(2004 / アメリカ / ニック・カサヴェテス)
ああ、ラブラブ!

百恵 紳之助

 「私の捜し求めていたモノがこの映画にありました」(31歳負け犬OL) 「勤務中の飛行機の中で見ましたが、仕事になりませんでした」(26歳スチュワーデス)「女優を続けていく決心をしました」(28歳劇団員) 「昨日から、僕たち夫婦の『君に読む物語』を書き始めました」(新婚カップル)「プールの帰りにこの映画を観たんだけど、助かったわ。 なぜって?だってそうでしょ?こんなに涙のあふれる映画、水着じゃないと観れないじゃない!」(25歳女、ホワイトパレス店員) 「ニックは間違いなくジョンと同じくらい映画から愛されてるね」(32歳男、レンタルビデオ『AtoZ』ミネアポリス店店長)「あたしはね、 韓流ドラマの方が好き。こーゆーの、ちっとも面白くない」(52歳、主婦)。「サイコーでした!」(百恵紳之助?歳、無職)以上終わり・・・ 。

 いや、ホント面白かったです。
 巷では韓国の「ボクカノ」日本の「イマアイ」そしてアメリカの「キミヨム」 なんて言われているらしく二十一世紀三大恋愛映画だなんて誰かが言ったとか言わないとか・・・。

 お話はいたってシンプル。ほとんど小学高低学年向けと言っていいくらいの少女マンガのようなストーリー。
 あるお金持ちの女子高生が田舎で過す夏に地元の貧乏青年と恋に落ち、でもその女の親の猛反対から青年がイジケて別れてしまい、 女は大学進学のために都会に戻ってしまい、でも青年はその女を忘れられず365日手紙を書いていたけど、女のお母さんはこれを隠して、 返事が来ないから青年は諦めて、またたくまに七年の歳月がすぎて、青年は戦争に行ったり、 女は婚約者となるべき金持ちで性格の良い男と出会い・・・。でも二人は偶然にも再会してしまい、燃え上がるようにやっちゃって、さぁ、 どっちを選ぶってな話を一人の爺ちゃんがアルツハイマーの婆ちゃんに毎日毎日話してあげているというお話で、 まずは基本的にこの二人の惚れたハレたのお話なんですが、そこが実に微笑ましいというか、 形として女には新しい婚約者がいたり反対している母親がいたりと一応外からの障害もあるんですが、 実はそんなものは互いが燃え上がるために互いにその障害を演出しているようにも見えたりして、結局のところ「好きだ!」「私も!」 「いっしょにいたい!」「いいよ!」というシンプルな答えを出すのに良いスパイスじゃんみたいな恋愛ゴッコをしている二人に見えて、 そうするともうこの映画で起るすべての状況をこの二人が「こーゆーストーリーにしようよぉ!」と語り合っていて、 そんなラブラブカップルの恋愛話を聞かされているような気持ちになり、こいつらバカだなと思いながらもなんだかこの二人を見ているだけで、 幸せな気持ちになってしまうと言いますか・・・。だって大変失礼ですが、アルツハイマーですら、 この二人にかかるとその恋愛障害スパイスの一つにも見えたりしてしまって、これはもう恋愛ゴッコを、 互いが死ぬそのときまでしていたというような二人の映画です。 そして最後の最後の瞬間には恋愛ゴッコにおける究極の終わり方で終わるわけです。 おそらくこの二人は天国に行っても様々な状況を自分たちで作り出して恋愛ゴッコをしていくのでしょう。 生まれ変わっても最終的には出会うでしょう。文句のつけようがありません。サイコーの二人です。

(2005.2.6)

2005/04/30/20:03 | トラックバック (0)
百恵紳之助
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