ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー
映画祭2008
戦後ドイツ映画の中心的存在であったライナー・ヴェルナー・ファスビンダー。20作品を一挙上映し、その過激で巨大な才能に迫ります。
6月26日(木)18:00から、渋谷哲也(ドイツ映画研究者)と中原昌也(小説家・ミュージシャン)による対談開催(入場無料)
ファスビンダーは、70年代に映画を志した若い監督たちの道標でした。私達にとって彼は、当時、10年前にゴダールが持っていたのと同じくらいの影響力がありました。いずれにしろドイツ映画の新しい波は、それまで動きのなかった映画界に活気を与えたのです。「不安と魂」は、私にとってファスビンダーの最も重要な作品です。この作品の飾り気のない人間的なリアリズムは、私が僭越ながらも自分の映像スタイルと呼ぶものに、多大な影響を与えました。――アキ・カウリスマキ(映画作家)
ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー Rainer Werner Fassbinder
1945年5月31日、バート・ヴェーリスホーフェン生まれ。1967年に劇団「アクツィオーン・テアーター」に参加。同劇団解散後の1968年、仲間たちとともに劇団「アンチテアター」を設立。劇団メンバーとの挑発的かつ実験的な長編映画制作を始める。1978年に発表した『マリア・ブラウンの結婚』により、ニュー・ジャーマン・シネマを代表する監督として世界的に認知される。『リリー・マルレーン』(1980/81)『ケレル』(1982)では国際的スターを起用した大作映画を撮り上げる。ドイツ映画の未来を託される希有な存在となった矢先の1982年6月10日、37歳で急死。彼の映画は、女性の抑圧、同性愛、ユダヤ人差別、テロリズムなどスキャンダラスなテーマが多く、常に激しい議論を巻き起こした。遺された42本の監督作品は、今日にも多くの問題を提起し続けている。
料金
一般=1回券1000円/5回券4000円 アテネ・フランセ文化センター会員=1回券600円
※5回券はドイツ文化会館ホール、アテネ・フランセ文化センター両会場共通
※アテネ・フランセ文化センター会員入会をご希望の方は登録が必要になります。
登録料:一般1500円 アテネ・フランセ学生1000円
■各回入れ替え制 ■全作品日本語字幕付き
■DVD上映は、Goethe-Institut提供のDVDでの上映
■主催 Veranstalter ドイツ文化センター
アテネ・フランセ文化センター
■協力 Kooperation 紀伊国屋書店
2008年6月21日(土)~7月5日(土)(日曜・月曜休館)
6月21日(土) | 15:00~「出稼ぎ野郎」(88分)★DVD上映
17:00~「悪の神々」(91分) 19:00~「何故R氏は発作的に人を殺したか?」(88分) |
6月24日(火) | 16:30~「四季を売る男」(89分) 18:30~「ペトラ・フォン・カントの苦い涙」(124分) |
6月25日(水) | 16:30~「マルタ」(116分)★DVD上映 19:00~「不安と魂」(93分)★DVD上映 |
6月26日(木) | 15:30~「エフィー・ブリースト」(141分)★DVD上映 18:00~対談 渋谷哲也(ドイツ映画研究者)×中原昌也(小説家・ミュージシャン) 19:30~「少しの愛だけでも」(104分) |
6月27日(金) | 14:00~「悪魔のやから」(112分)★DVD上映 16:30~「シナのルーレット」(86分) 18:30~「哀れなボルヴィーザー」(112分) |
6月28日(土) | 13:50~「聖なるパン助に注意」(103分) 16:10~「キュスタース小母さんの昇天」(102分) 18:30~「デスペア」(119分) |
7月1日(火) | 16:00~「マリア・ブラウンの結婚」(120分)★DVD上映 18:30~「第三世代」(110分) |
7月2日(水) |
★特別上映13:50~「少しの愛だけでなく」
16:00~「リリー・マルレーン」(120分)★DVD上映Ich will nicht nur, da ß ihr mich liebt ( 1992/97分 )★DVD上映 監督/ハンス・ギュンター・プフラウム ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーについてのドキュメンタリー。ハンナ・シグラ、イングリット・カーフェン等の関係者へのインタビュー、ファスビンダー自身のインタビュー映像、及び作品の抜粋によってその生涯を振り返る。 ■日本語字幕付き ■料金 映画祭の料金と同一(回数券も利用可)18:30~「ローラ」(113分)★DVD上映 |
7月3日(木) | 13:50~「ヴェロニカ・フォスのあこがれ」(104分)★DVD上映 16:10~「聖なるパン助に注意」(103分) 18:30~「ペトラ・フォン・カントの苦い涙」(124分) |
7月4日(金) | 13:50~「キュスタース小母さんの昇天」(102分) 16:10~「少しの愛だけでも」(104分) 18:30~「哀れなボルヴィーザー」(112分) |
7月5日(土) | 14:10~「第三世代」(110分)
16:30~「リリー・マルレーン」(120分)★DVD上映 19:00~「ヴェロニカ・フォスのあこがれ」(104分)★DVD上映 |
出稼ぎ野郎 Katzelmacher ( 1969/88分 )★DVD上映
撮影/ディートリッヒ・ローマン出演/ハンナ・シグラ,ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー
ファスビンダー長篇第二作。ミュンヘン郊外で停滞した日々を過ごす若者たちの前に、ギリシャから来た出稼ぎ労働者が現れる。自分たちの日常に変化をもたらす異分子に対する恐怖感から、彼らはそのギリシャ人に暴行を加える。
悪の神々 Götter der Pest ( 1969/91分 )
撮影/ディートリッヒ・ローマン出演/ハリー・ベア,ハンナ・シグラ
刑務所から出所したフランツは、恋人ヨハンナの元へ戻るがうまくいかず、マルガレーテと関係をもつ。彼は昔の仲間ギュンターと再び悪事を企てるが、マルガレーテとヨハンナは彼らの計画を警察に密告する。
何故R氏は発作的に人を殺したか? Warum läuft Herr R. Amok? ( 1970/88分 )
撮影/ディートリッヒ・ローマン出演/クルト・ラープ,ペーア・ラーベン
ミヒャエル・フェングラー共同監督作品。R氏は、ある晩、突然、妻、妻の友人そして彼の子供を燭台で殴り殺し、自殺する。ありふれた日常生活が突如として惨劇へと転じていく物語が即興演技によって描かれる。
聖なるパン助に注意
Warnung vor einer heiligen Nutte ( 1970・71/103分 )
撮影/ミヒャエル・バルハウス出演/ルー・カステル,エディ・コンスタンティーヌ
映画の撮影現場の混乱を描く。資金難や人間関係のトラブルから撮影は一向に進まない。監督と撮影スタッフの対立は、『ホワイティ』撮影現場のファスビンダーとスタッフとの関係を反映させたと言われている。
四季を売る男
Händler der vier Jahreszeiten ( 1971/89分 )
撮影/ディートリッヒ・ローマン出演/ハンス・ヒルシュミュラー,イルム・ヘルマン
外人部隊を除隊後、警官になるが免職となり、果物の行商人に転じたハンス。彼は周囲の人たちとの感情的な溝を埋められず、次第に孤独を深めていく。ファスビンダーが設立した映画制作会社「タンゴ・フィルム」の第一作。
ペトラ・フォン・カントの苦い涙 Die bitteren Tränen der Petra von Kant
( 1971・72/124分 )
撮影/ミヒャエル・バルハウス出演/マーギット・カーステンゼン,ハンナ・シグラ
ファスビンダー自身による同名の戯曲を、ほぼ一つの室内に空間を限定し、女性ばかりの登場人物によって映画化した実験的作品。著名な服飾デザイナーであるペドラは、二人の女性との愛と嫉妬、抑圧と依存の関係に苦しむ。
マルタ Martha ( 1973・74/116分 )★DVD上映
撮影/ミヒャエル・バルハウス出演/マーギット・カーステンゼン
カールハインツ・ベーム マルタは、父親の死後、イタリアで見かけた男とドイツで偶然再会し、結婚する。よき妻として夫の抑圧に従うマルタと、要求を徐々にエスカレートさせていく夫との生活は、グロテスクなファミリー・メロドラマと化す。
不安と魂 Angst essen Seele auf
( 1973・74/93分 )★DVD上映
撮影/ユルゲン・ユルゲス出演/ブリギッテ・ミラ,エール・ヘディ・ベン・サレム
初老の未亡人女性が、若いモロッコ人出稼ぎ労働者と恋に落ちる。二人に降りかかる試練を通じて、痛ましくも優しい愛の風景が浮かび上がる。ダグラス・サーク『天の許し給うものすべて』(55)のリメイクとされる作品。
エフィー・ブリースト Fontane Effi Briest ( 1974/141分 )★DVD上映
撮影/ディートリッヒ・ローマン,ユルゲン・ユルゲス出演/ハンナ・シグラ,ウォルフガング・シェンク
テアドル・フォンターネの同名小説の映画化。20歳年上の男爵と結婚した地主の娘エフィーは、一時の気紛れから、若くて魅力的な夫の友人と関係をもつ。数年後、妻と友人の裏切りを知った男爵は、友人に決闘を申し込む。
キュスタース小母さんの昇天 Mutter Küsters' Fahrt zum Himmel ( 1975/102分 )
撮影/ミヒャエル・バルハウス出演/ブリギッテ・ミラ,イングリット・カーフェン
職場で上司を殺し、自殺したキュスタース氏の後に残された家族の受難を描く。反社会的破壊分子とみなされた夫の汚名を晴らそうとするキュスタース夫人の元に、マスコミ、共産党員、過激派等が接近してくる。
少しの愛だけでも
Ich will doch nur, daß ihr mich liebt
( 1975・76/104分 )
撮影/ミヒャエル・バルハウス出演/ヴィートゥス・ツェプリヒャル,エルケ・アーベルレ
衝動的な殺人を犯した男が、自らの半生を精神科医に語る。両親の愛情を感じられずに少年時代を過ごした彼は、結婚後、妻の愛を失うことを恐れるがあまり、無理な借金を重ね、次第に窮地へと追いつめられていく。
悪魔のやから Satansbraten ( 1975・76/112分 )★DVD上映
撮影/ユルゲン・ユルゲス,ミヒャエル・バルハウス出演/クルト・ラープ,マーギット・カーステンセン
金と女にあくなき執着をみせる詩人ヴァルターが、ふとした事から自らをシュテファン・ゲオルゲの生まれ変わりと信じ、騒動を巻き起こす。芸術および芸術家の徹底的な戯画化を目論んだアイロニカルなコメディ。
シナのルーレット Chinesisches Roulette ( 1976/86分 )
撮影/ミヒャエル・バルハウス出演/マーギット・カーステンゼン,アンナ・カリーナ
理想的な夫妻と思われているゲルハルトとアリアーネ。だが、実は二人にはそれぞれ愛人がいた。二人の娘アンゲラは、両親と愛人たちを別荘に集め、皆に「シナのルーレット」と呼ばれるある心理ゲームを提案する。
哀れなボルヴィーザー Bolwieser ( 1976・77/112分 )
撮影/ミヒャエル・バルハウス出演/クルト・ラープ,エリーザベト・トリッセナー
田舎町の駅長を務めるボルヴィーザーは、醸造業主の美しい娘ハニーと結婚する。ボルヴィーザーはこの結婚生活に満足していたが、ハニーは街の男たちと情事を重ねていた。オスカー・マリア・グラーフの同名小説を映画化。
デスペア Despair-Eine Reise ins Licht ( 1978/119分 )※ドイツ語版
撮影/ミヒャエル・バルハウス出演/ダーク・ボガード,アンドレア・フェレオル
ロシアからの亡命者へルマンは、実際には似ていないフェリックスを自分と瓜二つだと思い込み、ある計画を持ちかける。ナボコフの原作、ダーク・ボガードら世界的スターの起用によって国際舞台への飛躍を賭けた意欲作。
マリア・ブラウンの結婚 Die Ehe der Maria Braun ( 1978/120分 )★DVD上映
撮影/ミヒャエル・バルハウス出演/ハンナ・シグラ,クラウス・レーヴィチュ
戦争中の辛苦を経て米兵の情婦となり、ついには企業人としてのし上がるマリアの半生を、戦後ドイツの歴史と重ね合わせて描き出す。ファスビンダーの国際的な評価を一躍高めたニュー・ジャーマン・シネマの代表作。
第三世代 Die dritte Generation ( 1979/110分 )
撮影/ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー出演/フォルカー・シュペンクラー,ビュル・オジェ
テロリストをテーマとした挑発的なコメディ。革命的な理念をもたず、ただ目先のスリルだけを追い求めている第三世代のテロリストたち。彼らは企業と警察に利用され、その煽動にのって誘拐事件を起こす。
リリー・マルレーン Lili Marleen ( 1980・81/120分 )★DVD上映
撮影/クサヴァー・シュヴァルツェンベルガー出演/ハンナ・シグラ,ジャンカルロ・ジャンニーニ
ナチ政権下、歌手ヴィリーはユダヤ人の恋人との仲を引き裂かれる。失意の中でヴィリーが録音した「リリー・マルレーン」は大ヒットし、彼女は第三帝国の国民的歌手となる。当時のドイツ映画最大の製作費を注ぎこんだ超大作。
ローラ Lola ( 1981/113分 )★DVD上映
撮影/クサヴァー・シュヴァルツェンベルガー出演/バーバラ・ズコヴァ,アルミン・ミューラー=シュタール
新任の建設局長フォン・ボームが、建設会社の経営者シュッケルトの愛人である娼婦ローラに心を奪われる。戦後ドイツの経済復興期を背景に、公私の利害が複雑に交錯したローラと二人の男の三角関係を描く。
ヴェロニカ・フォスのあこがれ Die Sehnsucht der Veronika Voss ( 1982/104分 )★DVD上映
撮影/クサヴァー・シュヴァルツェンベルガー出演/ローゼル・ツェヒ,アルミン=ミュラー・シュタール
新聞記者のロベルトは、戦時中の栄光が忘れられない往年の名女優ヴェロニカ・フォスの悲劇を目撃する。白を強調した鮮烈なモノクロの映像が、ナチ時代のスター、ジビレ・シュミッツをモデルとする主人公の狂気を際立たせる。
料金
一般=1回券1000円/5回券4000円 アテネ・フランセ文化センター会員=1回券600円
※5回券はドイツ文化会館ホール、アテネ・フランセ文化センター両会場共通
※アテネ・フランセ文化センター会員入会をご希望の方は登録が必要になります。
登録料:一般1500円 アテネ・フランセ学生1000円
■各回入れ替え制 ■全作品日本語字幕付き
■DVD上映は、Goethe-Institut提供のDVDでの上映
■主催 Veranstalter ドイツ文化センター
アテネ・フランセ文化センター
■協力 Kooperation 紀伊国屋書店
2008年6月21日(土)~7月5日(土)(日曜・月曜休館)
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主なキャスト / スタッフ
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