フレデリック・ワイズマン映画祭2008
“現代社会の観察者”として独自の映像表現を展開しているドキュメンタリー映画作家フレデリック・ワイズマン。日本初上映となる最新作『州議会』を含む26作品を一挙上映!
フレデリック・ワイズマン Frederick Wiseman
1930年生まれ。イェール大学大学院卒業後、弁護士として活動を始める。やがて軍隊に入り、除隊後、弁護士業の傍ら大学で教鞭をとるようになる。63年にシャーリー・クラーク監督作品『クール・ワールド』をプロデュースしたことから映画界と関係ができ、67年、初の監督作となるドキュメンタリー『チチカット・フォーリーズ』を発表。マサチューセッツ州で公開禁止処分となるが、その後も社会的な組織の構造を見つめるドキュメンタリーを次々と制作する。71年に現在も拠点とする自己のプロダクション、ジポラ・フィルムを設立。以後、劇映画『セラフィータの日記』(82)『The Last Letter』(02)をはさみ、精力的にドキュメンタリーを作り続けている。「現存の最も偉大なドキュメンタリー作家」と称される。
料金
一般=1回券=前売1000円/当日1300円
3回券=前売2700円/当日3000円
※アテネ・フランセ文化センター会員、映画美学校受講生の方は
1回券=800円(当日のみ)でご覧いただけます。
※アテネ・フランセ文化センター会員入会をご希望の方は登録が必要になります。
登録料:一般1500円 アテネ・フランセ学生1000円
■各回入れ替え制
■主催
アテネ・フランセ文化センター
コミュニティシネマ支援センター (財)国際文化交流推進協会(エース・ジャパン)
2008年2月19日(火)~3月15日(土)(日曜・月曜休館)
2月19日(火) | 13:20~「チチカット・フォーリーズ」1967(84分)
15:20~「高校」1968(75分) 17:10~「法と秩序」1969(81分) 19:00~「病院」1970(84分) |
2月20日(水) | 13:00~「少年裁判所」1973(144分)
16:00~「霊長類」1974(105分)
18:20~「福祉」1975(167分) |
2月21日(木) | 13:50~「肉」1976(113分)
16:20~「シナイ半島監視団」1978(127分) 19:00~「軍事演習」1979(115分) |
2月22日(金) | 13:50~「モデル」1980(129分)
16:30~「ストア」1983(118分)
19:00~「競馬場」1985(114分) |
2月23日(土) | 12:00~「視覚障害」1986(132分)
14:50~「聴覚障害」1986(164分)
18:00~「適応と仕事」1986(120分) |
2月26日(火) | 12:40~「多重障害」1986(126分)
15:20~「動物園」1993(130分)
18:00~「BALLET アメリカン・バレエ・シアターの世界」1995(170分) |
2月27日(水) | 13:20~「コメディ・フランセーズ 演じられた愛」1996(223分)
17:40~「パブリック・ハウジング」1997(195分) |
2月28日(木) | 16:00~「メイン州ベルファスト」1999(247分) |
2月29日(金) | 14:30~「DV-ドメスティック・バイオレンス」2001(195分)
18:20~「DV2」2003(160分) |
3月1日(土) | 14:10~「チチカット・フォーリーズ」1967(84分)
16:10~「高校」1968(75分)
18:00~「法と秩序」1969(81分) |
3月4日(火) | 14:00~「病院」1970(84分)
16:00~「少年裁判所」1973(144分)
19:00~「霊長類」1974(105分) |
3月5日(水) | 15:40~「福祉」1975(167分) 19:00~「肉」1976(113分) |
3月6日(木) | 13:50~「シナイ半島監視団」1978(127分)
16:30~「軍事演習」1979(115分)
19:00~「モデル」1980(129分) |
3月7日(金) | 13:40~「ストア」1983(118分)
16:10~「競馬場」1985(114分)
18:40~「視覚障害」1986(132分) |
3月8日(土) | 13:30~「臨死」1989(358分) |
3月11日(火) | 13:10~「聴覚障害」1986(164分)
16:30~「適応と仕事」1986(120分)
19:00~「多重障害」1986(126分) |
3月12日(水) | 14:20~「動物園」1993(130分)
17:00~「コメディ・フランセーズ 演じられた愛」1996(223分) |
3月13日(木) | 13:10~「パブリック・ハウジング」1997(195分)
17:00~「メイン州ベルファスト」1999(247分) |
3月14日(金) | 14:30~「DV-ドメスティック・バイオレンス」2001(195分)
18:20~「DV2」2003(160分) |
3月15日(土) | 12:30~「州議会」2006(217分) 16:40~「州議会」2006(217分) |
チチカット・フォーリーズ
Titicut Follies ( 1967/84分 )
監督/フレデリック・ワイズマン
マサチューセッツ州ブリッジウォーターにある精神異常犯罪者のための州立刑務所マサチューセッツ矯正院の日常を克明に描いた作品。収容者が、看守やソーシャル・ワーカー、心理学者たちにどのように取り扱われているかが様々な側面から記録されている。合衆国裁判所で一般上映が禁止された唯一の作品であり、永年に渡る裁判の末、91年にようやく上映が許可された。
高校 High School ( 1968/75分 )
監督/フレデリック・ワイズマンフィラデルフィア郊外にある“模範的な”高校の日常を追っている。朝のホームルーム、授業の風景、生活指導、父母を交えた進路相談、男女別に行われる性教育や家庭科の授業、クラブ活動……。高校を構成する教師、生徒、親、管理職たちの関わり合いの中で、イデオロギーや価値観が醸成され、伝えられていく様が映し出される。
法と秩序 Law and Order ( 1969/81分 )
監督/フレデリック・ワイズマンミズーリ州カンザス・シティの、最も犯罪率の高いアドミラル・プールヴァール管轄区にある警察の様々な活動を追っている。売春の摘発、犯罪を繰り返す未成年犯罪者や拳銃を所持する窃盗犯の逮捕など緊迫した状況を追う一方で、老女のバッグ探しや迷子の保護、養育権をめぐる夫婦のいさかいの仲裁など、市民生活のあらゆる側面に関わる警察の活動をとらえている。
病院 Hospital ( 1970/84分 )
監督/フレデリック・ワイズマンニューヨーク市ハーレムにある大きな都市病院メトロポリタン病院の活動を、主に緊急棟と外来患者診療所での医師と患者のやりとりに焦点を当てて撮影した作品。都市病院に運びこまれる様々な患者とその処置をする職員の姿を通して、都市が抱える多くの問題を浮き上がらせる。
少年裁判所 Juvenile Court ( 1973/144分 )
監督/フレデリック・ワイズマン法の一線を越えてしまった少年たちに目を向けた一篇。訴追側や裁判官だけでなく、少年側に立つ弁護士やソーシャル・ワーカーにとってさえ、各事件はあくまで膨大な日常業務の流れの中にあるという事実が冷静に積み重ねられてゆく。効率よく次々に捌かれてゆく事件の合間で、裁かれる少年の切実な表情が目を射る。
霊長類 Primate ( 1974/105分 )
監督/フレデリック・ワイズマン霊長類に関する生物医学的、行動学的研究における先駆的な施設として知られるヤーキーズ霊長類研究所で撮影。猿を使った様々な動物実験が、その研究の目的や意義は殆ど説明されないままに、次々と映し出される。虐待と見誤りかねない数々の実験の映像は、故意に研究所を貶めたとする人々と、生体実験に反対する人々との間に激しい議論を巻き起こした。
福祉 Welfare ( 1975/167分 )
監督/フレデリック・ワイズマンニューヨーク市のウェイヴァリー福祉センターを舞台に福祉行政のありようを描いた作品。住宅問題、失業問題、医療問題、幼児虐待などの児童問題、老人問題など、多様な問題と係わる福祉システムの性質を検証し、福祉活動家の置かれている状況、受益者の問題、福祉の本質などを浮かび上がらせる。
肉 Meat ( 1976/113分 )
監督/フレデリック・ワイズマン野の草を食む「牛」はいかにして「肉」となるか。牛がトラックで牧場の外へと連れ出されてから、巨大精肉工場で製品化され、市場に送り出されていくまでの全工程を記録する。「牛」が徹頭徹尾「肉」として扱われるこの場所で、無数に細分化された各工程が一分の狂いもなく進行する過程を映し出す。
シナイ半島監視団 Sinai Field Mission ( 1978/127分 )
監督/フレデリック・ワイズマンエジプトとイスラエルの間のシナイ緩衝地帯で、監視の任務を遂行する米軍の小隊。自転車で見回る他に大してすることもない彼らは、ときにこの地を西部劇の「西部」になぞらえて無為をやり過ごす。「アメリカの外のアメリカ」として「アメリカらしさ」が奇妙に凝縮されたこの場所を、荒涼とした広大な砂漠のごく小さな一点として映像に収めている。
軍事演習 Manœuvre ( 1979/115分 )
監督/フレデリック・ワイズマン東西対立時代に毎年行われていたNATOの秋季大演習に密着取材しその全貌を記録したもの。この作品の撮影が行われた1978年の演習は北極海から地中海までの加盟国全域に渡って大演習が繰り広げられたが特に演習が集中したのは旧東ドイツとの国境近くで、当時、第三次世界大戦を想定したデモンストレーションと見なされ、国際的に大きな波紋を呼んだ。
モデル Model ( 1980/129分 )
監督/フレデリック・ワイズマンニューヨーク市でも最高のモデル事務所であるゾリ・マネージメント社を舞台に、CMやファッション・ショー、雑誌、広告写真、デザイナーズ・ブランドなどの仕事をする男女のモデルたちを追っている。彼らを取り巻くカメラマンやエージェント、撮影スタッフやデザイナーなどの姿を通してファッション・ビジネス界のありさまが描かれている。
ストア The Store ( 1983/118分 )
監督/フレデリック・ワイズマン1907年の開店以来、高級百貨店として揺るぎない地位を築いてきたニーマン=マーカス百貨店テキサス州ダラス本店。1982年のクリスマス・シーズンにおけるニーマン=マーカスを舞台に、訪れる客や接客する従業員、華やかな売場の舞台裏で働く人々の姿が映し出される。
競馬場 Racetrack ( 1985/114分 )
監督/フレデリック・ワイズマンサラブレットの競馬場として世界でも指折りのニューヨークのベルモント競馬場についてのドキュメンタリー。厩舎での馬の出産から始まり、調教師や飼育係、馬主、獣医たちの活動、レースをとりまく人々、観客たち、騎手たち、この競馬場の経営を支えるオーナーたちの巨大なパーティとその舞台裏まで、競馬というビジネスのあらゆる側面が映し出される。
視覚障害 Blind ( 1986/132分 )
監督/フレデリック・ワイズマン1984年の秋にアラバマ聾盲学校(AIDB)で行った撮影の結果、一本の映画にまとめることは不可能だと判断したワイズマンは、約九時間の長編としても成立する四部作として「Deaf and Blindシリーズ」を完成させた。第一部となる本作は、視力をもたない子供たちの盲学校での日常を、技法的な編集を極力排して丹念に描き出していく。
聴覚障害 Deaf ( 1986/164分 )
監督/フレデリック・ワイズマンアラバマ聾盲学校(AIDB)を取材した「Deaf and Blindシリーズ」第二部。聾学校で寄宿生活を送る子供たちの記録。口頭での会話、聴覚補助、読唇術、筆読などと手話を組み合わせて使うトータル・コミュニケーションによる教育、心理カウンセリング、通常の学科の授業、職業訓練やレクレーションなど、この学校の中で行われる様々な活動が記録されている。
適応と仕事 Adjustment and Work ( 1986/120分 )
監督/フレデリック・ワイズマン「Deaf and Blindシリーズ」第三部では、AIDB内のE.H.ジェントリー技術訓練校の日常をとらえる。盲学校、聾学校を終えた人や、成人後に障害をもった人が、生活のための訓練や、社会の一員として自立していくための様々な技術の修得を行っている。自らの能力の限界に焦りや絶望を示す者がある一方、「適応」を終えた人々が作業場で仕事に打ち込む様子は圧倒的な活気に満ちている。
多重障害 Multi-Handicapped ( 1986/126分 )
監督/フレデリック・ワイズマン「Deaf and Blindシリーズ」最終章の舞台であるAIDB内のヘレン・ケラー校は、多重障害や知覚障害の生徒に教育と訓練を施すことを目的としている。盲かつ聾唖の人に加え、盲の多重障害、聾唖の多重障害という三種類の生徒が学んでいる。重度の障害をもつ生徒には念入りな個別指導が行なわれ、比較的障害の軽い生徒は集団で知育道具や日用品を使ったトレーニングに励む。
臨死 Near Death ( 1989/358分 )
監督/フレデリック・ワイズマンボストンのベス・イスラエル病院特別医療班についての映画。尊厳死、植物人間、脳死、インフォームド・コンセント、インフォームド・チョイスなど死と生の境界をめぐる末期医療の新しい問題を臨床現場から掘り起こした6時間に及ぶ超大作。ハーバード大学の付属機関であり先端の医療技術を誇るこの病院の集中治療棟で行われる生命維持装置を使った診療をめぐり、患者と医者が直面する現実に多角的に迫っている。
動物園 Zoo ( 1993/130分 )
監督/フレデリック・ワイズマンフロリダ州マイアミのメトロポリタン動物園の日常を記録している。世界中から訪れる入場者、飼育係による動物の世話、獣医の仕事などをとらえる。表面には現れない、寄付を募るパーティや広報活動、調査・研究活動などを紹介しながら動物園が運営されるメカニズムに迫る。
BALLET アメリカン・バレエ・シアターの世界 Ballet
( 1995/170分 )
監督/フレデリック・ワイズマン
1992年のアメリカン・バレエ・シアターの活動を記録した作品。前半はスタジオでのリハーサル風景やバレエ団の運営に関わる活動を、後半はアテネ公演、コペンハーゲン公演の様子を追っている。作品を完成させるために繰り返される振付家とダンサーたちのリハーサルの様子や、アクロポリス、コペンハーゲン国立劇場という荘厳な舞台での華麗な公演風景は見るものを魅了する。
コメディ・フランセーズ 演じられた愛
La Comédie-Française ou l'amour joué ( 1996/223分 )
監督/フレデリック・ワイズマン
歴史と伝統を誇るフランスの国立劇団「コメディ・フランセーズ」の全貌を映し出した作品。企画会議から舞台のリハーサル風景、劇場の全景、演出家や俳優の表情など裏方の様子、経営委員会、劇団の年金制度に至るまでを克明に描き出す。また、ラシーヌの「ラ・テバイット」モリエールの「ドン・ジュアン」など、四つの芝居の模様が部分的に記録されている。
パブリック・ハウジング
Public Housing ( 1997/195分 )
監督/フレデリック・ワイズマン
シカゴ郊外の公共住宅供給事業の記録。貧しい居住者のほとんどが黒人である公共住宅の日常を撮している。居住者の管理組合の運営、警察の役割、住宅内で行われる職業訓練、青少年のための放課後の活動や託児所の運営など公共住宅のプログラムやここに住む10代の母親たち、崩壊した家庭、老人の居住者など、公共住宅が抱える問題を描く。
メイン州ベルファスト Belfast, Maine ( 1999/247分 )
監督/フレデリック・ワイズマンメイン州にある人口6000人の典型的なアメリカの町ベルファスト。現在ではメイン州でもっとも貧しい地区の一つであるが、歴史的には商業的に栄えた町であり、天然資源に恵まれた土地でもある。ワイズマンは「ベルファストの日常生活が経済的圧力によっていかに変化したかあるいは変化していないかを記録しようと考え、この町の様々な組織とそこでの日常生活を検証した」と述べている。
DV—ドメスティック・バイオレンス Domestic Violence ( 2001/195分 )
監督/フレデリック・ワイズマンフロリダ州最大のDV被害者保護施設「スプリング」は年間1,650人もの成人と子供を受け入れている。経済的抑圧、精神的・肉体的虐待、性的虐待……。加害者は故意に被害者を傷つけ、支配しようとする。なぜ家族がお互いを傷つけあうのか、なぜ犠牲者は傷つけられることを許してしまうのか。映画に映し出される現実はたびたび我々を驚かせ、この問題について我々が抱いているステレオタイプを覆していく。
DV2 DV2 ( 2003/160分 )
監督/フレデリック・ワイズマン前作が被害者救援施設を舞台に、主にDVの被害者の立場から話が展開していたのに対し、本作では視点をDVの加害者側に移している。法廷で様々なDVのケースが処理されていく。当事者同士の接触をさせないため、加害者はモニターに映し出されるだけの法廷。何組もの被害者と加害者が同席し、その中で審理が進められていく法廷。延々と映し出されるいくつもの裁判。法廷審理から彼らの人生とドラマが浮かび上がる。
州議会 State Legislature ( 2006/217分 )
監督/フレデリック・ワイズマンアイダホ州、州議会の日常を追ったワイズマン監督最新作。壮麗な州議会の建物の中では、校内暴力、狂牛病、間接喫煙の規制緩和、電話料金等々、多様な問題を扱う様々な委員会が行われている。委員会には議員だけでなく、ロビイスト、それぞれの問題の専門家や関係者、一般の市民も参加する。様々な課題をめぐり果てしなく続けられる議論の合間に、州議会を見学に訪れる子どもたち、ロビーで行われるコンサートの模様などが挿入される。(日本初公開)
料金
一般=1回券=前売1000円/当日1300円
3回券=前売2700円/当日3000円
※アテネ・フランセ文化センター会員、映画美学校受講生の方は
1回券=800円(当日のみ)でご覧いただけます。
※アテネ・フランセ文化センター会員入会をご希望の方は登録が必要になります。
登録料:一般1500円 アテネ・フランセ学生1000円
■各回入れ替え制
■主催
アテネ・フランセ文化センター
コミュニティシネマ支援センター (財)国際文化交流推進協会(エース・ジャパン)
2008年2月19日(火)~3月15日(土)(日曜・月曜休館)
BALLET アメリカン・バレエ・
シアターの世界
角川大映映画
ジェネオン エンタテインメント
発売日:2003-07-25
おすすめ度:
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コメディ・フランセーズ ― 演じられた愛
アイ・ヴィ・シー
発売日:2000-01-25
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主なキャスト / スタッフ
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