金)
成瀬作品
女人哀愁

女人哀愁 ( 1937/74分 )

監督:成瀬巳喜男 原作:成瀬巳喜男 脚本:成瀬巳喜男,田中千禾夫 撮影:三浦光雄 音楽:江口夜詩 装置:戸塚正夫 出演:入江たか子,北沢彪,佐伯秀男,沢蘭子 ※東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品

P.C.L.と入江たか子プロダクション提携第一作。見合いで裕福な堀江新一(北沢彪)と結婚した広子(入江たか子)は、女中のように働かされ、深夜帰宅する夫を待つばかり。従兄の良介(佐伯秀男)と銀座で会っても叱責される……。『人形の家』のノラのように、やがて広子は凛として決断する。

( 1月24日(木)16:10~/25日(金)19:00~ )

1月26日(土)/29日(火)
溝口作品
祇園の姉妹

祇園の姉妹 ( 1936/95分 )

監督:溝口健二 原作:溝口健二 脚本:依田義賢 撮影:三木稔 装置:今井恵一,堀口庄太郎,岸中勇次郎 出演:山田五十鈴,梅村蓉子,志賀廼家弁慶,久野和子

京都の祇園乙部の芸妓の姉妹を巡って、花柳界の男たちの色と欲、打算と裏切りに満ちたやりとりを、時に滑稽に時に悲劇的に冷徹な距離をもって描き出す屈指の傑作。姉梅吉(梅村蓉子)の愚直に対して、妹おもちゃ(山田五十鈴)の聡明さが輝く。

( 1月26日(土)18:00~/29日(火)17:50~ )

1月26日(土)/29日(火)
成瀬作品
まごころ

まごころ ( 1939/67分 )

監督:成瀬巳喜男 原作:石坂洋次郎(『まごころ』) 脚本:成瀬巳喜男 撮影:鈴木博 音楽:服部正 装置:中古智 出演:入江たか子,高田稔,村瀬幸子,加藤照子 ※東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品

蔦子(入江たか子)の娘である富子(加藤照子)は、母親と親友信子(悦ちゃん)の父親(高田稔)が、かつて恋人だったことを知る……。少女たちが大人の世界を垣間見、揺れ動く心を、眩い田園風景のなか繊細に描いた佳作。

( 1月26日(土)15:10~/29日(火)19:30~ )

1月30日(水)/31日(木)
溝口作品
残菊物語

残菊物語 ( 1939/146分 )

監督:溝口健二 原作:村松梢風(『残菊物語』) 脚本:依田義賢 撮影:三木滋人,藤洋三 音楽:深井史郎 美術監督:水谷浩 出演:花柳章太郎,森赫子,河原崎権十郎,梅村蓉子

五代目尾上菊五郎の養子、菊之助(花柳章太郎)は、己の芸の未熟を伝えた若い乳母お徳(森赫子)に惚れ……。歌舞伎界の因襲の犠牲となる男女の悲劇。『祇園祭』(33)以来参加の三木滋人(稔)のローキー長回しと水谷浩の稠密な美術に瞠目。

( 1月30日(水)18:00~/31日(木)16:00~ )

1月30日(水)/31日(木)
成瀬作品
鶴八鶴次郎

鶴八鶴次郎 ( 1938/89分 )

監督:成瀬巳喜男 原作:川口松太郎(『鶴八鶴次郎』) 脚本:成瀬巳喜男 撮影:伊藤武夫 音楽:飯田信夫 装置:久保一雄 出演:長谷川一夫,山田五十鈴,藤原釜足,大川平八郎

ウェズリー・ラグルスの『ボレロ』(34)を翻案した川口松太郎の第一回直木賞受賞作を原作とする「芸道」もの。三味線の鶴八(山田五十鈴)、新内の鶴次郎(長谷川一夫)のコンビは互いに思いを寄せながらも、芸を巡る諍いから別れてしまう……。

( 1月30日(水)14:50~/31日(木)19:00~ )

2月1日(金)/2日(土)
溝口作品
歌麿をめぐる五人の女

歌麿をめぐる五人の女 ( 1946/74分 )

監督:溝口健二 原作:邦枝完二(『歌麿をめぐる女達』) 脚本:依田義賢 撮影:三木滋人 音楽:大沢寿人,望月太明吉 美術:本木勇 出演:坂東蓑助,田中絹代,坂東好太郎,川崎弘子

歌麿のモデルとなった女たちと愛憎関係をもつ男たちの人間模様、悲喜劇を軽妙に描いた異色作。『芸道一代男』(41)以来、風俗・衣装考証を担当した「大正画壇の奇才」甲斐庄楠音の絵筆による歌麿の観音像にも注目。竹麿、蔦重、一九、京伝らの町人言葉が弾む。

( 2月1日(金)19:00~/2日(土)16:10~ )

2月1日(金)/2日(土)
成瀬作品
三十三間堂通し矢物語

三十三間堂通し矢物語 ( 1945/77分 )

監督:成瀬巳喜男 脚本:小国英雄 撮影:鈴木博 美術:河東安英 出演:長谷川一夫,田中絹代,市川扇升,河野秋武 ※東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品

小国英雄のオリジナル脚本で、戦争末期に撮られた成瀬初の時代劇。紀州家家臣・和佐大八郎(市川扇升)が、父の雪辱を晴らすべく、小杉屋お絹(田中絹代)の支えの下、三十三間堂での通し矢八千本に挑む様を描く。大八郎を導く謎の師匠勘兵衛(長谷川一夫)も魅力的。

( 2月1日(金)16:00~/2日(土)18:00~ )

2月5日(火)/6日(水)
溝口作品
お遊さま

お遊さま ( 1951/95分 )

監督:溝口健二 原作:谷崎潤一郎(『蘆刈』)脚本:依田義賢 撮影:宮川一夫 音楽:早坂文雄 美術:水谷浩 出演:田中絹代,乙羽信子,堀雄二,柳永二郎

谷崎潤一郎の「蘆刈」を依田義賢が脚色。資産家の未亡人お遊さま(田中絹代)と妹のお静(乙羽信子)の見合いの相手慎之助(堀雄二)との奇妙な三角関係の愛の顛末を艶麗に描く。溝口後期の傑作を担当する宮川一夫の撮影、『雪夫人絵図』(50)に続く早坂文雄の音楽、甲斐庄楠音の衣装にも注目。

( 2月5日(火)19:00~/6日(水)16:50~ )

2月5日(火)/6日(水)
成瀬作品
山の音

山の音 ( 1954/95分 )

監督:成瀬巳喜男 原作:川端康成(『山の音』) 脚本:水木洋子 撮影:玉井正夫 音楽:斉藤一郎 美術:中古智 出演:原節子,山村聰,上原謙,杉葉子

「夫婦の危機」ものの一つ。『乙女ごゝろ三人姉妹』『舞姫』(51)に続く川端康成原作だが、当時未完のため結末は脚色の水木洋子の創作。鎌倉の中流家庭を舞台に、舅(山村聰)と息子の嫁(原節子)、愛のない夫(上原謙)の心の葛藤を描く。

( 2月5日(火)15:50~/6日(水)19:00~ )

2月7日(木)/8日(金)
溝口作品
祇園囃子

祇園囃子 ( 1953/85分 )

監督:溝口健二 原作:川口松太郎(『祇園囃子』) 脚本:依田義賢 撮影:宮川一夫 音楽:斉藤一郎 美術:小池一美 出演:木暮実千代,若尾文子,河津清三郎,進藤英太郎

『祗園の姉妹』の戦後版ともいうべき魅力的な小品。芸者美代春(木暮実千代)を頼って来た昔の仲間の娘栄子(若尾文子)は、借金をして舞妓としてお披露目する……。二人の芸者を巡り男たちの欲得が渦巻く。汗臭い河津清三郎ら男たちの嫌らしさに対してアプレ芸者若尾のドライな美貌が輝く。

( 2月7日(木)19:00~/8日(金)16:30~ )

2月7日(木)/8日(金)
成瀬作品
流れる

流れる ( 1956/116分 )

監督:成瀬巳喜男 原作:幸田文(『流れる』) 脚本:田中澄江,井手俊郎 撮影:玉井正夫 音楽:斉藤一郎 美術:中古智 出演:田中絹代,山田五十鈴,高峰秀子,岡田茉莉子

東京柳橋の芸者置屋「つた屋」を舞台に女中の梨花(田中絹代)の視点で芸者衆の人間模様を描く。借金を返済できない女将のつた奴(山田五十鈴)は、お浜(栗島すみ子)に泣きつくが……。滅び行く花柳界に生きる女の哀感が滲む。豪華女優陣の競演、中古智の置屋通りのオープンセットも見もの。

( 2月7日(木)15:20~/8日(金)18:30~ )

2月9日(土)/12日(火)
溝口作品
噂の女

噂の女 ( 1954/84分 )

監督:溝口健二 脚本:依田義賢,成沢昌茂 撮影:宮川一夫 音楽:黛敏郎 美術:水谷浩 出演:田中絹代,大谷友右衛門,久我美子,進藤英太郎

京都の島原で置屋兼茶屋を一人仕切る初子(田中絹代)の娘雪子(久我美子)は、家業故に失恋し自殺未遂の末、東京から帰還する……。黒セーターにオードリー・ヘップバーン風の短髪で、和装の女中たちの間を闊歩するアプレ娘の雪子と母の愛人の若い医者との三角関係。色街の女の哀しみが滲む。

( 2月9日(土)18:00~/12日(火)16:30~ )

2月9日(土)/12日(火)
成瀬作品
娘・妻・母

娘・妻・母 ( 1960/123分 )

監督:成瀬巳喜男 脚本:井手俊郎,松山善三 撮影:安本淳 音楽:斉藤一郎 美術:中古智 出演:原節子,高峰秀子,三益愛子,森雅之

東宝のスター女優を揃えた総花的な家族劇。撮影は前作までの玉井正夫から、『乱れる』まで続く安本淳に変更。老いた母親(三益愛子)と長男(森雅之)、その妻(高峰秀子)、出戻りの長女(原節子)など兄弟姉妹、配偶者、叔父を絡めた金銭関係が交錯し、やがて家の解体に直面する。

( 2月9日(土)14:20~/12日(火)18:30~ )

2月13日(水)/14日(木)
溝口作品
近松物語

近松物語 ( 1954/102分 )

監督:溝口健二 原作:近松門左衛門(『大経師昔暦』) 劇作:川口松太郎(『おさん茂兵衛』) 脚本:依田義賢 撮影:宮川一夫 音楽:黛敏郎 美術:水谷浩 出演:長谷川一夫,香川京子,南田洋子,進藤英太郎

近松の三大姦通物の一つ「大経師昔暦」を川口松太郎が劇化したものを依田義賢が脚色。大経師の後妻おさん(香川京子)と手代の茂兵衛(長谷川一夫)の許されざる愛の逃避行。早坂文雄の下座音楽、鳥、風、波の音を擬音で再現した大谷巌の録音が、類稀な音響的時空を醸成し、二人の道行きを彩る。

( 2月13日(水)19:00~/14日(木)16:50~ )

2月13日(水)/14日(木)
成瀬作品
乱れる

乱れる ( 1964/98分 )

監督:成瀬巳喜男 脚本:松山善三 撮影:安本淳 音楽:斉藤一郎 美術:中古智 出演:高峰秀子,加山雄三,草笛光子,白川由美

清水の酒屋を切り盛りする未亡人(高峰秀子)と東京の会社を辞めて帰郷した亡夫の弟(加山雄三)が、大規模小売店の進出で困窮する店を再建しようとするが……。時代の変遷の中での商店経営という成瀬的主題を背景としつつ、許されざる恋愛が、巧みな視線の交錯劇を経て、温泉場での終幕へと加速する。

( 2月13日(水)15:40~/14日(木)19:00~ )

2月15日(金)/16日(土)
溝口作品
赤線地帯

赤線地帯 ( 1956/86分 )

監督:溝口健二 原作:芝木好子(『洲崎の女』)※篇中一部分 脚本:成沢昌茂 撮影:宮川一夫 音楽:黛敏郎 美術:水谷浩 出演:京マチ子,若尾文子,木暮実千代,三益愛子

売春禁止法案国会上程の最中にそれを題材とした溝口の遺作。吉原の「夢の里」で働く五人の女、利発な若尾文子や奔放な京マチ子、発狂する三益愛子、結核の夫と子供を抱える木暮実千代らの複雑な人間関係の交錯を描く。黛敏郎の物議を醸した音楽が、この酷薄な世界に不気味に調和する。

( 15日(金)19:00~/16日(土)14:50~ )

2月15日(金)/16日(土)
成瀬作品
乱れ雲

乱れ雲 ( 1967/108分 )

監督:成瀬巳喜男 脚本:山田信夫 撮影:逢沢譲 音楽:武満徹 美術:中古智 出演:司葉子,加山雄三,草笛光子,森光子

夫を交通事故で失った妻(司葉子)が、加害者の会社員(加山雄三)と逢瀬を重ねる内に愛が芽生える……。山田信夫のオリジナル脚本。哀感迫る武満徹の音楽も秀逸。十和田湖畔の俄雨の冷たさ、病床の加山と司の手が触れ合う一瞬のときめき。逡巡する二人の行く末をただ凝視するほかない成瀬の遺作。

( 2月15日(金)16:40~/16日(土)18:00~ )

料金

一般=1回券1000円/2回券1800円
アテネ・フランセ文化センター会員=1回券800円/2回券1500円
※アテネ・フランセ文化センター会員入会をご希望の方は登録が必要になります。
登録料:一般1500円 アテネ・フランセ学生1000円
■各回入れ替え制
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2008年1月22日(火)~2月16日(土)(日曜・月曜休館)

2008/01/22/13:49 | トラックバック (0)
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