演技者・小林桂樹映画祭
――俳優生活65年の軌跡――
小林桂樹
1923年11月23日、群馬県生まれ。旧制前橋中卒業後、日大美術学部に進むが、学費が続かず、日活演技研究所研究生募集に応募し、11年に日活に入る。42年1月公開の『微笑の国』で俳優デビュー、同年、(映画会社統制令で日活の制作部門が新興キネマ、大都映画と合併し、大映が創設され)大映所属となる。44年『菊池千本槍』で初主演するが、応召により一兵卒として満州に送られ、厳しい軍隊生活を送る。内地で終戦を迎え大映に復帰。
51年『その人の名は言えない』に千秋実の代役として東宝作品に初出演。同年、サラリーマンものの『ホープさん』に主演し、藤本プロを経て東宝に移籍する。『ラッキーさん』『三等重役』『一等社員』『坊ちゃん社員』と矢継ぎ早にサラリーマンものに出演。その後も"社長シリーズ""サラリーマン出世太閤記シリーズ"など数々の作品で東宝の黄金時代を支えた。さらに『裸の大将』『名もなく貧しく美しく』『黒い画集 あるサラリーマンの証言』『江分利満氏の優雅な生活』『首』などのシリアスな演技も高く評価され、様々なジャンルをこなす演技派として、これまでの出演映画は260本を超える。
60年『黒い画集 あるサラリーマンの証言』で毎日映画コンクールとキネマ旬報賞の主演賞に輝いたほか、一連のサラリーマンものによる演技でブルーリボン大衆賞を受賞。毎日映画コンクールでは、史上最多となる4度の主演賞(58,60,63,99年、55年には助演賞)を獲得。
テレビでも、『赤ひげ(72~73)』『それぞれの秋(73)』『日本沈没(74~75)』などの連続ドラマや、"牟田刑事官シリーズ(83~)""弁護士・朝日岳之助シリーズ(89~)"などで活躍、数々の賞を受賞している。
85年紫綬褒章、94年勲四等旭日小綬章を受章。最新作は『恋する彼女、西へ。』(田渕久美子監督、正月公開)。
今年でデビューから65年。本特集期間中に84歳の誕生日を迎える。
当日券:一般 1300円 学生 1200円
友の会・シニア・身障者 1000円
ラスト1本 800円
前売り1回券:1100円(11/16(金)まで販売)
3回券:3000円(11/25(日)まで販売)
http://www.shin-bungeiza.com/
2007年11月17日(土)~11月30日(金)まで上映
11/17(土) | 『妻の心』(9:45 / 13:40 / 17:35) 『小早川家の秋』(11:40 / 15:40 / 19:35)[終映21:20] |
11/18(日) | 『裸の大将』(9:50 / 14:25 / 18:20) 『江分利満氏の優雅な生活』(11:50 / 16:25 / 20:15[終映22:00] 13:45より小林桂樹さんのトークショー |
11/19(月) | 『社長三代記』(11:35 / 15:15 / 18:55) 『三等重役』(9:45 / 13:25 / 17:05 / 20:45)[終映22:25] |
11/20(火) | 『黒い画集 あるサラリーマンの証言』(9:45 / 14:10 / 18:25) 『けものみち』(11:35 / 15:55 / 20:10)[終映22:30] |
11/21(水) | 『サラリーマン出世太閤記』(10:00 / 13:00 / 16:00 / 19:00) 『新しい背広』(11:50 / 14:50 / 17:50 / 20:50)[終映21:50] |
11/22(木) | 『ここに泉あり』(12:45 / 17:40) 『われ一粒の麦なれど』(10:45 / 15:40 / 20:35)[終映22:25] |
11/23(金) | 『めし』(9:45 / 14:25 / 18:30) 『女の中にいる他人』(196611:50 / 16:30 / 20:30)[終映22:15] 13:45より小林桂樹さんのトークショー ※小林桂樹さんの84歳の誕生日です。 |
11/24(土) | 『父ちゃんのポーが聞える』(9:45 / 13:55 / 18:05) 『名もなく貧しく美しく』(11:30 / 15:45 / 19:50)[終映22:00] |
11/25(日) | 『首』(1968)9:45 / 14:25 / 18:35)『白と黒』(11:40 / 16:30 / 20:35)[終映22:30] 13:45より小林桂樹さんのトークショー |
11/26(月) | 『男はつらいよ 葛飾立志篇』(10:30 / 14:25 / 18:20) 『ぶらりぶらぶら物語』(12:35 / 16:30 / 20:20)[終映22:00] |
11/27(火) | 『弥次喜多道中記』(10:20 / 14:20 / 18:20) 『がんばれ!盤嶽〈ばんがく〉』(12:35 / 16:35 / 20:35)[終映22:10] |
11/28(水) | 『激動の昭和史 沖縄決戦』(12:15 / 17:30) 『激動の昭和史 軍閥』(9:45 / 15:00 / 20:15)[終映22:30] |
11/29(木) | 『大日本スリ集団』(11:35 / 15:20 / 19:00) 『天才詐欺師物語 狸の花道』(9:45 / 13:35 / 17:15 / 20:55)[終映22:30] |
11/30(金) | 『あの、夏の日 とんでろ じいちゃん』(9:45 / 14:05 / 18:25) 『老親〈ろうしん〉』(12:00 / 16:20 / 20:40)[終映22:30] |
妻の心 (1956/東宝)
監督:成瀬巳喜男 脚本:井手俊郎出演:高峰秀子,三船敏郎,根岸明美,杉葉子,千秋実,加東大介,沢村貞子,三好栄子
家業を盛り返そうとする信二の妻・喜代子(高峰)は、喫茶店開業資金の融資がきっかけで、親友の夫(三船)と知り合う。夫婦愛の微妙な心理描き出した秀作。
小早川家の秋 (1961/東宝)
監督/脚本:小津安二郎 脚本:野田高梧 出演:原節子,司葉子,白川由美,団令子,新珠三千代,森繁久彌,宝田明,加東大介松竹の小津監督が東宝で演出した唯一の作品。関西の老舗造り酒屋・小早川家。次女の夫で当主の草尾は、大企業に押され家業の切り盛りに悩む。
裸の大将 (1958/東宝) ★毎日コンクール主演賞他
監督:堀川弘通 脚本:水木洋子 出演:団令子,青山京子,加東大介,三益愛子,沢村貞子放浪癖のある青年・山下清が、やがて"日本のゴッホ"と謳われるようになるまでを描く。映画出演100本目となる節目で代表作に挙げられる名演をみせた。
江分利満氏の優雅な生活 (1963/東宝)
★毎日コンクール主演賞他
監督:岡本喜八 原作:山口瞳 脚本:井手俊郎 出演:新珠三千代,東野英治郎,ジェリー伊藤
直木賞受賞作の映画化で代表作のひとつ。洋酒メーカー宣伝部勤務のサラリーマン・江分利満に扮し、高度成長になじめない戦中派の屈折した心境を見事に演じた。
社長三代記 (1958/東宝)
監督:松林宗恵 脚本:笠原良三出演:森繁久彌,加東大介,司葉子,扇千景,団令子,雪村いづみ,有島一郎,三木のり平
シリーズ第五作にして、初の東宝スコープ作品。二代目社長(森繁)、三代目社長(加東)、社長秘書・長谷川ら配役も固まり、全40作に及ぶ看板シリーズとなる。
三等重役 (1952/東宝)
監督:春原政久 原作:源氏鶏太 脚本:山本嘉次郎,井手俊郎出演:河村黎吉,森繁久彌,越路吹雪,藤間紫,小川虎之助
後の社長シリーズの原型をなす作品。前社長復帰に戦々恐々とするサラリーマン社長(河村)を軸に、秘書・若原、人事課長(森繁)ら、様々な人間模様が展開。
黒い画集 あるサラリーマンの証言 (1960/東宝)
★キネ旬2位・男優賞他
監督:堀川弘通 原作:松本清張 脚本:橋本忍 出演:原知佐子,江原達怡,平田昭彦,織田政雄
平凡なサラリーマン・石野は、自分の情事を隠すためについた嘘で破局への道を辿る。これまでのサラリーマン喜劇とは全く異なる芸域の確かさを知らしめた傑作。
けものみち (1965/東宝)
監督/脚本:須川栄三 原作:松本清張 脚本:白坂依志夫出演:池内淳子,小沢栄太郎,伊藤雄之助,池部良,千田是也
事故に見せかけて夫を殺し、愛欲と陰謀が渦巻く裏社会に入り込んだ女をめぐる異色サスペンス。事故に不審を抱き、ヒロインに近づく悪徳刑事・久恒を巧演。
サラリーマン出世太閤記 (1957/東宝)
監督:筧正典 脚本:笠原良三出演:宝田明,加東大介,安西郷子,団令子,白川由美,越路吹雪,有島一郎,藤木悠,清水一郎
全五作を数えた、人気シリーズの第一作。生真面目な木下秀吉と、要領のいい前田圭一郎(宝田)。親友同士で性格が正反対な二人の、自動車会社入社までの奮闘記。
新しい背広 (1957/東宝)
監督:筧正典 原作:田宮虎彦 脚本:沢村勉出演:久保明,八千草薫,佐原健二,北沢彪,岸輝子,夏川静江,中北千枝子
爽やかな姉弟愛を描いた1時間弱の好編。弟と二人きりのサラリーマンの斎藤隆太郎は、弟の高校卒業・就職を機に結婚を考えていたが、弟は大学進学を希望する。
ここに泉あり (1955/独立プロ名画保存会)
★キネ旬5位 ★毎日コンクール助演賞
監督:今井正 脚本:水木洋子出演:岸惠子,岡田英次加東大介,草笛光子,山田耕筰
昭和22年、地方でただ一つの市民交響楽団を結成した団員たちの10年に渡る苦闘を描く感動作。マネージャーの井田は、妻子や家業を二の次として奮闘する。
われ一粒の麦なれど (1964/東宝)
★キネ旬10位 ブルーリボン賞
監督/脚本:松山善三 出演:高峰秀子,水谷良重,田崎潤,木村功,大村崑,大辻伺郎
小児マヒ撲滅に立ち上がり、政府を生ワクチン投与に踏み切らせた男の物語。官吏の坂田は、間違い電話から、初めて小児マヒの恐ろしさを認識することに……。
めし (1951/東宝) ★キネ旬2位
監督:成瀬巳喜男 原作:林芙美子 脚本:井手俊郎,田中澄江出演:原節子,上原謙,島崎雪子,杉葉子
倦怠期を迎えた妻(原)は、実家に戻ったおり、妹とその夫・信三の睦まじい姿に、夫(上原)に懐かしさを覚える。成瀬監督が林芙美子の小説を初めて手がけた。
女の中にいる他人 (1966/東宝) ★キネ旬10位
監督:成瀬巳喜男 脚本:井手俊郎 原作:エドワード・アタイヤ出演:新珠三千代,三橋達也,草笛光子,若林映子
成瀬巳喜男が推理小説を題材とした異色ミステリー。親友の妻の殺人事件をめぐり苦悩する田代勲とその妻。夫婦間の心理の綾を、名匠ならではの視点で描く。
父ちゃんのポーが聞える (1971/東宝)
監督:石田勝心 原作:松本則子 脚本:笠原良三出演:吉沢京子,藤岡琢也,司葉子,佐々木勝彦,吉行和子,森るみ子
難病と闘う少女の実話を映画化した感動作。人里離れた療養所で暮らす娘・典子を励ますため、蒸気機関士の父・隆は、その下を通るたびに汽笛を鳴らし続ける。
名もなく貧しく美しく (1961/東宝)
★キネ旬5位 ★サンケイ新聞助演賞
監督・脚本:松山善三出演:高峰秀子,加山雄三,沼田曜一,草笛光子,原泉,高橋昌也,藤原釜足
ろうあの夫婦の生活を描く、松山善三の初監督作。戦争末期、夫の死で嫁ぎ先を追われた秋子は、やがて同じろうあの道夫に求婚され再婚、子供も生まれるが……。
首(1968/東宝) ★キネ旬5位 ★ミリオンパール主演賞
監督:森谷司郎 脚本:橋本忍 原作:正木ひろし 出演:南風洋子,神山繁,佐々木孝丸,三津田健昭和15年、警察内で死亡した男の死の真相を追求するサスペンスタッチの実録ドラマ。『真昼の暗黒』の原作者としても知られる弁護士・正木ひろしを熱演。
白と黒 (1963/東宝)
★キネ旬9位 ★毎日コンクール主演賞
監督:堀川弘通 脚本:橋本忍 出演:仲代達矢,淡島千景,大空真弓,乙羽信子,松本清張
『黒い画集 あるサラリーマンの証言』の監督、脚本、主演トリオが再結集したミステリードラマ。弁護士殺人事件を担当する検事・落合は、疑問を抱き異例の再捜査を始めるが……。
男はつらいよ 葛飾立志篇(1975/松竹)
監督/原作/脚本:山田洋次 脚本:朝間義隆出演:渥美清,樫山文枝,倍賞千恵子,米倉斉加年,大滝秀治,桜田淳子,笠智衆
寅さんの娘が現れる(?!)シリーズ第16作。マドンナ・礼子(樫山)の恩師・田所博士(『日本沈没』と同名だが別人)は、礼子に意外な申し出をし、彼女を悩ませる。
ぶらりぶらぶら物語 (1962/東宝)
監督/脚本:松山善三出演:高峰秀子,団令子,三木のり平,桂小金治,西村晃,左卜全,市原悦子,松村達雄,八波むと志
日用品を新発明の上着に詰め込んで、日本国中ぶらり旅に飛び出した男・猪戸純平の珍道中。『名もなく貧しく美しく』の監督・主演トリオが再び組んだ新機軸の型破り喜劇。
弥次喜多道中記 (1958/東宝)
監督:千葉泰樹 脚本:笠原良三 原作:十返舎一九出演:加東大介,池部良,三船敏郎,乙羽信子,淡路恵子,徳川夢声
江戸時代の戯作『東海道中膝栗毛』を基に、弥次郎兵衛(加東)と喜多八の吉原から駿府までの珍道中が繰り広げられる。同年『弥次喜多道中双六』も製作された。
がんばれ!盤嶽〈ばんがく〉 (1960/東宝)
監督:松林宗恵 原作:白井喬二 脚本:岸松雄,新藤兼人出演:団令子,小泉博,冨士真奈美,島崎雪子,志村喬,笠智衆
山中貞雄監督の『盤嶽の一生』のリメイク。免許皆伝の腕前だが、嘘と女に弱いお人好しの阿地川盤嶽は、一旗あげようと勇躍、江戸を目指して旅立つのだが……。
激動の昭和史 沖縄決戦 (1971/東宝)
監督:岡本喜八 脚本:新藤兼人共演:丹波哲郎,仲代達矢,加山雄三,酒井和歌子,大空真弓,東野英治郎,神山繁
太平洋戦争で唯一、戦闘に市民を巻き込んだ壮絶な沖縄戦の全貌を描く、東宝8.15シリーズ第5弾。牛島満中将は、人物を見込まれ指揮官として沖縄に派遣される。
激動の昭和史 軍閥 (1970/東宝)
監督:堀川弘通 脚本:笠原良三出演:加山雄三,三船敏郎,山村聰,黒沢年男,三橋達也,神山繁,志村喬,藤田進,中村伸郎,宮口精二
東宝8.15シリーズ第4弾。2.26事件から太平洋戦争終結までを東條英機ら、国政の中枢にのし上がる軍上層部と、ジャーナリストたちの葛藤を対比して描く。
大日本スリ集団 (1969/東宝)
監督:福田純 原作/脚本:藤本義一共演:三木のり平,酒井和歌子,高橋紀子,田中邦衛,寺田農,古今亭志ん生,平田昭彦
適齢期の娘のことが気がかりな刑事・船越富蔵と、スリ・平平平平(ひらだいらへっぺい)は、皮肉なことに軍隊時代の戦友同士――。関西を舞台にした人情喜劇。
天才詐欺師物語 狸の花道 (1964/東宝)
製作/監督:山本嘉次郎 原作:町田浩二 脚本:平戸延介共演:三木のり平,森繁久彌,淡路恵子,司葉子,志村喬,山茶花究
舌先三寸、オール・ペテンで突っ走る。自称天才詐欺師の奮闘を描く痛快喜劇。三木(人のいい刑事)、森繁(大ハッタリの泥棒)らとのやりとりが見もの。
あの、夏の日 とんでろ じいちゃん (1999/PSC) ★毎日コンクール主演賞
監督/脚本/編集:大林宣彦 原作:山中恒 脚本:石森史郎共演:厚木拓郎,勝野雅奈恵,宮崎あおい
大林監督の「新・尾道三部作」の最終作となるファンタジー。夏休み、ボケ気味の祖父・賢司郎の監視役をいいつけられた小学生の由太は不思議な出来事に遭遇する。
老親〈ろうしん〉 (2000/パオ)
企画/製作/監督:槙坪夛鶴子 原作:門野晴子 脚本:原田佳夏共演:萬田久子,草笛光子,米倉斉加年,榎木孝明,岡本綾
高齢者と共に生きる、これからの社会のあり方を考えた作品。専業主婦に嫌気がさし、離婚して娘と暮らす女性のもとに他人となったはずの舅・兼重が転がり込む。
料金
当日券:一般 1300円 学生 1200円 友の会・シニア・身障者 1000円 ラスト1本 800円
前売り1回券:1100円(11/16(金)まで販売) 3回券:3000円(11/25(日)まで販売)
http://www.shin-bungeiza.com/
2007年11月17日(土)~11月30日(金)まで上映
主なキャスト / スタッフ
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